怪奇!真実の愛返しで婚約破棄された令嬢が立ち直った話
『イシルタ、私は真実の愛に目覚めた。邪魔しないでくれ。いい加減に身を引いてくれないか?』
『そうですわ。貴方はお邪魔虫なのよ』
婚約者リヒャルト様から真実の愛に目覚めたと言われました。
親が決めた結婚です。
相性もあるでしょう。
だけど、私が邪魔をしているとの言い方でした。
とても、腹が立ちますわ。好きな人が出来たから婚約を解消して欲しいと言えば快く身を引きますけど・・・
問題は、リヒャルト様とメルル様のファンたちが私を批難するのです。
全く知らない人が。
『イシルタ様、いい加減に身を引いたら如何ですか?』
『そうです。2人が結ばれるのは運命だったのです』
と私を批難するのです。
『貴方たちはどなたですか?』
『まあ、とぼけて』
『どんだけあつかましいのですか?』
もう、情けなくて怖くて、何も言えませんでした。勝手に私のイメージが出来上がっていると言うか・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ですから、私は学園に行くのが怖くなって、自室に閉じこもっているのです。グスン、グスン・・」
義妹のメアリーが『ごはんなの~』と呼びに来た。
少しドアを開けたら無理矢理入って来たわ。
『お義姉様、ズルいの~、学園サボりなの~』
というので、部屋に入れて事情を話したわ。
「と~てもわかったの~、メアリーは遊びに行くの~」
すぐに興味が薄れた。メアリーは5歳、それぐらいの歳の子ならそうなのかも・・・
私は一体どうすれば良いのかしら。
☆☆☆冒険者ギルド
私はメアリー、お義姉様からお話を聞いてすぐに冒険者ギルドに行った。
執事見習いを共に付いていってもらった。
ギルマスは歓迎してくれた。
「お嬢様、冒険者ギルドにようこそ・・・いったい何を依頼するのですか?飼い猫の捜索ですか?」
「違うの~、馬鹿で間抜け信用できないくてもいいけど、言われた事はやる恥知らずの冒険者が欲し~の」
「ええ・・・はい?」
「そりゃ、いますけど・・・」
「紹介を頼むの~」
面白い事を考えた。ギルマスは紹介状を書いてくれた。
私は前世持ちである・・・・・
「本当に良いのですか?お薦めはしませんが、ジミーなら今の時間、隣の酒場にいますよ」
「ありがとうなの~」
併設の冒険者ギルドの酒場にいるそうだ。
恥知らずの馬鹿は・・あいつか、無駄にイケメン、昼間から酒を飲んでいた。机に脚をかけている。
その男の正面に立つ。
「はあ?何だ。このジミー様になんのようでぃ!」
やっぱりジミーか。20歳後半くらいか。無駄にイケ面だ。
紹介状を見せて話しかけた。
「お前が恥知らずで金さえ払えば何でもやるジミーなの?」
「はあ?何だ。失礼だな。ガキは帰れ!」
「依頼なの~」
「はあ?俺は貴族と会う約束があるの。売れっ子ジミーだ。シィシィ!帰れ!」
「分かったの~、金貨1枚の依頼なの~、でも他の人に頼むの~」
「おっ~と、貴族からの依頼はキャンセルだった。今日は特別に依頼を受けましょう」
態度を急変しやがった。これで良い。
「お願いすることは・・・」
☆☆☆市場
「うひょー、真実の愛の男だピョン!」
ジミーを人の多い時間帯の市場で奇抜な格好で走らせた。
裸でサンドイッチマンのように体の前後ろに看板をつけさせた。ポロリンはギリギリ見えないようにした。
看板には『真実の愛』と書いている。
民の反応は・・・
「ヒィ、何だ、あれ!」
「お母ちゃん。あれ何?」
「ヒィ、見てはいけませんわ!」
上々だ。
しかし、何かが足りない。
「はあ、はあ、はあ、やりました。やりきりました。私の依頼主様、どうですか?」
自分で依頼して何だか。やりきった感を出していやがる。
よくやったと言いたいが何かが足りない。
「キャア!ジミーセクシーだべ!」
ジミーにファンがいたか。ドタドタと近づいて来た。酒樽を担げそうな体格のお嬢様だ。
「ヒィ、イタコ!今日は調子が悪いから・・・」
「レンタル彼氏してくんろ!お持ち帰りしてくんろ!大銅貨一枚やるべさ」
ジミーは恥ずかしい姿のままにファンから逃げだした。
「ヒィ、また、今度!」
「はあ、はあ、はあ、そんな格好をしたら我慢できないだ。待てだ!」
2人は長い事、市場を走り回った。その後は知らない。
真実のカップルが噂になったか?
吟遊詩人が歌ってくれた。
ボロン♩ボロン♩ボロン♩
「怪奇!真実のカップルが市場で目撃された!男は半裸で真実の愛と叫びながら女に追いかけられている!」
「まさか」
「いや、俺見たよ!女は田舎者で男はイケメンだった」
「真実の愛だポンと叫んでいたな・・・」
前世、日本では、『真実の~』とか『新~』『世界〇〇団体』みたいな枕詞の付く物は怪しかった。
これで『真実の愛』が相対的に落ちたか?
後はお義姉様次第だ。
学園では・・・真実の愛一派は・・・外で笑われているようだ。
「マリー、聞いてくれ。学園で真実の愛があったのだ」
「クス、クス、クス、お坊ちゃま、それは怪奇真実の愛男の事ですか?」
「え、何それ・・・」
第二次世界大戦中、軍部はデマの伝播を調べた。
青森で工作員に噂を流させた。
『おい、聞いたか?駅で学ランを着た白人が座っていたぞ。下駄を履いていた』
「まさか、ドイツ人か?」
「いや、英語を話していたぞ!ハローと言っていた」
すぐに東京まで広まったそうだ。
あり得ない話ほど広まるものか?
それは分からないが・・・お義姉様はプリントを持って来てくれた学級委員に詳細を聞いたそうだ・・・
「リヒャルト様・・・笑われているわ。お父様からお前裸で市場でサンマをくわえて走っていなかったか?って、問い詰められたそうよ。ドスンドスンと酒樽を抱えた女に追いかけられてなかったかとね」
「・・?え、よく分かりませんわ」
「メルル様は鼻毛の飛び出ている女性とか・・・散々な言われようよ」
「まさか・・・・」
「大丈夫よ。理由は分からないけども、うるさい真実の愛一派は肩身の狭い思いをしているわ・・明日迎えに行って良いかしら・・一緒に学園に行きましょう。騒いでいるのは極わずかよ」
「はい、委員長」
・・・・・・・・・・・・・・
ヨシ、ヨシだ。
今日、お義姉様は学校に行って普通に授業を受けたとメイドから聞いた。
今日は少し弾んだ声で呼んであげよう。
「お義姉様~、ご飯なの~」
と。
「はい、メアリー、今行くわ」
普通に返してくれた。今日も我が屋敷は平穏無事である。
最後までお読み頂き有難うございました。




