ショートショート『笑の神が降りてきた』
スッテンコロリと転んでしまった、入学式
僕のあだ名が決まった瞬間。
体育館に敷き詰められた"あの"グリーンのシートのせいだ。アイツは前から油断できないやつだと思っていたらこの有り様。
転びかたも志村けんさんのように豪快に笑いの基本型のような転びかただった。
おっとっと…おっとっと…スッテンコロリ、ドンガラ、ガッシャン!
その後、素早く立ち上がったと思ったら、再び自分の右足に左足を引っかけてまた転ぶ、スッテンコロリ──今度は加藤茶さんのように転ぶ。
お笑いで言う「天丼」をかましてしまう、なぜ今なんだ!
僕は上を向き心の中でそう叫んだ。その言葉が一部漏れ、唾が噴水のように真上に撒き散らされ、顔にかかった。
だから今は顔が唾臭い……
もう恥ずかしくて、今度はその場で生まれたての子馬のようにヨロヨロ立ち上がったら、なん不運──ベルトがブチッと切れて、ズボンが股間にも引っ掛かることなく、ストンと落ちた……くそ、意気地無しの股間め……僕は息子を叱りつけた。
そして、高校生にもなって子供みたいな白ブリーフが白日の元にさらされる羽目に──
真っ赤に赤面してしまう顔面と白ブリーフのコントラストが、体育館にいる大勢の人間の記憶に焼き付く、
僕に二つ目のあだ名が付けられた瞬間だった。
「ゆでダコ」と「白ブリ」と──
あれから7年、僕は今、M1の決勝の舞台に立っている
笑いの神よ……再び僕にあの時の神がかった笑いの渦を与えたまえ。
笑の神は存在した、そして僕らは優勝した。




