番外編 紫苑の気付き
フェンリルの視点です。この先にある話しもまじってるけど気にせず読んでね。出会いと思いです。
僕はお父ちゃんとお母ちゃんには良く人間には気をつけなさいと言われていたんだ。
でも僕はそこまで警戒なんてしなくてもと今なら思う。
だってこんな暖かい温もりなんてお母ちゃん以来知らないから。
暖かな波動と緩やかな雰囲気や黒い髪が艶やかで垂れたときに僕の顔に当たる感触がくすぐったいのに癒される。
包まれるようにぎゅっと抱きついてくる小さな人間。
じっと眺めていると小さな人間はどうかした? と首を傾げる。
僕は小さな人間の行動が何を示してるのかわからず、同じように首を傾げると何故かパアって明るい表情になってから
「もうーーー紫苑ってば! 可愛い!!」
とか言って抱きしめられる。
ちょっと苦しいから離せと抵抗するも小さな人間には通用しないようでフフフと笑うから観念してなされるままになる。
だって普段はあまり表情を見せないのに、こんな顔するからいいかと何故か思えた。
そういえば、この人間アルセイヌに会ったときも惹かれるものがあったっけ。
僕はお父ちゃんとお母ちゃんにもそろそろ独り立ちの準備段階に狩りするようにと兄弟達とそれぞれ場所場所で散って狩りをしていたんだ。
けどフェンリルの子供は珍しいのもあって悪い人間に捕まる可能性もあると注意されてたのに、僕は空腹感もあってふらふらーと良い匂いがした方向に進んだ先に美味しそうなお肉に惹かれて、つい罠に嵌り足に傷を負い叫んだ。
「きゃうっっっ!! ワンーー!!」
痛い! 助けてって!!
叫んで叫んで、そしたら黒い匂いがした。
この匂いは敵意、僕を害意する存在だと認識する。
グルルーー!!
警戒で近づく匂いに鳴くと、やはり思ったとおり禿げた人間にふっくらした豚っぽい奴が現れて僕を品定めするように見られて嫌悪する。
僕は本能のまま奴らはすぐに殲滅しないと兄弟も狙われるように感じ、足に雷光を放ち壊す。
身体は小さいが僕らは神獣であり、プライドだってある!
お父ちゃんとお母ちゃんにこんなみっともない姿みせられるかあ!!!
グオオオオ!!
勝負は時の運、奴らには徹底的に攻撃と抵抗をした隙に僕は逃げた。あまりにも力の差があるから。
悔し涙を噛み締めて僕は傷を負った足で走った。
走って走って走って、力尽きた。
そして僕はアルセイヌの小さな人間に出会ったんだ。
さっきの戦闘での人間の卑しさの黒い匂いで警戒心が大きかったのに触れられた瞬間と見つめられた瞬間、近くにいたいと強く惹きつけられたんだ。
暖かい波動が僕には癒しだと知ってるから側にいる。
だから知るんだ、アルセイヌの小さな人間が僕にとって大事な存在になることに、それはまだ先の未来。
「アルセイヌお嬢様、紫苑に構うのもいいですが。この後には予定があるので身支度して下さい。」
「うーー行きたくないよー。」
ちょっと想いにふけってたら、小さな人間が大きな人間に嗜められている。
「ですが行かないとお嬢様の制定検査がただ引き延ばすだけですよ。」
「〜〜〜むうーーわかった行く。でも紫苑残して行くのが心配なんだもん。」
「ふむ。では紫苑に聞いてみてはどうですか?」
ポンっと手を叩いて良い案を思いついたような素振りをする大きな人間が僕の方へと向くなり、まっすぐ見つめてくる。
「紫苑様、この部屋でしばらくお一人でお留守番できますか?」
お留守番?
僕置いていかれる?
しゅんと落ち込むと小さな人間アルセイヌが不安そうに僕をみていたことに気づいた。
「やっぱり紫苑も!」
「却下です! 神聖な儀式に連れて行くと取り上げられてしまいますよ。フェンリルは神獣、神使いと称されてますから。」
「う! うん。紫苑ちょっとだから、用事終わったらいっぱい遊ぼう。だから良い子でお留守番してくれる?」
ふむ。僕が側にいたいけど、君も同じ気持ちなんだね。
こんな不安そうな顔、君に似合わないから。
僕が寂しがってちゃダメだよね。
「ワン! わううう、ワン!!」
だから元気出せ!
