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もふもふ

デュラハンになった雀

作者: 山目 広介

 雀。人の身近に住んでいながら、触ったことのある人がどれだけいるのでしょうか。

 私も猫が連れて来るまで触れたことがありませんでした。

 しかし身近にいる鳥だからこそ猫によく捕まるのでしょう。

 そう、飼い猫がキャッチしてくるので仕方なく、リリースしています。

 ウチの飼い猫は外と出入り自由でした。だからいろいろと連れてきたりします。

 猫はよく友人を家に招待してくるのです。

 燕なんてのもありました。鳩も三度ほど。カラスはありませんね。案外カラスは強いみたいですね。

 他には目白やら、どこぞのペットでしょうかインコやオウムも…… 大丈夫だったのか……

 鳥類の中で最も多く家に招待されてきた、いや、正確には拉致してきた鳥はというとやはり身近でよく目にする雀なのです。

 友人を連行してきた猫を捕獲して、「ペイッとしなさいっ!」と言うとちゃんと私の掌の上に放してくれたりもします。

 雀は猫に狙われるとは考えていなかったのでしょうか。捕獲自体は難しくないようで、すぐにまた追加が来たことがありました。

 そもそも簡単だからこそ、生きたまま連行してくるのでしょう。

 雀がおバカというより猫の方が上手なのかもしれません。

 解放された雀さんは緊張からか、硬直して、手の上にいるだけでその心臓の音が激しく奏でられていることが分かるほどでした。

 その毛は鳥だけに鳥肌になり、通常よりもボリュームを増し、ふっくらとしています。

 外へ行き、塀の上にでもおいておくと、しばらくしても固まっていたり。

 生きているのか確認しようと、掌の上でコロコロ転がしていると唐突に飛び立っていくため、驚愕しました。

 救助が遅いと怪我することもあります。

 以前ピーピーうるさいと思ったら雀さんを連れてきてベッドの下へ逃げ込まれて救助が遅れました。

 助けたときにはマミられていた。

 いえ、デュラハンにジョブチェンジしていました。

 心臓の鼓動も感じられません。デュラハンは生きていません。

 それでも温もりは伝わってくるのです。新鮮なのです。

 空へ帰そうにも、羽ばたくことはありません。

 掌を傾けると、冥府へと落ちていくように草むらへ落下しました。

 それは数日で縮んでいき、羽毛と羽根が残されるだけになります。

 救助に失敗してベランダに置き忘れた雀は干乾びてミイラのようになったけど、大地へとは返らなかったから、それでよかったのかもしれません。

 頭の方は猫の血肉へとなったということで、勘弁してください。

 昇天して。



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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルから物凄く警戒していたのですが、とうとう読んでしまいました。 お残しはいけませんね。 見たら救出しない訳にもいけないし、狩の得意な猫の飼い主さんは大変ですね。 生きている雀に触る…
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