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なんで俺が異世界転移してるの?  作者: 特に何も考えてない
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3 冒険者登録

ギルドの中は物凄い賑わっていた。

丁度夕食時という事もあってか、飲食スペースはほぼ満席、立ち飲みしてる人もチラホラ居る。

カウンターも列が出来ており、少し列ぶ必要があるようだ。


思いの他、色んな種族が多いみたいだな。

リアーナの話だと、今この国は戦争をしていないどころか、他種族との共同関係を築き上げたのが今から半世紀以上前の話だそうな。

その為今では、人族領土にも他種族がよく訪れる。

ただ、それはこの国と周辺の異種族の国家だけで、遠い地だと未だにいがみ合ってるのが当たり前とのこと。


そして少し待っていると俺たちの番まで回ってきたようだ。


「どういった要件で?」

「ギルド登録をお願いします」

「わかりました。そちらの子も一緒にですか?」

「はい、お願いします」

「ではそれぞれ、お名前をお願いします」

「ユイイチです」

「リ、リアーナ、です」

「ユイイチさんにリアーナちゃんですね…、では先に説明等を行い。次に試験を行います。対応はあちらのカウンターになるので、このネームプレートを持って話を伺ってください」


渡されたネームプレートを持ち、比較的隅っこにあるカウンターに行く。


「登録希望者です。こちらをお願いします」

「お?こんな時期にとは珍しいな。どれ…、ユイイチにリアーナか」


中年の男性職員はプレートを受け取った後、紙を取り出し見せてくる。


「そんじゃ、まずは説明するよ。冒険者はそれぞれランクが有って、F~A、その上にSランクが存在する。最初は基本Fランクからスタートだ。Fランクの間は討伐依頼を受ける事は禁止されている。まぁだからと言って、偶然襲われて、たまたま討伐出来た魔物の素材等は売却自由だ。次にEランク、FランクからEランクに昇格するにはギルドで戦闘試験を受けてもらい、合格した場合のみ昇格可能だ。ちなみに、この後行う試験に合格すれば、そのままEランクからとなる。それ以降のランクアップは貢献度次第で、試験等は無い。わかったか?」


2人して頷くと次の説明に入った


「冒険者ギルドは本部と支部と詰所がある、ここは支部に当たるな。支部は色々揃ってる、酒場に訓練場、図書館、それと簡易的ではあるが寝床もある。酒場と寝床はお金を取るが他2つは基本自由に使って構わない。ただ、窃盗はするな。持ち出し厳禁だからな。それと、図書館に関しては図鑑もあるから、慣れないうちは利用するといい」


良かった、一応寝床はここにもあるようだ。

簡易的と言っていたからお値段もそこまで高く無いだろう。場合によっては数日ここのを利用するのも手だな。


「さて、基本的な説明も済んだ。次は試験をする。ついてこい」




連れて来られたのは先ほど話していた訓練場だろうか

射撃の的に、藁束のカカシが並んでいたりと、広い空間だ。


「得物は好きなのを使え、怪我しても大丈夫なように治療班も居るから安心しろ」


そう言って、中年職員はサイズの大きい訓練用の剣を手に持って、待機する。


「…リアーナは戦うか?」

「勝てないと思うけど、戦ってみる…!」

「わかった、経験は積むものだし頑張れ」


リアーナは片手剣サイズのモノを選らんだ。

とはいえ、少女の体格ではこのサイズの武器でも両手で持たないと振れないため、両手で武器を構え、中年職員の向かい側に立つ。


「最初はお嬢ちゃんか、随分痩せ細ってるが大丈夫か?」

「大丈夫…」

「いい目だ。なら、いつでも打ち込んでこい」


その言葉にリアーナは真っ直ぐ走り無骨に武器を振り下ろす。

少し前までただの?村娘だったのだ、その動きは素人丸出しで、頑張って振り下ろしたその一撃は簡単に止められ、呆気なく弾かれるがすぐにまた打ち込み、それもまた同じように止められ弾かれる。

数回繰り返した後、弾いた隙を付いて蹴りを入れられ後ろに飛ばされる。

転ばないように体制を整えている内にあっという間に距離を詰められ、そこに武器を振り下ろされる。

リアーナは自分との間になんとか武器をすべり込ませる事ができたが、勢いを殺す事はできずそのまま体に叩きつけられる。

と思いきや、職員さんが寸止めをした様だ。

無理な体制で受け止めたリアーナは尻餅を付いて座り込んだ。


「ま、まだまだこれからだな。やる気と咄嗟の判断力はいいが他がダメダメだ。という事で、今回は不合格とさせて貰う」

「はい…」


少し残念そうな声色で返事をすると、立ち上がってお尻を払いこちらに戻ってくる。


「負けちゃった」

「気にすんな、最初なのに臆せず戦えただけ十分だよ。」


そう言って頭を撫でた後、次は俺の番なのでリアーナが使っていた武器を受け取り、定位置に付く。

リアーナじゃ、体格的にも両手で持つしかなかったが、170cm超えの俺はそれを右手で構える。

ちょっと軽かったかな…


「始める前にルールについて質問を」

「なんだ?」

「魔法の使用制限は?」

「別に剣での決闘では無いからな、扱えるなら好きに使ってくれて構わない。」

「わかりました。とりあえず、加減はしますので安心してください」

(…この若造完全に舐めてるな、さっきの子とは違いガキじゃないんだ。加減してやる必要ないな)

