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侵入と奇襲

青い蝶が舞うように月が不思議と赤くなっているような感覚で見入っていると。

目の奥が熱くなるような気がした瞬間!

妙なビジョンが私の脳裏に浮かぶ。


滅んだようなビルの上に何故かいて、アルセイヌの周囲には赤と青の蝶が舞うように飛んでいる。

綺麗だと思うのに、私は自分自身が寒いほどに冷え切った感覚と絶望感で苦しみが襲っていた。


子供の姿ではなく大人のアルセイヌが黒く染まるような姿に、そっちへ行ってはダメだと叫んだ瞬間、不意に私目を手袋の布地で塞がれ。


「アルセイヌ様!」


急に声が耳の中に響き現実へと戻っていた。


「いまの...なに?」


スッと手が目から離れるとゲルフィンさんが目の前にいて心配そうに覗き込む姿があった。


おおーー美青年は近くで見るとより美形ッスね眼福です。


じゃなくて! 私...さっき何を見てたんだろう?


建物には前世と同じような感じだったような。

それにアルセイヌを包み込むような黒い霞みと蝶。

よくわからない現象に少し何か思い出しかかるも、頭の何処かに引っかかる感じでもやもやしてくる。


その時だった、硝子を破る音が私の耳に聞こえ思考が途切れた瞬間、ゲルフィンが私を抱っこしていた。


浮遊感と突然の驚きに目をパチパチしてしまう。


私も手は手袋をしているから大丈夫なので服を掴んでおく必要があったから、だってさっきまで私が寝てたベッドには黒い服を身に纏った集団がいて、ベッド切り刻まれてたんだよ!


めっちゃ怖いんですけど!


ゲルフィンさんの素早い行動と判断で助けて貰えたことは感謝しかない。


「さすがに、てこずってるようですね。」


ボソッとゲルフィンが呟いたあと、私にしっかり捕まって下さいね! と優しく囁くもんだから、こんな危機的状況にも関わらず萌えと男性の素敵ボイスに頷いた。


「良い子だ。」

「さて、お前ら! ここがグライハイム様の屋敷と知っての奇襲、誰の命令できた!!」


腰の剣を抜き奇襲してきた人物に向け言うが、黒い服の集団は何も応えず。

短剣を構える者、長剣を構える者、そして少し衣が違うのか黒いフードの奥の目が金色の人物がいた。


冷たく氷のような金色の目。


何処かで見た気がするけど思い出せない。


「返答なしですか? しょうがない消えて貰います!」


ゲルフィンさんが一呼吸したのち、一瞬の衝撃のスピードなのか動いた感覚なんてないのに黒い服の集団が倒されて、私が異様に気にかかる1人だけが、ゲルフィンさんと剣を構えていた。


片手で私を支えてのゲルフィンさんは凄いと思うけど。

ゲルフィンさんの剣を受け止める、この人物にも驚きを隠せない。


「......良い腕をお持ちですね、ルーテンハイド。」

「バレてたのか、チッ! せっかく侵入の意味ねえじゃん!」


互いに剣を収める姿に、え!? 大丈夫なの?

ってか知り合い? 奇襲してきた人と?

2人をキョロキョロと見て状況を掴めない私をおいて。


「グライハイム様からは粗方の詳細は確認している。侵入の件もな、だが...まさか奇襲と一緒に来るとは思っていなかったがな。」

「ははは、俺にも事情があってな。それより噂に違わず良い腕してやがるぜ。血を流さず致命傷を与える暗殺剣ゲルフィン、さすがだ。」

「まあ、今はグライハイム様の忠犬です。なので敵になる者は殺しても良いと許可を得てますから。」

「おーこわ! ってか、ゲルフィンが抱っこしてるのが毒姫か白い髪にオッドアイ。畏怖を持つ少女。」

「そうです。」


ふーんと冷たく私を見るもんだから、ちょっと怖いと思いゲルフィンさんの服をギュッと握って顔を逸らす。


「あはは、怯えてんのか毒姫は。まあ暗殺されるのに怖がれないのは癪だからな、っておいおい、剣を向けるなよ!」

「敵意向けるからついついです。あと報告ならグライハイム様がもうすぐ来ると思うので、さっさと行くと良いですよ。我が子を侮辱する発言だけでキレますから。」

「うへえーーしれっと爆弾発言すんなよなあ。確かにあの人、愛妻家で子煩悩だからな、さっさと用事済ませてくらあ!」

「あ、そうそう。ゲルフィンと毒姫様、そいつらしっかり処理しておいてくれや、死体だけどよ!」


カッカッカと笑いながら部屋を出て行くルーテンハイドにゲルフィンさんの眉がピクピクと小さく動き、やっぱり締めておくべきか! と呟きが聞こえ、意外にも口が悪いのかな? とか思ってしまうのであった。

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