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妖怪恐怖症は妖怪の学校に入れられました!  作者: 桃猫
Episode.2 慣れてきた学園生活!
9/70

第玖怪 天敵な転校生!?(上)


「天邪鬼くんおはようございます!」

「うぉ!?てめ、なんでこっちにいるんだよ!」


「いやぁ、この前の不良騒動は天邪鬼くんが解決してくれてるみたいですから。お礼を持ってきました」


「おお!天邪鬼くん。いいもの期待しようよ」



朝、数箇所湿布をしている月猫先生と遭遇する天邪鬼くんと猫間くん。

月猫先生の手には封筒が握られていた。



「・・・で、何が入ってんだよ」


「やっぱり、健全な男の子ってこういうのが好きなのかなって思って、給料の半分も使って買っちゃったんだよね」

「高級ブランド!?」



噂では、妖怪学園の給料は相当いいらしい。

二人は唾を飲んで、ゆっくりと出てくる封筒のものをじっと見つめていた。



「じゃーん!妖怪キャバクラの割引券だよ!」

「・・・ちっ、指導者がなんちゅうもん持ってるんだよ!!生徒に不健全なもの進めんな!」


「え?だって、酒呑童子先生に許可もらって部屋漁ってたら、地下倉庫の奥深くにこのキャバクラの名前が・・・」

「そこまで漁るかよ普通!それダメなやつだろ!」



今日も今日とて元気な三人である。


そして、教室にたどり着くくらいに差し掛かった時のことだった。



「うっ・・・」

「!?どうした!」


「なんか、ここから先行きたくない感じが・・・」


「(そういえば今日、転入生来る日だっけ?半神殺しの)」


「そっか、月猫先生半分神様だもんね」

「そうですよー、神様ですよ。敬ってください!」

「今更無理だよ」


「辛辣!?」



とりあえずここに立ってても仕方ないということでふらつく月猫先生を天邪鬼くんは支えながら中に入る。

教室の中では、何やら女子たちが賑わっているようだった。



「ねぇ!福薄さんってどこから来たの!?」

「北西あたりからだよ?」


「すごい髪色!ヤンキーだね!」

「貶してるよねそれ」



女子たちの中心には、金髪ガングロの見知らぬ女の子がいた。

男子たちはちょっと苦手なのか遠巻きに見ているみたいだった。



「おいポンコツ、さっさと機能・・・うぉ!?」


「無理無理無理!殺される食われる!私みたいなミジンコには無理だよ!手に負えない野望背負ってるよあれ!」

「お前貶してんだろそれ。さっさと行け!」


「ぐふっ!?」



嫌がって扉から離れない月猫先生を蹴り飛ばす天邪鬼。

いつの間にか騒がしかった教室が静かになっていた。



「は、はい・・・席に着いてくださ」

「それでさぁ!私向こうの彼氏置いてきちゃったんだよねぇ!」


「あ、あのぉ」

「まじここボロくね?でも風情あって好きだわ!」



男子たちと女子一部の心の中で、安倍 月猫先生の試合終了のベルがなったのがわかった気がした。

月猫先生はというと、半殺しオーラが今まさにあるのか、顔色があまり良くなく、それプラスのスルーということで死にかけていた。



「おい女子共座れよ」


「あ、天邪鬼・・・あ、ごめんね月猫先生!」

「ん?何あのゴボウ。もしかして担任?」



その言葉のトゲが心に突き刺さっているのが目に見えてわかった。



「あ、その・・・転入生の福薄さんですよね?」


「なにあんた。担任なのにノーメイクとかウケるんですけど。」


「のー、めいく?・・・あ、おしろいのこと?」



クラスメイトたちはあの手毬発言から、メイクと聞いておしろいが出てくることは想像出来てしまっており、逆に恐怖を感じるのであった。



「おしろいとか古すぎ!まじ卍!」

「まんじ・・・?寺?」


「やっば、時代遅れすぎてちょーウケるんですけど!」



どんどん心の柱が崩されていく月猫先生は遂にダウンしてしまったようで、泣くのではなく、酒呑童子先生を『呼び出しの札』で呼び出してしまっていた。



「おいてめ!これ命の危機の時に使えっつったろ!」

「命の危機なんです!!もう私の命がもたないんです!初期の天邪鬼くんが現れた感覚なんです!」


「(あいつと一緒にすんなよ!)」



しかし、酒呑童子先生に縋る月猫先生を見て、福薄さんは痺れを切らしたのか、机を蹴り飛ばしていた。

月猫先生と酒呑童子先生は目を見開いて固まっている。



「さっきから聞いてりゃ言いたい放題言いやがってさぁ!大の大人が泣いて恥ずかしくないわけ!?」


「(ご最もな正論を言われたな)」


「わ、私は・・・その、未成年・・・」