「そうかい。いつでも来い」


その言葉を合図に左手を向ける。拳サイズの氷を数個生成し、一発撃ち込む。

それを横に動いて避けるのを確認したら、次々と順番に打ち込んでいく。

職員さんはそれを走って避けていき、生成していた氷が撃ち終わったのを確認した後こちらに突っ込んでくる。


接敵し剣での打ち合い、お互いに力を押し付け、弾き、また打ち込み合う。

相手は両手を使っているのに対して俺は相変わらず片手で打ち合っている事に対して少し苛立ちで興奮している様だ。煽り耐性が低いな…


周りが見えていない状態の彼の背後から何かが砕ける音と共に衝撃が走る。

戦いの様子を観戦していたリアーナと医療スタッフさんは気づいて少し驚いていたようだが、先ほど撃った氷は男を通り過ぎた後すぐに空中で止め、彼がこちらに打ち込みに来たら後ろから当てようと待機させていた。


背中からの痛みに思わず後ろを確認し、先ほどの氷が原因だと知った彼は驚きながらもそれを避けようとする。

しかしそんな隙は与えない。

俺が先に彼を氷の方に蹴り飛ばすと彼は飛んでくる氷に向かって行き、その身でいくつもの氷を食らう

最後には顔面に当たり、こちらへと倒れこんだ。

そんな職員の首に武器の剣身部分を押し当て。


「………」

「…あ、すいませんスタッフさん。彼、気絶しちゃいました」


顔に勢い良く氷が当たったせいか、鼻血を垂らして気絶している彼を医療スタッフが慌てて介抱する。

医療スタッフと一緒に走ってきたリアーナが嬉しそうに抱きつく


「すごい、勝っちゃった」


抱きつくリアーナを撫でていると、別のギルド職員。今度は女性の人がこちらに来て話かけてきた。


「お疲れ様です。ユイイチ様は合格ですので、Eランクからのスタートになります。ギルドカードをお渡ししますので付いてきてください」

「はい、わかりました」


武器を戻した後、女性職員の後を付いて行く。


「それにしても先ほど使っていた魔法、相当魔法の技術が高いのですね」

「それなりに…」

「アレ、無詠唱でしたよね。それに放った魔法であんな事が出来るなら国のお抱え魔導師に成れると思うのですが…、またどうして冒険者に?」

「俺程度の魔法使いを国が雇うわけないでしょう。それに、あの魔法は思考詠唱ですから、無詠唱ではありませんよ。それから、魔法が戻ってくるようにしたのも詠唱内で組み立てたモノですから」


当然嘘だ。


「そうなのですか、じゃあ試験官が初めからあのように動くと予想していたのですね」

「頭に血が上りやすい人の行動は読みやすいですから」

「確かに、彼は元冒険者で前衛の戦士職、主にアタッカーでしたからね」


そんな話をしている間に先ほど説明を聞いたカウンターに戻ってきた。


「では、こちらが冒険者ギルドのカードとなります」


手渡されたカードには、自分の名前を挟む形でギルドの紋章と思わしき印とランクが記されている。

その下は2/3が縦2マスの四角形の空欄が並んでいる

そして、カード自体と書き足されている各インクは魔力が宿っているのが分かる。


「この下の方の空欄部分は?」

「こちらは、勲章などの記載欄ですね。大きな罰則を受けた際もそこに前科として記入されますのでお気を付けを、場合によっては他国への入国拒否等も有り得ますので」


なるほどね。

まぁ成り立ての俺とリアーナはどちらもそこは空欄だ。

それと、ランクは言われた通り。俺がEランク、リアーナがFランクとなっている。


「Eランク以上が同行でFランクと共に討伐依頼を受けるのは可能なのか?」

「残念ながら出来ません。それが可能なのはDランク以上が同行される場合のみですのでお気を付けを」


なら当分は採取系か、まぁ図書館で色々情報も欲しいし、リアーナの体力作りや魔法の勉強なんかもある。

牛歩になるけど1つ1つしっかりやって行くしかない。


「職員さん」

「ルフラです」

「ぁ、ルフラさん、ここの寝床の利用はいくらですかね?」

「1人50Cですよ。安い代わりに大部屋に雑魚寝です。更に、食事は別、入浴施設などはついておりませんので」

「そうですか、食事の値段はどんなものですか?」

「そうですね、セットの物で高いのだと1000C、安いのだと150C。お酒等は安くて50C、高い物でもここにあるのだと300Cですね。」

「良かった、無一文一歩手前だったので安くて助かります」

「ギルドは宿屋ではないですから、それにまだ子供で冒険者にならざるを得ない子や、冒険者に成り立てでお金を殆ど持っていない方への救済処置に近い物ですから。十分に稼げる冒険者はすぐここの寝床から出て行く行きますよ」

