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4.過去と偽り part1

更新させていただきました!

沢山の方に読んでもらえると嬉しいです。

「ソフィア嬢っ!お久しぶりですね。」

 

あれから数週間後。

私は王宮に呼び出されていた。

思ったよりも、呼び出しは遅かったな。

お城についた私を真っ先に迎えてくれたのは、殿下だった。

 

「お久しぶりです、殿下。」

 私も軽く会釈をした。

 

「来てもらって、早速ですがお願いがあるのですけど……いいでしょうか?」

 

へっ?

なんだろう。

って、本当いきなり……もう、わけわかんない。

こんな公の場で、殿下の頼みを断れるわけないでしょ。

それも狙いなのかもしれないけど。

 

「なんでしょうか?私にできることだったら……」


あっ、待って。

嫌な予感がする……。

私は口にしてすごく後悔した。

殿下のあの顔は……前世でも見たことあるよ?あれは……

 

「ぜひ、アルと呼んで欲しいのです。婚約者なのですから、堅苦しい呼び方は、辞めませんか?……それに、ソフィア嬢には、お世話にもなりましたし。」

 

えっ。私は殿下の言葉に驚いた。

乙女ゲームのヒロインでも、愛称呼びを許可されるのは、好感度がある程度高くて、中盤あたりでやっとだよ?

このゲーム、かなり難易度高かったから。

でも、婚約者同士だったら、あり得ることだから、断れない……。

 

「わかりました。では、私のこともソフィ、と。敬称もいりません。」

 

私だけ愛称で呼ぶわけにもいかないしね。

あまりにもバランスが悪すぎるから。

 

「!ありがとうございます。」

 

殿下が嬉しそうだ。

そんなにいいことなのかな。

うーん。

私が考え込んでいると、私の案内係だというメイドが来て、移動することになった。

なぜか殿下も付いてきてるし。

私が連れてこられたのは、綺麗な模様の入った扉の前。

実は、今日呼ばれた理由を説明してもらってないんだよね。

だから、少し立ち止まってためらったけど、周りの目があるんだよなぁ。

なので、意を決してドアを軽くノックし、返事を待った。

 

「どうぞ。」

 

中から、女の人の声が聞こえ、許可されたので、ここにいても仕方がないし、私は部屋に入ることにした。

 

「失礼します。」


前世からの癖でそう小さく呟き、部屋に入った。

中は、シンプルだけど可愛らしい、とても素敵な部屋だった。

わぁ、一度でいいからこんな部屋に住んでみたいなぁ。

私はすぐに憧れを持った。

家具も一種類に統一されていて、決して豪 華ではないけどいい素材が使われているのが 一目でわかる。

何よりも、部屋の広さが、中学校の教室の 2.5倍くらいあったのには、驚いだ。

隣の部屋に通じるドアもあって、私の趣味 そのものだった。

かーわーいー!

いいなぁ。

 

「いらっしゃい。ごめんなさいね、こんな格好でしか迎え入れられなくて。」

 

奥のベッドで横になっている女性が、上半身だけ起こして、謝罪と挨拶をしてくれた。

やばいっ、部屋の内装に夢中になりすぎて、気づかなかった。

ベッドにいるのは、王妃様……だよね?

なんか、殿下と似てるし。

髪の色が一緒。

それに、乙女ゲームに出てきたスチルと全く同じ見た目だし。

 

「いえっ、気にしないでください。ご病気が治ったばかりなんですから、無理して体にさわっては、大変ですし。」

 

綺麗な声だな。

それに美人。

あぁ、王妃様をみてると思い出しちゃうな……

前世のお母さんを。

どことなく似てるんだもん。

これで髪の色が黒だったら、お母さんと見間違っちゃいそうなくらい、瓜二つだなぁ。

 

「まぁ、しっかりしてるわねぇ。さすが、リシャちゃんの娘だわ。ふふふ、ゆっくりしていってね!ソフィアちゃんなら、いつでも、大歓迎しちゃうわ!」

 

全街撤回します!