ペロペロと小さな人間アルセイヌのおててを舐めてやると、へへと口元が緩んでいる。
「お留守番できると返事してくれたようですね。やはりアルセイヌお嬢様と......ふむ。」
「ふふ、紫苑は良い子だもんねー。じゃあ行ってくるから待っててね。」
大きな人間はちょっと思いにふけっているようだが、小さな人間アルセイヌが元気出せたことだけが僕には嬉しい。
何処に行くのか知らないけど頑張れ!」
「ワン!」
そっと優しく頭を撫でてから小さな人間アルセイヌと大きな人間が出ていく。
静かになった部屋の僕はただ欠伸をして眠ることにした。
しばらくして寝て起きた時には夕暮れ刻になっていて、部屋は相変わらず静寂を保っていた。
小さな人間もいないようだ。
まだ帰ってないのだろう。
そんなとき小さな人間アルセイヌの側で良く働いてふわふわ人間が部屋に入っている。何故か忙しないから疑問で観察してるも僕の存在を忘れている感じに1鳴きしたらビクッてなって僕を見て安堵していた。
「良かった紫苑様ですか?」
ふむ、僕を見て安堵とは謎なこと言う人間だね。
「えっとですね、アルセイヌお嬢様が今日何故かまたお倒れになったんです! それで熱を出して...いま屋敷の救護室に寝てるんですけどって紫苑様!!」
小さな人間アルセイヌが倒れた!!
それも熱って、人間は脆いんだと学んだ僕は静止するふわふわの人間を無視して駆けた。
駆けて駆けて駆け抜いて、小さな人間アルセイヌの匂いに探しつく。そこには小さな人間アルセイヌがベッドに寝かされ苦しそうにしていた。
「くそ!! まさか...あんなことに、頼む治ってくれアルセイヌ!!」
「私がついていて、すまない。」
「お前が悔やむ必要などない、あんな事態想定していなかったのだ。」
大きな人間と小さな人間アルセイヌの親も悔しそうになっている。何が起きて...って小さな人間アルセイヌのおててにあるリングが変わってる?
何処かどす黒い匂い。敵意。
「おや、紫苑様が何故ここに。」
ヒョイって掴まれてびっくりしたけど、リングに目がいってたせいで気にならなかった。
「へえー紫苑様ってすごいな。グライハイム様、対処法見つかったかもしれませんよ。」
「なに!!」
「腕輪です、確かアルセイヌ様は行くときにグライハイム様のプレゼントの腕輪を嵌めていたはず、ですが色が変わっているんですよ、それ。」
バッと2人してアルセイヌのおててを見て気づく。
「何故わかった。」
「あー私じゃないですよ、彼かな紫苑君。」
「.......紫苑様がか?」
「遣いの者とはこの意味か。なるほど、ならば早急に急ぎ浄化と腕輪を外せ! 後は治療師を補助しておくように。」
的確に指示を出していき、人間達が忙しなく動く。
その後に僕を小さな人間アルセイヌの親が彼女の側に置いてくれた。
「アルセイヌを守ってくれ、何事にも...頼む。」
そっと優しく頭を撫でてくる手触りには何処か不安定さがある気がした。
似てるね小さな人間アルセイヌに。
『アルセイヌを守ってあげるよ!』
ワン!って良い返事をしてやれば、親は一瞬驚きの表情を見せるも頷き小さな人間アルセイヌに向くと決意の表情あと出て行った。
なんか言葉通じてる気がしてしまうのは僕の気のせい?
「うーー紫苑、何処?」
ポンポンって手探りしてる小さな人間アルセイヌにちょっと嬉しくてめっちゃ側に行くとぎゅっと抱きしめて「紫苑だあ。」って呟いた後に眠る。
変な人間、でも僕は小さな人間アルセイヌが大事。
そう思う。
くあーー僕も寝よう、おやすみアルセイヌ。
この先が事件に伝わるものが発生するものです。
読んでくださりありがとうございます。
ちょこちょこ更新ですみません。