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妖怪恐怖症は妖怪の学校に入れられました!  作者: 桃猫
Episode.2 慣れてきた学園生活!
8/70

第捌怪 ヤンキー対処法


「あ?てめぇなにやってんだ」

「ゴミ着いちまったちじゃねぇか!」


「(くそ、面倒事がきやがって・・・)」


「天邪鬼くん!ちょ、これみて!これ、天邪鬼くんに似てる!」



タイミング悪くやってきた月猫の手には、妙にイケメンなマンドラゴラの人形で、肩では猫間くんが笑いをこらえていた。


が、ヤンキーに絡まれている天邪鬼を見た瞬間に月猫と猫間はしれっと見なかったことにしようとしていた。



「ちょ待て!!猫間はともかくお前一応教師だろ!」

「無理無理無理!あんなのに立ち向かったら殺されるから!あ、天邪鬼くんなら倒せる!君ならできる!」


「松○修造風にいえば済むと思うなよ!?てめぇ教師だろ、」

「あ?いい嬢ちゃんがいるじゃねぇか、おいそれよこせ」


「ひぃ!?」



その巨大な手に掴まれた月猫を助け出そうとする天邪鬼だが、力及ばずにゴミのように叩き落とされていた。



「ね、猫間くん!誰かヘルプ呼んできて!」

「り、了解!」


「おい嬢ちゃん、俺らの方を見ろよ」

「上玉じゃねぇか。こりゃ一時は飽きねぇぜ」



月猫は恐怖のあまり、今にも魂が抜けそうになっていた。

が、突然掴んでいた手が緩まっていた。



「おい、逃げろ安倍!」

「あ、天邪鬼くん!?」


「あ?てめぇみてぇな野郎には興味ねぇんだよ。消えろ!」



恐怖で足がすくむ月猫の目の前で、握り潰されそうになって天邪鬼は苦しんでいた。



「いい、から・・・逃げろ!ポンコツが!」


「・・・ふーっ、ふーっ」



すると、月猫は震える足を手で押えながら立ち上がっていた。



「わ、私は天邪鬼くんよりも、年上なんだよ・・・てか、逃げろって一丁前にカッコつけてんじゃねぇよこのガキが!歳上敬えや!!」


「(あん時みたいな錯乱状態かよ!?)」


「うぉ!?なんだ?二重人格か?」

「強気な女も萌え・・・うぉ!?」



そのとき、天邪鬼を掴んでいない方の巨大なヤンキーが一瞬で吹き飛ばされていた。



「・・・っ月読尊と安倍晴明の娘なめんなよ、南無阿弥陀仏!!『強制浄化』!」

「ん、んだよ!?体が消えてやがる!てめ、人間なのか!?」


「いいか、消されたくなかったら今すぐ天邪鬼くんを掴んでる手を離せ。そして金輪際関わんじゃねぇチンピラ共が!」


「ひぃぃ!すみませんでしたぁぁ!」



月猫の能力に恐れおののいたのか、ヤンキー達は一目散に外に逃げていった。

天邪鬼は能力が使えていた月猫に驚いて固まっていると、月猫が天邪鬼の方に歩み寄っていた。



「・・・ちょ、月猫?お前どうしたんだ・・・」



突然、月猫の手が上に上がったと思ったら、天邪鬼の頭の上に手を乗せていた。



「・・・こうやったら、子供って落ち着くんだよね。私ね、天邪鬼くんを見てると、弟を思い出すんだ」


「お、弟だ?」


「とっても無邪気で、口が悪いけど・・・誰かに見られたいって思いが強くて、誰よりも力も強いんだよね」



その目に光はない。まだ錯乱状態のままなのだろうと冷静に思う反面、撫でられることに物凄く照れてるようだった。



「その、弟は?」


「・・・死んじゃった。安倍の血を狙った『妖怪』に弟も、お姉ちゃんも殺されちゃって、私だけになっちゃった」



その事実に、天邪鬼は開こうとした口を思わず閉じてしまった。



「(こいつが妖怪恐怖症なのって・・・)お前は妖怪恨まねぇのかよ」


「すっごい恨んだよ。陰陽師の力がなくても力が使えるように努力して、絶対に妖怪たちの世界に行って全員殺してやろうって。でも・・・・・・」



あと少し、の気になるところで月猫は眠ってしまった。

どうやら、あの力は全力だったらしく目の前で月猫はグースカとだらしなく眠っていた。


その直後に後ろからたくさんの足音が聞こえていた。



「天邪鬼くん!月猫ちゃん!大丈夫・・・あれ?」

「天邪鬼!月猫大丈夫か!!」


「・・・せんせ、」



天邪鬼の目からは涙が溢れ出ていた。

その様子に全員が固まるも、とりあえず月猫を家に連れて帰ることになった。



「・・・で、どうしたんだ天邪鬼」

「こいつの、記憶覗いちまったんだよ」



そこに映っていたのは、大人たちの過度な期待に過度な視線。

その中心にいる、今とは真反対に強気で笑顔が一切ない月猫の幼い姿。


天邪鬼にとって、何があったのかが相当気になるらしい。

しかし、天邪鬼は学生なので帰らせることになった。



「お前は気になるかもしれねぇけどな、こいつは一応十九歳。お前と何ら変わんねぇ子供だ。いつも通り接してやれ」


「・・・ああ」

「・・・って、敬語使えや!」


「いてて!やめろって!痛え!」



そのまま、天邪鬼は去っていき、酒呑童子はタバコを吸いながら目を開けてヨダレを垂らして眠る月猫の額を撫でていた。



「・・・やっぱガキだよなお前」



結局、ただの日常は生徒たちだけであり、月猫と天邪鬼にとっては大変な日になったのであった。

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