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妖怪恐怖症は妖怪の学校に入れられました!  作者: 桃猫
Episode.1 初めての学園生活!
5/70

第伍怪 いざ挑め身体測定!(中)


さて、地獄の日はやってきた。

二年霊組の問題児共は何故か綺麗に整列をしていた。

小中高が同じのこの学校同じクラスで、そのクラスは問題児なのは他のクラスは知っており、こういう時こそ霊組はギャアギャア騒がしいと怒られる担当だったのだ。


が、今の状況は霊組はかなり静かであり、皆が正面を向いて黙想をしていた。



「おいおい、霊組何があったんだ?」

「ついに退学宣言されたんじゃなーい?」



誰もが悪い噂をしていると、霊組の一人が呟いた。



「・・・やばいぞ、皆。そろそろあのポンコツが来る」



『百々目鬼』目良くんだ。

彼は壁に目を生やし、職員寮付近を見張っていたのだ。

その宣言により、全員が唾を飲んだ。

その神妙な雰囲気に他のクラスも何が起こるのかと静かに見守っていると、廊下の向こうから声が聞こえてくることに気づいた。



「うう、嫌だぁ!」

「お前うるせぇな!生徒より遅くて何が教師だ!」

「自分でなりたくてなったわけじゃないもん!酒呑童子先生のケチ!唐変木!」


「おまえ殺すぞ」

「すみません!」



そこに居たのは、肩に担がれるポンコツ教師 二年霊組の担任 安倍 月猫とポンコツ教師を肩に担ぐ生真面目なヤンキー 酒呑童子がいた。



「おうおう、ようやく来たわ。安倍先生?二十分の遅刻やで」


「うっ・・・おぉ!みんな綺麗に並んでますね!土下座して頼んだかいがありました!」

「あんたにプライドはないんやな」



霊組以外の生徒たちがその姿に目を惹かれていた。


ラベンダーカラーの綺麗な髪に金色の瞳。

とても教師たちに並ぶ年齢ではなさそうな見た目で真っ白な肌。


まさに可愛いを擬人化したような人がそこにいるのだ。



「まじかよ、あれ生徒?体操服着てるけど」


「月猫先生なんで体操服なの?」

「ん?なんか、学園長から着てねって言われたから着てきたの。可愛いかな」


「潮時のババアが何言ってんだよ」

「な!?そ、そんな!私がババアだったら座敷童子先生はどうな、」



そのとき、月猫の首の横をナイフが通った。



「あ、すんません。手を滑らせてしもうたわ」


「!?!?」






そして始まった地獄の身体測定。

なんと、予防接種が一番初めなのだとか。



「お、安倍先生担当なのか俺は」


「え?酒呑童子先生・・・先生は受けないんですか?」

「生憎、俺たちは成人妖怪用の薬を飲んでるからセーフなんだよ。お前だけだ注射受ける先生は」


「え、そんな卑怯な・・・」



ちゃっかし会話時間をなるべく増やそうとしている月猫先生。

だが、後ろから女子と男子の声が聞こえた。



「月猫ちゃん頑張れ!」

「安倍先生頑張ってください!」


「ほら、声援も貰ってる事だし、やるぞ」

「え、ちょ、待ってください!心の準備が・・・」



すると、酒呑童子先生は月猫先生の腕(素肌)を掴んだ。当然だろう、予防接種なのだから。



「〜!?!?」


「そういえば妖怪恐怖症だったな。まぁ大丈夫だろ。ほら動くなよー、俺ら教師組は一応免許は取らされてるから失敗しないので大丈夫だぞ」


「そういう問題じゃ!」



その瞬間、保健室内からけたたましい悲鳴が聞こえ、外で待機してる生徒たちは一体何が行われているのだと顔を青ざめているのであった。






月猫先生のやることは予防接種のみで、その他は援助に回るだけでいいらしい。

だが、ほかの先生たちは忙しそうに動き回っていて月猫先生のみは椅子に座ってただぼーっとしているだけだった。



「お、いたいた月猫先生!!」


「あ、管狐先生。どうかなされたんですか?」

「霊組の骨骨さんの身長を測るのを手伝って欲しいのよ」



『がしゃどくろ』骨骨さん。彼女は学園内最高の身長の持ち主であり、普段は人間に化けて生活している。

が、この身体測定は両方の記録を図るためにこういう時大変なのだそう。



「あ!月猫ちゃんだぁ!」


「す、凄い高いですね・・・」

「ほら、安倍先生。月読尊様の能力なにか受け継いどらんの?」


「う、受け継いでますけど・・・」



安倍 月猫は前にも言ったが、月読尊の血の方を濃く継いでいる。

そのため、浄化の能力は無いが、そっちの能力はあるのだ。


『風を詠む』

出来ることは、物を動かすだけ。

『書を詠む』

出来ることは、一度記憶したら、何か分からない時に今までの記憶から様々な情報を能力が集めてきてサポートしてくれる便利な力。

『刻を詠む』

数秒だけ時間がスローモーションになるように見える。その間は自分は早く移動できる。


そして、彼女は夜と月の神の血を流しているために、妖怪に妖力を流してあげることだってできるらしい。


この四つを彼女は受け継いだ。


これだけあれば人間離れしているが、妖怪の世界ではものを動かすなど普通でスローモーションに見えるのは持ち前の動体視力。自慢できるとすれば『書を詠む』のみなのだ。



「あのー、骨骨さん。私を頭の上まで運んでくれませんか?」


「お、りょうかーい!」



骨骨さんの今の姿はまさに骨。

月猫先生が掌に乗ると、骨が結構すべすべで捕まるのに必死になっていた。

それに、上昇するために風圧がかかり、今現在月猫先生は死にかけていた。



「うぐっ・・・つ、着きました?」

「ん?着いたよー!」



降りたらまたしても地獄。骨骨さんの頭は綺麗な丸を描いており、一度でも転けたら地面に急速落下という終わりが待っているものだった。



「よーし!月猫先生ええでー」


「身長は、八メートルぴったりですー!」



下から降りてきていいという声が聞こえて降りようとした月猫先生はあることに気づく。



「ん?月猫ちゃん降りないのー?」

「・・・ちょ、ちょっと待ってください骨骨さん!」



そう、高い場所が怖くて中心から動けなくなっていたのだ。

下の知り合いたちは一向に降りてこない月猫先生を心配していた。



「・・・お、おいまさか」

「高くて降りられんのか?」


「そのまさかじゃね?」



全員が一瞬で悟った。この中で空を飛べるものはいるが、六メートルという高さは普段過ごしていて飛ぶ機会が無いため全員は飛べるか不安なのだ。



「い、一回飛んでみるか?」

「いや、こうなったら・・・骨骨!人型になれ!」


「いいのー?りょうかーい!」


「え、ちょ、ま!」



一瞬で土台が無くなった月猫先生は必死に足掻いているが、物凄い速度で落下しているのは変わっていなかった。



「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

「じっとしてろよ!水蛇!」


「たく、面倒だな!ほら先生!」



ミズチの水蛇さんが空を飛んで落ちてくる月猫先生を受け止めていた。


月猫先生は涙と鼻水でぐしょぐしょになっていた。それを見て水蛇さんはドン引きしていた。



「死ぬかと思った・・・」

「ほら、先生タオルやで。顔拭きいや」


「ありがとうございます」



地面がやはり大好きだ、と月猫先生は地面で泳いでいた。

周りはなんだアイツという視線を送っていたためにいつもの如く天邪鬼くんが襟元を掴んで、次の場所に引っ張っていた。

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