「ははは、そうですよね。色々教えてくれてありがとうございます。それでは」

「あ、お待ちください」

「はい?」


ルフラさんに呼び止められ振り返ると何やら水晶に色々括りつけられた物、魔道具を取り出した。


「レベルの確認をしておいてください。自身の実力把握にもなりますし、討伐依頼などは推奨最低レベルも記載されてますので」


レベルか…、さすがに俺のをありのまま示すのはマズい。


「分かりました。手を添えればいいのですか?」

「はい、お願いします」


手を添えると水晶が淡く光る、数秒後には水晶の上に乗せた手の上に立体的に数字が現れる。


『16』


俺の年齢ピッタリ。

当然この数値は偽装した結果だ。

レベルとは魂の強さを示す。

だが、そのまま水晶が出す魔力を俺の魂に晒すと機能不全か永久停止になるから、そうならないように途中にダミーを置いて魂として誤認させ、この数値を出した。


女性職員さんを見ると、少し驚いているような…あれ?おかしいなって感じの困惑した様子をしている。

さっき戻ってくる時もそうだったけど、この人。ルフラさんは感が鋭いというか、人を疑う事がしっかりと出来る人の様だ。


「これでいいですか?」

「ぁ、はい、大丈夫です。ありがとうございます」

「じゃあ次リアーナ、同じように測ってみようか」

「うん!」


後ろから持ち上げてやり、水晶に近づける。

同じ様に光り、数字が手の上に出てきた。


…は?

リアーナのレベルを測定して出た結果はこうだった。


『2(-)』


2の数字の後ろに(-)と書かれている。

俺が持ち上げていたからとかでは無く、リアーナだけを測定して謎の数値が出た。


「えっと、これは…」

「わ、私にも分かりません」


そう困惑気味に応えたルフラさんはカウンター奥に居る他職員に視線を向ける。

他職員も同様、驚いた顔をしており、ルフラさんの視線に気がついて、首を横に振る。


「えっと、とりあえず、私たちも想定外でどうすればいいのか…。少し様子を見て問題無いようであればそのままで大丈夫だと思います。…多分」


ちなみに、当の本人は良く分かっていない様子。

まぁ、俺としては大凡予想は付くから多分大丈夫だろう。

どういう経緯でこうなったか知らないけれど…。


「分かりました。また何かあれば相談させて貰います。ではこれで―」


そう言ってカウンターを後にする。


ようやく終わった。

思いの他時間が掛かってしまったな。


改めて周りを見ると最初に来た時に比べかなり人が減っている。

酒場スペースは賑わっているが、利用してる冒険者は基本若く、装備的にもまだランクが低い冒険者ばかりという事が見て取れる。

今思えば街中を歩いていた際に賑わっていた酒場に居た冒険者らしき人はそれなりに装備が整っていたな…。


その後は彼らに混じってそこで最安値のセットを頼み、食事を済ませたら寝床へ行く。

入る際に扉横の机の座っていた人に代金を払い部屋に入る。


大部屋に筵をざっと並べてあるだけの部屋だ。

既に床に付いている者、中には怪我を負っている為、寝苦しそうな者も居る。

とりあえず適当に空いたスペースを2つ程2人で陣取る。


「流石に早いとこ普通のベッドで寝たいな…」

「でも、宿代。私、まだ討伐依頼出来ないから実入りもあんまり良くないと思うよ」

「…まぁ、明日起きてどんな依頼があるかだな」

「うん、明日からお勉強もお仕事も頑張る…」


そう言いながら瞼を擦ると欠伸をした。


「あー、こっち来てからまともに体綺麗にしてないな。まぁ魔法でいいか。【洗浄】」


リアーナと自分に魔法を掛け綺麗にする。


「ふぁぁ!」


リアーナが驚いたような可愛い声を上げた


「すまん、眠そうで話しても頭に入らないかと思って勝手にさせてもらった。大丈夫か?気になる所とか無い?」

「うん、綺麗にしてくれたんだよね?ありがとう」


体を触って確認しても汗や脂汗の様な肌触りはなく、お風呂出たばかりって感じに綺麗になった。

服も同様だ。


その後はリアーナが筵を寄せて来たので向かい合って床に就く。


「おやすみなさい」

「うん、おやすみ」

1日目終了

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