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【予言者】➁
7月3日1:30PM 神輿谷大学 甘南備幸郎研究室
「教授、【予言者】は!」
「来たね、神瀬君。」
「【予言者】は生きてるか!」
「まあまあ、落ち着いてくれ。隣の部屋に待機してもらってるよ。」
甘南備 幸郎は慌てた様子の神瀬をなだめる。
落ち着いてる暇なんてない。
神瀬は急いで隣の部屋の扉を開けた。
そこには20代くらいの若い女性が口から血を吐き出し倒れていた。倒れた水筒からは中身がこぼれている。
「おい、大丈夫か!」
必死に肩を揺らすが反応がない。
倒れた水筒のふちが少し腐食している。
「苛性ソーダか!?」
寺坂と甘南備に衝撃が走る。
「おい新、救急車と警察に連絡だ!教授はなにかタンパク質を!」
神瀬が寺坂と甘南備に指示を出す。
「ああ、くそっ...!脈が取れねえ。」
初夏のありえない暑さの中冷たくなっていく体。
新たな事件の始まりをヒグラシの鳴き声が告げていた。