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窓口の背後

ある賃貸ショップの窓口で、日々様々な事情を抱えた人々が訪れる。彼らの中には、部屋を契約した後、しばらくは問題なく家賃を支払う者もいれば、わずか1ヶ月で支払いが滞る者もいる。

家賃滞納の理由はいつも同じだ。

「財布を落としてしまった」

「急に身内に不幸があり、その費用に回してしまった」

「買い物で使い込んでしまった」など、思わず耳を疑うような言い訳が次々と繰り出される。


この店では、家賃の期日内支払いが絶対条件である。たとえどれだけの理由があったとしても、衣食住の中でも特に住まいの重要性を理解している私たちには、そうした言い訳は受け入れられない。


長年の入居者には一定の理解を示すことがあるが、契約したばかりの新しい住人からの「お金がない」という言葉には、よほどの理由がない限り容赦しない。私は毅然とした態度で応対し、契約時には支払いが滞ることがないように、何度も説明を繰り返す。敷金や礼金は一切不要で、契約時に当月の家賃を無料にする代わりに、翌月の家賃を前払いで受け取るというシステムも、彼らにとっては新鮮なものであった。


それでも、様々な理由で家賃を滞納する人々には、私たちもいくつかの対応策を用意している。大半の場合、彼らには分割での支払いを提案し、未払いを解決した後は、再発防止のために敷金を分割で支払ってもらう。こうして多くの住人は、家賃滞納の問題を克服していくのだが、中には全てを放り投げて夜逃げしてしまう者もいる。


夜逃げをする住人たちは、身の回りの最低限の物以外はほとんど全てを部屋に置き去りにする。新たな住まいをどのように確保しているのか、私たちには知る由もない。ただ、彼らは全てを置いて去っていくのだ。私たちはその後、部屋を片付け、彼らの荷物を保管する。なぜなら、彼らは不思議と戻ってくることがあるからだ。


数ヶ月、あるいは数年後、彼らは再びこの店に足を運び、以前住んでいたことを打ち明ける。私たちはその時、彼らの過去の未払いを清算してもらい、新たな住居を提供する準備をする。彼らもまた大切なお客様であり、私たちは新たな住居から生活を立て直してもらえるよう、静かに見守っている。


このような出来事は、私たちの業務の一部であり、賃貸ショップの窓口での日常なのだ。人々の生活と向き合い、彼らの再出発を手助けすることが、私たちの使命なのだと、私は改めて感じるのだった。


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