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若さゆえ1

ある晴れた日の午後、私はアパート賃貸の窓口で忙しく働いていた。毎日、さまざまな事情を抱えた人々が私のもとを訪れ、心に抱える不安や希望を語っていく。その日も、そんな出会いが待っていた。


突然、電話が鳴り響く。受話器を取ると、声の向こう側から急を要する様子が伝わってきた。彼女の名はL香さん、20代の女性だ。ご主人との離婚が決まり、急いで新しい住まいを探しているという。小さなお子さんもいるため、保育園や自身の通勤にも便利な物件を希望しているとのことだった。


「お急ぎとのことですね。まずはぜひ当店にお越しください」と私は伝えた。


数十分後、彼女とその小さな子ども、そして彼女のお母様が来店した。彼女の母親に目をやると、懐かしい面影があった。どうやら私は彼女の同級生だったのだ。久しぶりの再会に心が和み、しばしの談笑を楽しんだ後、話は本題に移ることにした。


事前に聞いていた希望地域をもとに、数件の物件資料を手に取った。L香さんは「2階がいい」と言ったが、私は思わず提案を変えた。「実は、小さなお子さんがいる方には1階をお勧めしています。騒音問題が意外と多いもので、特に2階からの物音は苦情を招くことがあります。お子さんが元気に過ごすためには、1階の方が安心かと思います」


彼女はしばらく考えた後、私の提案に納得したようだった。その後、私が勧めた物件を内覧し、無事にお部屋が決まった。


契約では、保証人には彼女のお母様が立ってくれるとのことで、スムーズに進行した。お引越しも当店でお手伝いすることになった。


「お若いので、集合住宅での生活にはいくつかのルールがあります。特に夜間は、一般的に人が寝静まる時間帯ですから、水回りの作業やご友人とのお付き合いには気をつけてくださいね」と、私は静かにお願いをした。


彼女の目には不安が見えた。しかし、お母様のサポートも受けられるようなので、きっと新しい生活にも慣れていけるだろう。私は、彼女とその小さなお子さんが、穏やかで安定した生活を送れるよう、心から見守っていきたいと思った。


日々の忙しさの中で、こうした人とのつながりが私の心を温かくするのだ。彼女たちの新たなスタートを、私は静かに応援することにした。


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