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第一話

「・・・であるからして1460年ごろにヴラド・ツェペシュの串刺しを目の当たりにしたオスマン帝国の兵士により串刺し公の名前が・・・」


キーンコーンカーンコーン


「それでは、今日の授業はここまで。」

「起立、礼、着席。」


今、今日の最後の授業である歴史が終わったところだ。正直、眠気に耐えるので精一杯だったが、成績をこれ以上落とすわけにはいかないから頑張って聞いていた。


「よぉー、マサ。一緒に帰ろーぜ。」


こいつはミズキ。小さい頃からの友達だ。俺以外の奴と喋っているところをあまり見たことがないから、友達は少ないらしい。


「悪い今日はこれから用事があるんだ。ていうか、ミズキ。毎日、俺と帰ろうって言ってるけど、他に一緒に帰れる奴いないのかよ。」

「・・・・そんなこというなよ。知ってるだろ、俺が他の人と話すとどうなるか。俺だって他の人と帰ってみてぇよ。」

「わ、悪い。悪かったからそんな顔をするな。」


そう、ミズキはかなりの人見知りなのだ。俺以外と話しているところを見たことがあるが、ひどいものだった。まともに、相手の顔を見ることが出来ないし、喋るとまともな文章が口から出てこない。俺が紹介してもまともに会話にならず相手が離れていくのだ。


「お前もそのコミュ障なんとかしろよ。そのままだとさびしい老後になっちまうぞ。」

「ふん、俺はお前みたいに節操なく関わらないからな。いいんだよ!きっとどこかに俺の気持ちがわかってくれる人がいるはずだからな!」

「分かったから、涙を拭け。また、機会を作ってやるから・・・」

「グスッ、スマン。んで、用事ってなんだ?お前、部活とか入ってないはずだろ?」

「ああ、チャペルの人に呼び出されてな。帰るのは遅くなりそうだ。」

「またかよ。今日はなんなんだ?掃除か?修理か?」

「さぁな、行ってから聞くさ。じゃあな。」

「仕方がねえな。じゃあな、今度また、セッティングしてくれ。次は成功する気がするから。」

「・・・・お前、それ何回目のセリフだよ。分かったよ、また今度な。」


俺はミズキと別れてチャペルに向かった。俺が通っている聖桜月(セント・さくらづき)学園は150年の歴史を持っている古い学園だ。チャペルなどの教会もあるし、孤児院や更生施設もある。


「ていうか、普通の学園にチャペルは別としても、孤児院やましてや更生施設なんて無いだろ・・・・」


俺は一人で人気のない通りをチャペルに向かって歩いていると、前から女子が歩いてきた。


「ヤッホー、マサタカ。何、こんなところで一人でブツブツ言いながら歩いてるのよ。」

「よう、カサイか。ちょっと、この学園について考えていた。ちなみにここを進んでいたのはチャペルへの近道だからだ。」

「へ?この通りってチャペルへの近道なの?ていうか、学園についてってなによ。」

「知らなかったのかよ。何年この学園に通っているんだ?更生施設とかがあるのが不思議に思っているからな、そのことについてだ。」


こいつはカサイ。同じ学年の陸上部に入っていて元気で前向きな女子だ。人当たりが良く、よく言えば単純、悪く言えばバカな奴だ」


「ねぇ、誰に向かって話してるの?思っていることが口に出てるよ。ていうか、バカってなによ!これでも成績は上がってるんだからね!」

「おっと、つい本音が。てか、下の下から下の中になっただけだろ。しかも、この学園のOGの天才様に勉強を教えてもらって。」

「ムキー。仕方がないでしょ!勉強なんてしなくても生きていけるんだから興味が持てないのよ。」

「だから、お前は単純なんだよ。興味があることはすぐに覚えるのに、興味がないと記憶力0ってどんな頭してんだよ。スポンジなのか?」

「なんですってー!誰がスポンジ頭なのよ!逆にスポンジなら水を吸うように覚えれるから苦労しないわよ!」

「そっちかよ・・・。まぁ、それはいいとしてなんでカサイもここにいるんだ?陸上部はどうした?」

「いくない!このことについては今度きっちりと決着をつけましょう。私は孤児院の用事が終わって、これから部活に行くのよ。そっちこそチャペルなんかに何の用よ?」

「さぁな、呼び出されただけだからな。用事はついてから聞くさ。」

「また?アンタもいい加減その頼まれたら素直に従うの止めなさいよ。学園の便利屋ってあだ名が付き始めてるわよ。その内過労で倒れるんじゃないの?」

「まぁ、無理はしないさ。お前も孤児院のメンバーなんだから気を付けろよ。倒れたら子供たちが心配するぞ。」

「大丈夫よ。陸上で体力は自身があるからね。あっヤバイ、部活に遅れる!またねマサタカ。」


そう言ってカサイは後ろの方向に走って行った。


「流石、陸上部のエースだな。速ぇ。」


カサイが走り去るのを横目で見ながらチャペルに向かった。


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