お母さんとは似てませんでした。

否、見た目はそっくりだけど、中身は……あんまり似てないかな。

おっとりしていて、優しそう。

それに、可愛らしい。

お母さんともだけど、私とも似ても似つかないや。

 

「母上、ソフィのお母様とお知り合いなのですか?」

 

おぉ、殿下いたんだったっけ。

私の後ろには、いつのまにか入ってきたいた殿下がいた。

ついてこられてること、すっかり忘れてたな〜

 

「まあ!もう愛称で呼ぶ仲になったのね?我が息子ながら、手が早いわぁ。ソフィアちゃんとっても可愛いものね!その気持ち、わかるわ!でも、油断していたら、すぐに誰かにかっさられちゃうわよ?ふふっ、あの方の血を引いているアルベルトが、そうやすやすと奪われるようなヘマはしないだろうけど。お母さん、心配だわぁ。リシャちゃんも、優秀だったのに、そうゆうとこ抜けてたんだから!デュークがどんなにアプローチしても、全然気づかなかったのよ?本当に鈍感よね〜あからさますぎて、周りはみんなデュークの気持ちを知ってたっていうのに、肝心のリシャちゃんには伝わらないんだもの。……それはそれで、みてて面白かったけどね。もう、学園の名物みたいになっちゃって……だってね、本当にびっくりするくらい、見事に気づかないんだもの。見ものだったわよ?ああそうそう、私とリシャちゃんのことが知りたかったのよね?ごめんなさい、話がずれちゃって!

 私とリシャちゃんはね、学園で同じクラスだったのよ。ほら、私達って2人とも公爵家の人間でしょう?昔から仲良かったんだけど、学園でクラスまで一緒だなんて、運命じゃない?それで、今まで交流があったのよ。」

 

な、なるほど。

ちなみに、リシャちゃんというのは、私の今のお母さんの愛称。

デュークと言うのは、私の今のお父さん。

今の話で、お母様と王妃様の仲良くなった経緯についてはわかったんだけど……

王妃様、ものすごく元気になられましたね。

なんというか、精神的に?若々しくなったというか…。

でも、私が気になるのはそこじゃなくて……

 

「わぁ!お父様とお母様の馴れ初めに付いては初めて聞きました。普段、なかなか聞かせてくれないんですよ。どんな感じだったんですか?やっぱり、お父様の一方的な片思いから始まったんですか?それとも……政略結婚で、最初は好きじゃなかったけど、一緒にいるうちにだんだん……とか、ですか?夫婦仲は円満だし、恋愛結婚ですか?」

 

恋バナには、興味あります!

なんて言っても、中身は中学生。


恋の一つもしてみたい年頃だし?

……それに、なんかロマンチックそう。

貴族同士の恋愛とか!

 

「あら〜知りたい?やっぱり、女の子なのね!嬉しいわぁ、身近に恋愛について話せる人なんていなかったもの。」

 

「ちょっ、母上!?」

 

殿下が驚いていたけど、そんなの無視無視。

そこから始まった長い長いお父様とお母様の結婚するまでに付いては、要約すると、令嬢の鏡ともいわれていたお母様にお父様が一目惚れ。

でも、お母様は公爵家の一人娘で、お父様は、男爵家の次男。

不釣り合いなのをわかっていたため、どうにか釣り合うような男になろうと必死に努力し、公爵まで上り詰めたという。

そしてお母様にプロポーズ。

その時、お母様には、婚約者がいたんだけど、その婚約者の不正を暴いて、見事にお母様を勝ち取ったそうだ。わぁ、お父様すごーい。

パチパチ☆

なにより……

 

「そんなに愛されてるって、知っていたら、安心できますよね。お母様、羨ましいです。自分を心から愛してくれる、素敵な人に出会えて……私には、到底、無理なことだから。私のことを好きになってくれる人なんて、ここにも、居ないはずだから。私なんか……」

 

あっ、ダメだ。

こんなの、困らせるだけだって、わかってるのに。

なんで、いきなり……こんなに気持ちが押し寄せてきちゃうの?

もう、自分でもわかんないよ。

 

「ソフィは……誰かにそんなこと言われたんですか?」

 

私の言葉に、殿下はなんだか怒ったように、

でも冷静を保ちつつ、問いかけた。

私は反応に困って、黙り込んでしまった。

誰かに、いわれたのか、なんて……

 

「いっぱい……沢山言われたよ……。」

 

言葉にするつもりじゃなかったのに、つい声に出してしまった。

きっと今までの詰め込んでいたものが、いっぱいいっぱいになってしまったんだろう。

まだ記憶が混乱してて、いろんな感情が一気に押し寄せてくる感じ。

って、あれ……私の言葉に、今度は王妃様までもが冷たい表情になってしまった。

えっ、なんで?

部屋の温度が一気に下がった気がする。

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