今日の空の色は何色ですか?
いつからだろうか。自分の心に、辛い気持ち、怖い気持ち、嫌な気持ち、全部、全部押し込め始めたのは。
最初は自分を守るためだったのかもしれない。自分は小学校から高校までいじめられていた。周りに心配して欲しく無かった。黙っていた。必死に隠していた。ドロットした感情を心に押し込めながら。
その結果誰にも気づかれなかった。でも良かった安心と裏腹に少し寂しかった。このまま誰にも気づいてもらえないと感じていた。
永遠に自分の気持ちに気づいてもらえなかったら自分は何をするのだろう。
自分には小学校から一緒だったには友人がいた。それは今となっては顔を合わせないものと成っていた。きっと自分がいじめられているのを見て関わりたくないから離れて行ったのだろう。
それでもイイよ。
人間、自分が傷つくのが嫌でも、周りはどうなってもいいと思ってる生き物だから。でも自分は違う人間だよ。自分のことはどうでもいい。周りが良ければそれでいい。
だって自分は必要とされてないんでしょ?
今日は、先生との進路の話しがあった。
「澪くん、これから進路どうするの。」
「はい。高校にはいってまだ半年ですし、もう少し考えたいと思います。」
自分の名前は空野澪。よく、女みたいな名前だなとからかわれていた。
「………澪君、もしかしていじめられてない?」
「……いえ、いじめられていませんよ。みんなと仲がいいのは知っているでしょ。」
「そ、そうだよね。ごめんね。でも先生は澪君のこと心配しているよ。もし何か合ったら、なんでも先生に言うのよ。」
「はい、わかりました。失礼します。」
うそ
自分が生徒を守ったとゆう自信が欲しいんでしょ?そう言うの自己満足ってことしってる?
でも、分かっている。先生がそう言う人じゃない事を、でもね自分はそう言うことしか考えられない人間だから。
学校を出て数分、自分が歩いている時、前に男子3人組がいた。
「よ!またあったな。み・お・くん。」
彼らは今、自分をいじめている人たち。
「おらよッ、はは、部様。一発殴っただけでKOとか弱過ぎ。」
「い、痛い。」
「あったりめえだろ、痛くしてんだからよッ!!」
「ガッ、……や、やめろ。」
「おら、まだまだ。」
何時ものこと。
自分はそう思っていた。殴られるのも、蹴られるのも何時ものこと。
可笑しいと思っていない。だって何時ものことだから。
でもね、彼らは知らない。自分はもう
体の感覚がないことを。
いつの日からか、自分の体の感覚が薄れていることに気づいた。心に溜め込むほど、どんどん感覚がなくなって
今となっては感覚がなくなってしまった。
感覚だけじゃない。嗅覚も味覚も分からなく成っていた。最近では、視力や聴力も失い始めた。心も壊れていく。
だけど、自分は演技をやめない。きっと誰かに気づかれたら、心に溜め込むことを辞めなきゃいけなくなる。辞めたくない。
だって心の痛みが快感に成っていたから。
心に溜め込む行為が体を蝕んでも、止められない、止まらない。
苦しむと心がチクリ、悲しむと心がチクリ、恐怖チクリ、敗北感チクリ、不信感チクリ、チクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリチクリ
全部、全部、心の痛みになる。この痛みが、全ての痛みが
自分の快感だ。
だから自分は
「いッ……や、やだよ、ゆるじで。」
やめない。
自分は今、焦っている。心の痛みが感じることが出来なく成っていた。何度も殴られても、何度も蹴られても、何度も苦しんでも。心の痛みは感じられなかった。
なんで、
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
そして、気づいてしまった。自分の心は死んでしまったことを。
そして、もうあの快感を味わうことが出来ないことを。もう、絶望しか無かった。
自分に残ったのは、ボロボロな体だけだった。睡眠障害を起こし、3日ぐらい寝ていない。
朝から、頭が痛かった。周りが歪んで見える。寒い。体が震える。だんだん意識が朦朧としていた。闇に包まれる感じだった。気づいたときには、学校の屋上にいた。
時間は夕方で、そよ風が自分の髪をなびかせていた。
「きっと自分は死にたいんだな。」
心に押し揉むことも、痛みを感じることが出来ない自分なんてもういらない。
自分が死んでも誰も悲しまない。
だって誰も自分を必要とされてない。
「そうじゃないよ!」と誰かが言っても恐らく、自分は聞く耳を持たない。
もう分かっているんだ。
早く楽になりたい。
自分は初めて周りに迷惑をかけて自分を守ろうとした。それが死の道でも。
自分は鉄の柵を乗り越えて、靴を揃えた。立っている場所から数センチ先は足場がない。
「あはは、やっぱり怖いよ。足が、震えている。」
自分は息を吸った。少し緊張が解けた。すると、後ろからドアの開く音が微かに聞こえた。
「まてーーー!!!澪ーー!!!」
それは、‘‘元”自分の友人だった。
人に見られながら死ぬのも悪くないか。
「澪、待ってくれ。全部、全部おれが悪かったから。だから……ッ!!!!!!!」
自分は外へ飛び出した。
ごめんね。君が最後に何か言っていたけど、もう自分には聴こえない。
もう最後に残っているのは、ぼやける視力だけだった。
どんどん君の顔が離れて行く。
泣かないで、別に君のせいじゃないから。でも君は優しいから死ぬまで自分を責め続けるだろうなぁ。
あは、君のせいで後悔が残っちゃったじゃないか。
もし、自分が……僕が君に心に溜め込まず、打ち明けていたら、こんな未来に成らなかったかもしれない。
もう、君のせいで涙が溢れるじゃないか。
自分勝手な僕をゆるさなくてもいいよ。でもこれだけ言わせて。
『ありがとう』
僕の気持ちに気づいてくれてありがとう。
口パクだけど伝わったかな。
はぁーもうすぐ地面だ。とても長い、長い落ち方だったなぁ。
今日の空の色は、
赤だよ。