不知火の青との出会い4
起き上がり今日あったことを踏まえて疲れていることを話すと、静かに側に寄り添い頭を撫でて慰めてくれた。
「ねえ、今日はゲルフィンさんは何故に行ってたの?」
「ふむ。ああー今回は主の所用により裏の仕事がありまして調べ物ですかね。」
そういえば服が騎士服になってるのと、多少の怪我したような切り口があった。
うん、絶対暗殺含みの仕事ですな。
「そう...なんだ。怪我とか大丈夫なの?」
「......はあーまったく、あんま冷静でいる人ですね貴女は。まあ怪我はただの擦り傷ですし気にしないで大丈夫ですよ。」
ふむ、ゲームであんさんの色々な所業の数々のスチル見とるもんで冷静なだけなんだけどね。
実際リアルで目撃したら絶対叫ぶぞ私。
それよりも怪我したまんま部屋に来るなんて私への仕事に集中してくれるのはいいけど。
一応なりに私子供なんですぜ、着替えてきてよ。
はあーと逆に私がため息を吐いて、ゲルフィンさん腕を捲り上げる。
一瞬へ? と呆れと驚きを滲ませたような表情にゲルフィンさんが面白いけど、いまは私は黙って手を当てた。
実はアルセイヌって魔力高いから色々魔法使えたりできるんだよね〜。
大概はゲームじゃ闇属性ばかり使ってるんだけど、それはある事件のせいだったりする。
でも本来は自身と最も相性が良いのは光属性だったりするんだよね。
紫苑が怪我したとき治ってとお願いしたら治っちゃって最初驚きで呆気に取られたんだよ。
エリカさんには気づかれたけど、アルセイヌお嬢様ならとか変に納得されたんだよねな何故か。
「ヒール!」
呪文を唱えると淡い光がゲルフィンさんの腕を包んでいき、じわじわと治っていき傷が完全に塞がる頃には少し汗が出たけど、上手く魔力コントロールできて良かった。
とかホッとした矢先、ゲルフィンさんよりハアーと何故かため息を吐いてくるもんだから、ゲルフィンさんを見るとまっすぐにこちらを見て少し怒っているような表情をしている。
「アルセイヌ、貴女はその歳での魔力をコントロールして俺なんかを治してくれたことは感謝するが! 光魔法は無闇に使うものではない事をわかって欲しい。」
「へ?」
「光魔法は稀に出来る属性、それは教会を属するものが多いのです。 女神ファルスを恩恵に聖女が。なので無闇に使うな!!」
うっ! ゲルフィンさんってたまに素が怖い。
でも私を思って叱ってくれてるんだと思うと反省してしまう。
そうだよね、この力って元々はヒロインが花咲く舞台に必要なものだし、アルセイヌの存在自体が国によって畏怖の存在だもんね。
「ごめんなさい。」
「あーーもう、俺も何叱ってんだ。いや...いいんだ、アルセイヌの優しさからきてるんだろうし、治ってくれてサンキューな。」
「ほえ?」
ガシガシとゲルフィンさんは自身の頭を掻いたあとにお礼を言ってくるもんだから驚くも許してくれるんだと思うと頷けて、頭を撫でてくれるからいいかなと思う。
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ゲルフィンさんからは、もうそろそろ子供だけで神殿での適正検査が入ることを踏まえて、スキル隠蔽工作の補助をつけておくと言われてしまった。
へたに国に光属性などバレた場合、危険性が増すと言われてしまえば納得もいく。
ゲームでも国のあれこれや、本来の髪色で学園に入学した時の周囲の目や態度がアルセイヌの心を傷つけながらも、ヤケクソ気味さや、嫉妬など身分を糧に色々やらかしてたもんね。
最後は悲惨な結末だったし。
私は素直に頷き了承した後、紫苑がベッドから出てくるなり私の頭に乗ってくるもんだからふおって変な声あげてしまう。
ゲルフィンさんは私の行動にクスッと笑いつつ、指をパチンと鳴らすと陽炎の不知火がゲルフィンさんの手に顕現し、次には青い光が鳥の形になる。
「不知火の精霊バードです。手をアルセイヌ。」
「え? うん。」
手を出すと不知火の鳥さんが私の手に止まると声がした。
【君とは2度目だね、凛子。】
「!!!!」
「ふむ、やはりアルセイヌには精霊の声も聞こえるのか。」
「え、う...うん。へ!? ふえーーーー。」
「隠蔽するから精錬に身を任せて。」
前世の名前で呼ばれたことに驚いたせいで、めっちゃ動揺する私。ゲルフィンさんは変に冷静で精霊に身を任せてと言われてしまう。
【我の声は其方しかいまは聞こえぬ、凛子よ我とリンクせよ。】
ピーーと鳥さんが一度鳴くと、意識が霞みの世界に連れて行かれた。
真っ白な......世界に。