第5話 初戦闘と決めたこと
アクセス数がとんでもないことになってる……
日間八位って……何これ、こわい。
二日ぶりに出た外は、どこまでも抜けるような青い空と、鮮やかな緑の大地が広がっていた。そして、周りに立ち込める殺気と獣臭。
僕は今、灰色狼の群れに取り囲まれています。
「はあ……」
魔物知識の中から引っ張り出してきた基本情報によると、灰色狼は、比較的レベルの低い魔物だが、群れで襲ってくるので、危険とのことである。
「出るんじゃなかったかな」
低く唸る灰色狼に向かって、剣で威嚇しながらそうつぶやく。
「食べ物が、もう少ない」
ゲームのアイテムをそのまま引き継いだのだが、生きてく上で必要な食糧が、ほとんど無かった。ゲーム内では、HPを回復するアイテムとして、料理と言う物はあったが、回復量が微々たるものだったため、ほとんど持っていなかった。その為、早々に食糧が切れかけたと言うわけだ。
早急に人のいる村などに行かなくてはならくなり、大慌てで装備を整えたのだが、ここでまた問題が発生した。
「防具がない」
ゲームでは、男性キャラを使っていたのだ。当然、防具も男性のものしかないということになる。だが、今僕は女の子である。体格的に男性用防具を着けられない。無理矢理着ては見たものの、動きにくくて仕方がないと分かったので、止めることとした。
結局、鍛冶師の初期装備である作業着を着て、ホームの倉庫とつながっているマジックポーチを腰につけ、昨日作った剣を護身用に持ちホームを出たのである。
「どうしたもんかな……」
灰色狼の波状攻撃を軽々とかわしながら、考える。
相手の攻撃がゆっくり見え、自分の方はかなり速く動ける。余裕があるため、考えてしまう。『殺してもいいのか?』と。
魔物と言うのは、魔人や魔獣とは違い、邪神の邪気が物や動物の死体などに憑いて発生したものであり、無差別に人などを襲うため、排除しなければならない物と言うのが、この世界の常識である。
しかし、僕は平和な国日本の一般人だ。いくら危険なものだとはいえ、生きている(正確には違うが)ものを殺すのは抵抗がある。
「「「ぐるあああ」」」
考えている間でも、灰色狼の攻撃はどんどん激しくなってくる。逃げるのは不可能であるため、倒すしかない、倒すしかないのだが……
「くそ! なるようになれ」
跳びかかってきた一匹の攻撃を、横に半歩動きかわす。と同時に剣を振るい、灰色狼を切り裂く。
「え?」
予想していた肉を割く感触はなく、実にあっさりとした感触だった。さらに、真っ二つになった狼の体からは血の一滴も出ず、地面に落ちると同時に消えてしまった。
「な……」
「ぐるあーーー」
一匹倒されたせいか、前にもまして攻撃が激しくなる。
びっくりしたり、考えたりしている暇はない。今はこの場を切り抜けるのが先だ。
「ラスト」
最後の一匹を切り裂いて、落ちたその体が消えたのを確認し、僕は、その場に座り込んだ。
「はあ、はあ、疲れた……」
体力的には全く問題ないはずなのだが、ここまで疲労を感じるのは、精神的というやつだろう。いくらチート能力を持っているとはいえ、命のやり取りをしていたのだ。その上に、生き物を殺すという行為をしたのだ。精神的にかなりの負担だろう。
「割り切らないといけないか……」
頭では解っているのだが、心が追い付かない。
「……よし」
葛藤はあったが、割り切る。割り切ることにした。死体が消えたことを浄化したと考えるようにする。一種の逃げだが、こうしないと先に進めそうにない。
軽く手を合わせて、立ち上がる。ふと、足元を見ると、そこに灰色の何かが落ちていた。
「なんだ?」
拾い上げてみると、1メートル四方ほどの毛皮だった。さっきまでこんなものなかったはず。疑問に思ったため、意識を切り替え、鑑定モードに入る。
『名前:灰色狼の毛皮 レア度:1 備考:灰色狼を倒した時に手に入る毛皮。衣類おもに防寒着に使われることが多い』
