よくある展開に付き物だよね?
「やめないか。」
ナイスだ。よくある展開。
「お前、何者だ?」
「おう。金」がヒロインとか救いそうな、金髪金目の人に問いかける。
「これは、言っていいのかわからないが、俺はこの国の第1王子だ。」
うん。言ってよかったのか分からないなら言わない方がいいよ?
心の中で王子にツッコミを入れている間にも話は続いていく。
「王族か……。尚更金持ってそうじゃねえか。」
「知らないのか。俺は君より戦闘は出来ると思うが?」
王子がそういうなり、「おう。金」は逃げていった。じゃあね。君とはもう会いたくないや。
「大丈夫?俺はジアル・デリィ。君は?」
oh my got。嘘でしょう。君は王子だったのか。すまない。
なんか色々と……ね。
なんで、私の事分からないのかなー。特にカツラとかも、してないし、服変えただけだけどなー。き、君の愛はそんな薄っぺらいのか……!
なんてね。私には今は君への愛はないです。ごめんね。
と、途中で気づいた。ここ、結構暗いからか。雰囲気もね。
「アスリナ・リリーでございます。この度は助けていただきありがとうございます。」
取り敢えず無視も悪いよね。お礼は言っておく。在り来り展開だったけど、ほんとに助かった。ありがとう。
で、普通ならお礼「後日お礼に向かいますので……。」とか、言うんでしょうね。けれど、私はこの暗がり以外で姿を見れれたくないからなー。仕方ないよね。ごめん。ほんとーに。ごめんね。
ダッシュさせていただきますね。
私は王子を1人残し、王子に背を向けて全力疾走する。
「ぜぇ。ぜぇ。」
息がぁー。辛いなぁ。走りすぎたな。しまったぁ。
わたしがダッシュした後も、王子が追ってきているような音が後ろから聞こえてきていたけれど、無視して走りまくったので、息が絶え絶えだ。
けれど、ほんとーに。王子には色々と申し訳ないよなー。
謝りすぎてる気がするけど。
「水いる?」
膝に手を着いて息をついていると、上から声がかかった。その、水という言葉に反応して顔を上げると……。
王子が黒い笑みで笑っていた。ふぇ!!う!ううわああああぁぁぁぁ。
びっくりだよ。王子。足が早すぎだよ?