「未成年だろうが教師なのってんなら泣きわめくのやめろよみっともない!目障りなんだよ!」



そのまま、福薄さんは携帯をいじり始めた。



「さ、さすがに言い過ぎじゃない?」

「はぁ?逆にこんなのが担任とかまじシラケるんですけど。ノリ悪そうだし、陰キャ臭やば」


「え、に、臭う?」

「そういう意味じゃないよ月猫ちゃん」



時たまに現代がわかってないためか、普通の人よりはダメージが少ないようだった。



「大体、あんな奴が教師務まる気がしないわ。担任チェンジチェンジ。あ、そこの人いい男じゃん。変わってよ」


「さっきから聞いてりゃぁさ、おまえポンコツでも年上敬えよ」


「年上?あれが?ナイナイ!そんなのありえなーい」



遂に月猫先生が立ち上がった。

全員がその様子に唾を飲む。



「分かりました!じゃあ酒呑童子先生お願いしますぅ!!」


「うぉ!?ちょ、月猫おま、待て!」



月猫先生は泣きながらその場を立ち去っていった。酒呑童子先生はその後を追うつもりだったが、さすがにクラスは放置できまいと、残ることにしたようだ。



「おい福薄、転入初日に担任泣かすとはいい度胸じゃないか」


「え?天邪鬼くんだっけ?そいつも虐めてたんでしょ?仲間じゃん!」

「お前とはちげーよ!」



そのとき、渡り廊下の方から何かが落ちるようなものすごい音がしていた。

全員が慌てて廊下を見ると、そこに見覚えのあるラベンダーカラーの髪の毛が見えた。



「え!?月猫先生!?」

「・・・おい、釘が落ちてる」



目を回す月猫先生の近くに錆びた釘が落ちていた。

慌てて駆けつけたくだん先生はそれを見つめる。



「微弱ながら妖力が含まれてますね」


「・・・おい、お前の仕業だろ福薄」

「・・・ふっははは!滑稽すぎワロタ!・・・いっけね、福薄コントロール出来ないからポンコツちゃんにうちの不幸分けちゃったかもしんないわー!」


「な!じゃあ、こいつ・・・」


「・・・あれ、私用具室でお手玉してたのに・・・」

「何お手玉してんだよ!」



そして、月猫先生が立ち上がろうとした時だった。ちょうど偶然、手元に紙が落ちており、手を滑らせた月猫先生は頭を思いっきり床にぶつけていた。



「ぎゃぁぁ!」

「ちょ、月猫ちゃーん!」


「福薄さん、今すぐ不幸を解きなさい」


「なんでー?うちコントロール出来ないしー」



そう言って福薄さんは携帯で突き刺さって抜けない月猫先生を写真で撮っていた。



「(すっごい問題児が来たもんだ・・・ほんとこいつ、巻き込まれ体質だよな)」


「(こいつ、不幸体質だろもはや)」


「(月猫先生可哀想・・・)」



全員が突き刺さって抜けない月猫先生に向かって同情するのであった。






お昼休み、月猫先生は福薄さん除く霊組プラス、酒呑童子先生に囲まれていた。



「と、突然どうしたんですか」


「福薄さんどうにかしてよ!」

「そうそう!うちのLimeアカウント拡散しやがったから一度消して作り直す羽目になったんだよ!?」


「私なんて下着写真撮られたし!」

「いやお前相談する場所間違えてるだろ」



一変に愚痴を言われた月猫先生は何故か涙と鼻水を流し始めていた。



「うぅ・・・」


「んな!?うわ、来たねぇ!」

「ちょ、どしたの!?」


「いや、みんなが初めて相談してくれたから・・・まだ未成年だけど嬉しくて嬉しくて・・・」

「おばあちゃん化してるよね絶対」



しかし、真面目にまとめると福薄さんに復讐してやりたいとの事らしい。



「でも、私に相談しても何も出来ないよ?」


「え?なんで?担任じゃん」

「私、今日不幸体質だからね、この結界の外から出ない方がいいって学園長に言われたんです」


「あ、確かに・・・凄い。月猫先生引っ張っても硬い壁がある」

「いててて」



月猫先生の周りには椅子が置かれており、その椅子も動かなくなっていた。

どうやら、外に出た瞬間に命に関わる程の不幸が身にかかるのだとか。



「ほら、月読尊様が消してくれるって!」

「・・・それはダメだよ」


「でも、なんで!」


「簡単に、一人の命を消そうなんて考えたらダメ。福薄さんだって何が事情があるからこういうことするんだと私は思うよ」



全員は思った。

申し訳ないが、初めてまともに見えてしまって内容が入ってこなかった・・・と。



「そ、それで、お前昼ごはん食ってねぇのか」


「・・・あ」



そのとき、先生のお腹から物凄い野獣の唸り音のような音が響いた。



「あ、お腹すいちゃった」


「女子の欠片もねぇな」

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