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会社辞めて異世界送り業するわ  作者: 旬のからくり
7/22

成功報酬

 おっさんは完全に信じてくれたようだし、俺もおっさんを信じることにした。


 俺もおっさんも今の所死ぬ気は無くなった、むしろ仲間が出来た事で少し先の未来も見てみたくなっている節すらある。

 俺達は情報交換も兼ねて、どこかで飲むことにした。

 トラックは置いてかえりゃいいだろ、どうせ社長は居ないのも同然だ。



「で、おまえはいくら振り込まれてんだ?」

「は?」


 駅前に停めるとたけーから、少し外れた場所のたいして流行ってない居酒屋で飲んでると、おっさんの口から俺の知らなかった話がまた一つ聞けた。


「振込みってなんすか?」

「まだ見てねーのか、給料日前だもんな。」

 何言ってんだこいつ。


「あのな、人一人ころ……、あー、仕事を済ますだろ?」

 周りに他の客もいるから殺すってのは言い辛いか。

「はい。」

「そしたらよ、仕事料のつもりなのか何なのかわかんねーけど、金が振り込まれてんだよ。」


 なんだって?


「名義はどうなってんすか?」

「空欄だよ、毎回金額は違うんだけどな。多い時は三百万以上入ってたこともあるぞ。6万くらいの時もあったりよくわかんねえけどよ。」

「え、じゃあ今すげー貯金あるんすか?」

「あるよ、怖くて使えねえから使ってないけどな。ただ最初の仕事の時は0だったみたいなんだよな、試用期間のつもりなのかねえ。若い子をこ……仕事すると安い事が多かったな。」


 どういうこった、最初の仕事……、いやなんか殺し屋みてーで嫌だなこの言い方は、好きじゃねえ。

 異世界送り、これにしよう。

 最初の異世界送りは金が貰えなかったってのはまあいい、そもそも貰うつもりでやってねえ。

 その後の金額にばらつきがあるってのがわからねえ、難易度とかか?

 いや、難易度もくそもねえ、何しろ近くに行けば殺す気が無くても勝手に死ぬ、ガソリン代が何百万もかかるわけはねえから交通費でもねえ。


「誰が振り込んでるんすかね。」

「さあな、わかんねーけど、それで銀行から何か言われたことはねーし、もしかしたら俺達のやってる事って国が絡んでるとかじゃねーのか。」

「国……すか?」

 突拍子もない、とも言えねーな、ランダムで選ばれた奴らに邪魔な人間を始末させて、成功報酬を与えれば次から頑張って異世界送りに励む奴もいるかもしれねえ。

 当然俺達は警察に捕まる事はねーし、銀行も圧力受けてて余計な詮索はしない。

 前提が国だとしたら辻褄はあうか。

 いやいや、待て待て、前提が合ってるんならその後がおかしいだろ。

 なんでこんな倉庫で受け取った建築資材を現場に運んでるだけで、何の能力もない俺達に目を付けるんだよ、そんな回りくどいことするならいっそ殺し屋でも雇った方が確実だろ。

 医者を抱き込んで殺して、病院の帰りに行方不明になりました~、とかでもいい、とにかく俺達にやらせる必要性がねえ。



「まあ偶々間違って何かの金が入ってんのかもしんねーけどな。」

 そんな訳があるかバカ、何の間違いで偶然異世界に送るたびに金が振り込まれるんだよ。


「俺、ちょっとコンビニ行って見てきます、通帳は今持ってないすけど、大体いくら入ってたかは覚えてるんで、残高見れば増えてるかどうかくらいはわかると思うんすよ。」


「ああ、オッケー、一人目は0円だろうから、社長の娘の分がいくらかだよな。高校生だし安いかもな、ついでにタバコ買ってきてくんねー?」


 そうなんのか?

 いや、一人目が0円なんてルールがあるのかもわからんだろ、俺達に異世界送りをやらせてるやつがいるとしたらだが、金で釣ってるんなら一人目から金が入らねーとやる気に繋がんねーし。


「まあ取り敢えず見てみますよ。」


 俺はおっさんを飲み屋に残して近くのコンビニに向かった。


 ATMにカードを刺して、残高照会をする。


 結果は、とんでもない事になっていた。


「に、二千万……?」

 おいおい、高校生は安いとかなんとか言ってたじゃねーかあのおっさん……。

 どういう事なんだよ、実際に振り込まれてたのも謎っちゃ謎だが、この金額……。


 何があるかわかんねーから二千万には手を付けないように、俺の給料から(のつもりで)二万だけ卸して、おっさんの煙草を買って戻った。




「おー、おかえり、どうだった? 五万前後だったろ?」

 無言でおっさんに煙草を渡した。

「なんだよこれロングじゃねーじゃねーか……、いや、パシリにして文句言うのも悪いけどよ。」

「二千万。」

「ん?」

「二千万入ってたっす。」

「はあっ!?」

「マジっす、こえーから手はつけなかったんすけど、なんなんすかね……。」

「あ、まあ俺も手は付けてねーから気持ちはわかるけどよ、それにしてもおまえ二千って……。」


 この金額の謎が解ければ恐怖感も和らぐ気がするんだが……。

「ちょっと整理しませんか? どのくらい今までの相手と金額覚えてます?」

「え!? あ、ああちょっと待てよ、通帳持ってんだ俺。」

 鞄から通帳を取り出すおっさん。


 見せてもらうと最初の空欄振込は確かに0だった。

 ていうかそもそも0って書きこまれるのがおかしいだろ、そこに疑問を持てよおっさん……。

 見ていくと確かに金額はバラバラだったが、348万798円が最大で、最低は0。

 二千万なんて金額は存在しない。


 どれがどんな相手だったのかを聞いて行くと、確かに高校生くらいまでは安い事が多いんだが、中には20万を超えている高校生もいる。

 逆に社会人はみんな高いのかといえばそうでもなかった、平均としては学生よりはたけーが、0に近い奴もいる、一概に年齢とは結び付かねーんじゃねえかこれ。


「いくらなんでもばらつき過ぎてないすか?」

「う~ん、なんだろうなあ、くじ引きで決めてんのかね。」


 真面目に考えろおっさん、誰がくじ引きしてんだよ。

 ぜってー何か法則性がある筈だ、二人異世界に送って二千万なんて話がうますぎる。


 おっさんに金額が高かった、そう、三百万超えのやつの事を聞いてみると、スーツを着たサラリーマンで、飛び出した子供を助けようとトラックに飛び込んできたという。

 親子連れは礼も言わずにその場から立ち去ったそうだ、その親の方を殺してやった方が良かったんじゃねーのか……。


 0円近い奴らはいずれも、ニートであるとか学生であるとか……。

 いや、ニートか、これはヒントなんじゃねーか?

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