初遠征 3日目 突如……
映画を見終え、感想を言うこともなく、彼女は映画館の出口へ向かった。
僕は情けないながらも、ついていくしかなかった。
映画館の出口へ出てから彼女に言われた。
「あの、やっぱ無理です、すみません」
僕は意味がわからず聞き返した。
「帰ります」
その言葉を聞いて全て納得できた。彼女は歩きだし、僕は取り残された。
「あ……」彼女が、振り返ってこちらを見た。
「帰り道はそこまっすぐ進んでいけばさっきの駅に戻れますから」
彼女は人ごみへと消えた。
僕はホテルへと戻った。彼女のSNSでは今見た映画の内容の感想が書かれていた。
僕はSNSのアカウントを消した。彼女に申し訳なさ過ぎて、どうしようもなかった。どうしようもない自分がまた情けなかった。
情けない僕はホテルで泣いてしまった。泣いている途端に僕はとてつもない不安にかられた。ホテルで4日目を迎えようとしているからか、突如突き放されからか、家族の存在の偉大さに気付いた。両親に感謝と謝罪と、明日お土産を持って帰りますとメールを送った。
告白すらさせてもらえませんでしたw
孤独でいると、両親に無償に感謝したくなりますよね、僕だけでしょうか。