【予言者】①
7月3日1:00PM 神瀬探偵事務所
ブーー、ブーー
静かな事務所に1本の電話が掛かる。
「あーもしもし神瀬です。ああ、センセー。どうかしました?」
【神瀬探偵事務所】の看板が風で揺れる。
「4人目の【予言者】が現れた!?」
神瀬凛の声が響き渡る。彼女にとってそれは大事件だった。
「分かりました。おい、新。急いで大学に行くぞ!あ、センセー、その人僕らが着くまで引き留めておいてください。それじゃ。」
寺坂新が車を出す。
2人は急いで神輿谷大学に向かう。
「今回の【予言者】は死なないといいんですが。」
「まあ僕らが大学に着くまでに死んでしまう事はないだろう。」
神瀬がのんきにそんなことを言ったときだった。
「うっ…うあっ…ああっ…!」
神瀬を猛烈な頭痛が襲う。
「凛さん?ちょっと、大丈夫ですか!?」
久しぶりにきたな。
神瀬の視界が歪む。
ザー、ザー
『【予言者】は…』
ザー、ザー
『おい、大丈夫か…』
ザー、ザー
『脈がない…』
「凛さん!凜さん!」
「だ、大丈夫だ。」
「もしかして、きたんですか?」
「ああ、久しぶりに視えた。それもかなり嫌なやつが。」
まずいな…。
神瀬は視たものを信じたくはなかったが、いままでそれが外れたことはほとんどなかった。
「急ごう新。【予言者】が死ぬ前に。」