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妖怪恐怖症は妖怪の学校に入れられました!  作者: 桃猫
Episode.1 初めての学園生活!
3/70

第参怪 天邪鬼くんと先生


戌亥さんが去った後の保健室。


泡を吹いてピクピクと微妙に動く気絶した月猫先生と、何だか釣り上げられた魚に見えてきた酒呑童子先生がいた。



「で、学園長。いつまで隠れてるんですか」


「いやはや、見破れるのは貴方だけですね」

「いや、戌亥がニンニクの匂いがするって小声で煙たがってたから、あぁそういえば食ってたなって」


「・・・さて、月猫ちゃんは寝てしまいましたか」

「気絶ですけどね」


「さっきから一言多いですよ酒呑童子先生」



ピクピクと震える月猫の頭を撫でる学園長。

酒呑童子はこいつロリコンだなやっぱり、と失礼なことを考えていた。



「てか、十九歳の女子なら天照様の所もいるじゃないですか。そっちじゃないんですか?」


「いや・・・あれは顔面崩壊してた」

「失礼なこと言いますよね。バチ当たりますよ」



すると、廊下の方から足音がこちらに近づいているのがわかった学園長と酒呑童子。



「はぁはぁ・・・あ?酒呑童子先生んでここにいんだ?」


「お前はいちいち馬鹿な発言ばっかするな!?・・・はぁ、安倍先生なら寝てるぞ」



酒呑童子先生の話を聞かずに、天邪鬼は月猫先生が眠るベットに向かっていた。



「・・・うわ、打ち上げられた魚みてぇ」

「口に出すなそれを」


「先生、俺のとこなんて言ってた?」



天邪鬼はやはり思うところはあるらしく、酒呑童子先生に聞いていた。



「そうだな、お前は根はいい奴だって分かってるからこのことは隠蔽してくれ、だとよ」


「!?・・・こいつ、ほんっと馬鹿だ。チクリたけりゃ、ちくりゃあいいのに」

「・・・あれ、人が二人増えて、・・・!?!?」



どうやら、月猫先生は起きた様子。

天邪鬼は申し訳なさそうにそちらに視線を向けた。



「先生!!俺、やりすぎた・・・すまねぇ!!」



すると、月猫先生は驚いた表情をしながら、少しだけ微笑んだ。

その様子に酒呑童子先生も天邪鬼くんもほっとした。


のだが、



「・・・こんちくしょぉぉ!!」

「うぉ!?てめ、何しゃがんだ!」


「私死ぬかと思ったんだからね!?私大人ぶってたけど内心吐血してたし、そもそも私まだ未成年なんだけど!?これ許せるほど大人じゃないし!!」



先程の表情から一変、月猫先生は大量の涙と鼻水を流しながら天邪鬼くんの首に手をかけていた。

驚いた酒呑童子先生は急いで月猫先生を羽交い締めをして止めようとしていた。



「落ち着け!!さっきの雰囲気どこいった!?」

「てめ!先生なら手をかけんなよ!」


「なんだと!?私だって日々懸命に生きてるんだよ!?数歳年下の野郎に殺されてたまるか!なんなら私が殺したるわ!!」


「ダメだ!多分恐怖症発動による恐怖心から錯乱状態だ!」


「死ねぇぇぇ!」

「保健室なんだから静かにしろやガキども!!」



こうして、月猫先生は精神安定を注射されました。






「あ、れ・・・保健室?」


「・・・てめ、殺す」

「あ、天邪鬼くん。あ、この傷は気にしないでくださ・・・うぉ!」



何も知らない月猫先生の前には髪をボサボサに乱して息を切らす酒呑童子先生と天邪鬼くんが視界に映っていた。


息を切らして、髪の毛ボサボサで服が乱れて・・・


月猫先生は一瞬でやばいことを妄想してしまっていた。



「ご、ごめんなさい!もっと寝てればよかったよね!?邪魔しました!今すぐ部屋出るのでどうぞ続けて!?あ、誰にも言わないから!」


「あ?何言って・・・」

「てめ!?なに勝手な妄想を・・・ゴラ待て!」



何言ってるのかわかってない様子の酒呑童子先生と何言ってるのか察して赤面しながらキレる天邪鬼くん。

誤解を解こうとしていたが、時すでに遅し。


月猫先生は保健室から居なくなっていた。



「おい待て!!」

「おいてめぇ、俺の横で叫ぶとかいい度胸じゃねぇか」


「そういう場合じゃねぇって!あいつ変な誤解してんだって!酒呑童子先生鈍いんだよ!」

「んだと!?」



このあと、無事酒呑童子先生は理解したのだが、月猫先生は既にその思考が定着してしまったのか、誤解を時に来られた時は



「・・・あ、うん」

「・・・てめぇ、分かってねぇだろ」


「え!あ、殺さないで!?だ、誰にも言わないから!!」



恥ずかしくて誤魔化しているのかと思ってしまったままの月猫先生であった。






「でも、先生が無事でよかった」


「数日にして命が消えそうになる先生・・・でも、天邪鬼が許してるし、いい先生なのかもね」



騒動から数日後。

先生は包帯はつけたままだが、前よりは気が楽になったのか、少し震えた状態で授業をしていた。



「(授業中に私語してる妖怪を注意するって・・・怖くて無理!!)」



「(・・・)」



一方、天邪鬼の頭には騒動の最後に月猫先生に言われたことが頭から離れないでいた。



『話は聞きましたよ。・・・まさか、先生にいじめられていたなんて・・・でも安心してください。私は虐めるなんてしないというより出来ません。それに、ちょっと妖怪はいい子たちなんだってこの騒動で改心できた気がするんです』



夕焼けの丘にて、天邪鬼の数メートル先に座る月猫先生がそう言っていた。



「(あん時の雰囲気、数メートル離れてなければ映画だったな)」


「・・・うわぁ!」

「!?」



考え事をしていると、突然天邪鬼の服に冷たい何かがかかってきたのだが。

それは花瓶の水であり、目の前の張本人(月猫先生)が足を滑らせて、天邪鬼に向かって花の水がかかったのだと理解していた。


理解していたのだが、なよなよしたその表情に怒りが燃えたぎる天邪鬼だった。



「てめ、やっぱ殺す・・・!!」

「ちょ、天邪鬼!?」


「嫌だぁぁ!天邪鬼くん落ち着いて!?・・・こ、これ以上騒ぐのなら・・・そ、その内申減らす!」


「てめぇせこいぞ!」



こうして、安倍 月猫は問題児 天邪鬼くんを丸め込むことで、妖怪のクラスメイト達の株を引き上げることに成功し、彼女自身も少し馴染めることが出来たのであった。

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