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寺坂新①

「それにしても新はJKに対しては従順よね。私に対しての態度とはえらい違い。」

「そりゃそうだろう。僕が大学を卒業してから早5年、唯一無二のバディとして一緒に仕事してきたんだ。切っても切れない絆がある。」

「ふうん、そういうものかしら。」

そんな感じで雑談をしている一方で寺坂は車を出しながら悩んでいた。

「絆、ね…。」

そう言いながらため息をつき、エンジンをかける。

「そういうんじゃないんだけどなあ。」

寺坂新。金髪のサラサラヘアーに、25歳とは思えない可愛い系の童顔、神瀬にとっては唯一の部下である。

頭脳明晰、博学多才。彼を知るものは皆口を合わせてこう言う、あいつは天才だと。

なにをやらせても完璧にこなす。神瀬という変人を相手に助手を務められるのも彼くらいだろう。

神瀬との出会いは神輿谷大学2年のとき。当時神瀬は4年生で甘南備のもとで研究をしていた。神瀬が卒業と同時に探偵業を始め、寺坂も甘南備のもとで研究をしながら神瀬と探偵を始めた。

寺坂が神瀬と探偵をしている理由。それは大学生時代から続く友情などでは決してなく、ひとえに神瀬への恋心ゆえである。

脚が欲しいと言われれば免許を取り車を買い、暗視鏡が欲しいと言われればバイトをして買った。なにか面白いことをできるようになれと言われたらマジックを学び、落語をを学び、ジャグリングを学んだ。神瀬が求めれば寺坂はなんでもしてきた。

それほどに寺坂は神瀬を愛している。

しかし一向にその思いを伝えられないのだ。

どんなに器用で頭の切れる男も自分の恋となると上手く立ち回れない。

寺坂はモテる男だ。今の話を聞いたら他の女が黙っていないだろう。それでも寺坂はこの恋を誰にも言うことなく大事にだいじに隠し持っているのである。

とはいえ寺坂は焦ったりはしていなかった。

それは幸か不幸か、神瀬が男に全く興味を示さないからである。

それは自分にも興味が無いと言われているようなものだし、神瀬の様子からもきっと自分のことなんて眼中にないのだろう。そう思うとため息がでる。

「どうしたもんかなー。」

車を事務所の前につけ、神瀬と龍歌が乗り込む。

「じゃあ東祭駅に向かいますね。」

いっそ俺の想いにきづいてくれたら。

そんなありがちな片思いヒロインのようなことを考えながら、寺坂は何事もなかったかのように車を出すのだった。


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