ドロップアイテムデスカ。こんなところがゲームと同じとは思いませんでしたよ。
鑑定モードのまま、周りを見回すと、いくつかのドロップ品があることが確認できた。その内訳は
『灰色狼の毛皮:5枚(レア度1) 灰色狼の牙:2本(レア度1) 灰色狼の尻尾:1本(レア度3)』
であった。
「尻尾? しかもレア度3」
どうやら、アクセサリーにするらしく、魔よけの効果があるとのことだ。
「うーむ、よくわからんな」
そう言いながら、ドロップ品を拾い集め、ポーチに入れる。
倉庫につながっているため、いくらでも入る上に、重さが全然変わらない。
「……」
突然ながら決めたことがある。
ホームの使用をなるべく制限しようと思うのだ。
理由は一つ、便利すぎるのだ、あれは。
別空間にあるため、魔物は襲ってこない。食べ物は手に入らないが、水やお湯は使いたい放題。原料さえあれば、鍛冶や錬金はいつでも好きなように出来る。
僕は、この世界で暮らしていくことになった。それならば、この世界の人と同じように暮らしていくべきではないかと考えたのだ。
便利なアイテムを使い、強い武器防具を持ち、最強チートな力を使って、俺無双と言うのも魅力を感じないでもないが、なんとなく面白みを感じない。出来て当たり前のことをやっているだけという風になりかねないからだ。
チート能力はどうしようもない。使わないという選択肢はない。それを使っても難しいと思えるようなことに挑戦しようと思う。
「そのためにも、早く人里に行かないとな~」
さっきから歩き続けているのだが、人影は見つからない。道みたいなものはないかと見ているのだが、視界には入ってこない。
そのかわり、角兎、大鼠、灰色狼など、何匹もの魔物に襲われた。
「間違った方向に進んでいるのか?」
ドロップ品を拾いながら、そう思う。
高いところから確かめようにも、起伏のない平原ではそう高いところはない。
せめて木なり何なりあれば……
「……僕って、飛べるんじゃなかったっけ」
神人の特殊スキルに、飛行という物があった事を思い出す。
「物は試しだ、やってみよ」
翼を動かしてみたものの、風が起こるだけで、体が浮かぶ気配はない。
やり方がまずいんだろうか? 翼を動かすだけではダメってことなんだろうが、どうすればいいのか?
「ジャンプ」
そういえば、何かの本で読んだ覚えがある。鳥は飛び立つ瞬間に、ジャンプしていると。その為、腕にとめた鳥が、ジャンプしようとした瞬間に腕をちょっと下げると鳥は飛び立てなくなる。それと同じことが言えるのでは?
「仮定の話だが、やってみる価値ありだな」
軽くジャンプすると同時に、翼を動かしてみる。
「おお」
軽く翼を動かしただけなのに、体が浮かび上がる。立ち姿勢のまま、翼を動かせば、どんどん高度が上がって行く。
「自分の力じゃないな」
感覚で分かった。翼を利用して、風の力を借りて飛んでいるのだと。
「おっと、まずは人里を見つけねば」
当初の目的を思い出しぐるりと辺りを見回すと、自分が歩いてきた方向に、道を発見。その向こうには、いくつか細い煙が立っているのが目に付いた。
「本当に逆方向だったとは……」
あの襲われたりしながら、進んだ距離は無駄だったのかと思うと、少しがっかりする。
「練習の意味も込めて、このまま飛んで行こうかな」
翼で感じている、風の動きを操作して、体を地面と平行にする。
そのまま、体を前に押し出すように翼を動かすと、スーと前に進む。
「村か、町か知らないけれど、その手前まで飛んでいくか」
手前で降りて、後は歩いてゆけばそんなに騒ぎにはならないだろう。
戦闘シーンがうまく書けない。だれかうまく書く方法を教えてくれないでしょうか?
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