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会社辞めて異世界送り業するわ  作者: 旬のからくり
14/22

軟禁PA

 おっさんの提案でトラックは高速のPAへ。

 ここならトラックをどんだけ停めといてもいいし、こいつが逃げ出す心配もない。

 ここに来るまでに有里渚の家で起きた事は全て説明した。


「つまりこいつは俺達と違って好き好んで送りを楽しんでるってわけか。」

「そうなんすよ、俺が女を身代わりにしたって体で送りが成立してんのかと思ったら、普通にこいつが殺したってだけだったんす。」

「だとしたら今までのも他の奴とバッティングしてるかもしんねーのか……。」

 そういやそうだな、俺のスマホとこいつのスマホに同じ人間が表示されたって事になる。


「おい、俺の質問に答えろ、いいか?」

 現場返りで汗臭えおっさんと、自分を散々ぶん殴った俺に挟まれた変態野郎は頷くしかなかった。

「あんたのスマホにさっきの女の名前が出たのは今日か?」

「ち、違う、一週間くらい前だ。」

 やっぱりか、あの日記に書いてた怪しい奴ってのは……。

 いや違うな、こいつな筈がねえ。

「あんたその時にあの女に近付いたか?」

「いや、俺は行ってない、ツレに頼んで確認してもらっただけだ。」

 そうだよな、こいつが近付けばその場で送りが成立する筈だ。

「その連れって奴もスマホの事を知ってるのか?」

「も、勿論知ってる、ツレのスマホに出た奴は俺が下見に行くんだ。」

 四人目もいやがるのか。

「で、あんたの連れも同じようなサイコ野郎なのか?」

「サイコ野郎ってのは酷いんじゃない? お前達だってヤってんだろう?」

 いきなりニヤニヤしやがってこの野郎、気持ち悪りぃやつだ。

「あんたと一緒にすんな、楽しんでやってる訳じゃない。誰がこれを送り付けて来てんのかを知りたいんだ俺は。」

「こ、殺してんだから一緒だろうがよ、楽しんだ方がいいに決まってる。それに……」


 まあ確かに殺しは殺しだし、無視も出来るのにのこのこ現場に行ってんだから言い返せねーんだが。


「それに?」

「あんたらまだ日が浅いだろ? わかるぜ、俺も最初はそうだったんだ、そのうち楽しくなってくるんだよ、何したって消えちまうんだ、やりたい放題よ。JCなんか引いた日はもう最高ぅぼっ!?」

 堪り兼ねておっさんがどついた、よっぽどとさかに来てんだろうな珍しい。

 日が浅いってのはよくわからねえ、こいつがいつから送りをやってんのかも知らねえが、まるでいつか俺達も送りを楽しむようになるとでも言いたげだな。



「胸糞わりい話はいいからよ、他に何か情報はねーのか? あ? 大先輩さんよ。」

 おっさんキレてんなあ。

「ば、バッティングがどうとか言ってたけど、そうじゃなくて、ずっと無視してたら消えるだろ? 知ってるか?」

 おっさんにビビってんな、まあくせーからな、いや、関係ないか、殴られたからか。

「おう知ってる、そうやってやり過ごして来たからな。」

 おっさんがそう答えると、変態はヒヒっと笑って言う。

「やり過ごした? 本当にそう思ってる? あれって表示が消えるだけであんたの仕事として残るんだよ。」

「……なんだって?」

 それでこいつの一週間も前の有里渚殺しが成立したのか。

「表示が消えた後も殺していいんだよ、ただ、他の奴にも紹介メールが来るから奪い合いになるんだけどね。」

 俺のスマホに有里渚が表示されたのはそういう事か、こいつがその日に行かなかったから表示が消えて今日は俺の所に。

 もしかしたら変態と俺の間にも何人かいるかも知んねーって事だな。

「だから俺達は先に調べるんだ、金を持ってそうかどうかね、まあ好みの女なら楽しめるから金は無くてもいいけどよぶぇっ!」

 だからそういう言い方するとおっさんに殴られるっての、学習能力ねーのかこいつは。


「仕組みはわかった、で、あんたはどうやって連れとやらに会ったんだ? 他にもいるのか?」

「ツレと会ったのも紹介メールからだよ。俺はツレしか知らない、ツレは他にも知ってそうだけど。」

 紹介メールって言い方がなんか気に食わねえんだがまあ我慢してやるとして、同じ境遇の奴も教えてくれるってのか。

「あんた最初はそいつを殺しに行ったのか?」

「俺じゃなくて向こうが俺のとこに来たんだ、突然車で来て俺の横に車停めてよ。」

「車?」

「そうだよ。で、しばらくして降りて来てよ、言うんだよ。もしかして紹介メールで人殺ししてる? って。」

「で? あんたは何て?」

「最初はケーサツかと思って逃げようとしたけど、ナビを見せて貰ってそうだよって答えたよ。」

 ナビだって?

「ナビに何かあったのか?」

「俺の居場所がずっと表示されてたんだよ、で、殺したら名前と飛ばした先が表示されるんだって教えてくれた。近付いたら殺しが上手くいくのは俺も知ってたから。」

「でもお前は死んでないだろうが。」

「そうなんだよ、そこでツレが教えてくれたんだ、近付いても殺せないのは仲間の証だって。それからつるむようになったんだよ。」

 おっさんと俺の話の辻褄があったな、そういう事だったか。


 おっさんが何かを思い出したように俺を指差す。

「ん? じゃああの時のナビはおまえ……」

「あ、そうなんす、俺は知らなかったんで、ナビの通りだと殺す事になるかもしれないって思ってたっす。」

「な、なんだよおまえだけ隠すなんてせけーだろうが! 俺殺されてたかもしんねーの? お前に?」

「いや、殺す気は無かったっすよ、もしかしたら俺が殺される方かもって思ってましたし。」

「え……、あ、そうか、どっちがゴールかわかんねーもんな。」

「まあこいつの話でナビの意味はわかったっすからね、俺達が会うように指示されてたって事すよ。」

「じゃあおまえ、こいつが言う限りじゃそのツネとかいうやつは他に仲間がいっぱいいるかもしんねーのか?」

「ツネじゃなくて連れすね。」

「ああ、名前じゃないのか。」

 おっさんはやっぱり馬鹿だ。

「いっぱいいるかも知んねーし、下見してるって事は金持ちだけ狙って大儲けしてんのかもしれないっすね。」


 それが悪いとは言わねーがよ。


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