灰色の髪は星の煌めきにーゲルフィン視点
護衛をするようになってアルセイヌお嬢様の言動は、あの毒姫と言われるものではなく。
落ち着いたもので小さな子供だと言うのに、何故か悟っているような感じがあると思ったら子供らしくはしゃいでいたりコロコロと変わって俺自身楽しくはあった。
影での護衛が俺の家系であり暗殺も生業にしている。
主に拾われた時は、この方は氷の騎士と言われるだけあり強く、こんな大きな存在を狙えと言った依頼主を恨んだものだ。
敗れ敵わないと死の覚悟したが、何を思ったのかスカウトしてきたのだ。
俺は呆気に取られたものの、どうにも前から我が一族に影からじわじわと侵略と裏事情改善していたらしい。
なんだこいつと思ったが主を決めかねていた俺自身、ついて行くにも面白いとおもえ承諾していた。
しかし主としては認めてくれず保留。
何故と問えば俺を娘の護衛と任に就かせたいようだった。
はあ!? なんだそれ?
って呆気に取られたが、どうにも主の娘は国に畏怖の尊重の髪色と瞳を持ち、膨大な魔力で命も危うい存在だと聞かされた。
国への誤認報告は罪だが、親とし子を守らんとする主の心は硬く揺らぎもない。
同じ同罪の罪を話す覚悟に信頼感を滲ませられては、会ってみたいと思うもの。
承諾はアルセイヌにあった瞬間魅了された。
てっきり箱入りのお姫様で、何も知らないだけの子だと思ったのに、襲撃されたときの落ち着いた対応や判断力の速さ。そして静かに泣いていたであろう涙のあと。
もしかするとおのれの運命を確信しているのかと思った矢先。あの質問....自分が国から畏怖されてる存在であるんでは? と
驚き俺は焦る。
ここまで理解して命を絶ったりしないかと。
だがアルセイヌの気持ちはただ...静かで守りたい気持ちが湧いてしまった。
俺らしくもない。
普段であれど人に心動かされたりしないのにな。
最近は絵本を良く朗読している。
同じところでミスしては呻くアルセイヌ。
そんな様子は子供らしく度々ミスる姿に笑うと不貞腐れるも一生懸命で嬉しくもあった。
そんなある日、朝の朝食後に異変が起こる。
ふらふらと茂みに入るアルセイヌ、ライナリアお嬢様も一瞬に何がと思った瞬間ウォンっと一回鳴いた音が響き近くに行けばアルセイヌお嬢様の腕にはフェンリルの子供がそこにいた。
鳴き声などした覚えもないとアルセイヌお嬢様に言われ、俺自身の能力のせいかと確信するが今は置いておく。
まずは主にフェンリルの子を拾ってきたアルセイヌお嬢様に対し、頭が痛い案件が増えたようにガシガシ掻く。
「何かの導きか、それとも......。」
「主?」
「いや........なんでもない。今後に注意をしておく必要があると思ってね。」
「注意? それって?」
ポツリと呟くも主は何も言わず頷く。
聖誕祭で何かが起きる予兆だと思ったのだろうと予測する。女神を祝う祝辞、フェンリルは聖なる乙女に降臨する。
チラッとアルセイヌお嬢様を見るも静かにフェルリルを抱く姿は愛くるしくも、彼女の運命が何をもたらすのか不安がよぎる。
そんな中...お昼寝がしたいと眠るアルセイヌお嬢様は数秒もかからず眠っている。
俺は壁に寄りかかり考えていた。
あの奇襲事件の犯人がまさかこの屋敷の情報を得ていたとは。身辺調査はまあ主の手腕でどうにかだろうが...奴がいた節からしても、他にも何かあると考えて必要がありそうだな。
少し離れて主と話しておくかと思った矢先に青い澄んだ蝶がアルセイヌお嬢様の周囲に飛んでいたのを見かける。
「........蝶? こんな季節に?」
季節は春に近づいてはいるが、ここの気候的にこんな蝶は見かけたことはない。
青いアゲハ蝶はふわふわと回転するように飛びアルセイヌお嬢様の側から離れる様子がない。
1匹、2匹と増えていく異様な光景。
するとアルセイヌの回りにある空気が異様なものに変わっていく、澄んだ光の青が彼女に触れたとき霧散する。
不可解で綺麗な光景が続く中、不意に目を覚まし夢遊のように歩くアルセイヌお嬢様は月を見上げては遠くを見ているようにジッと眺めていた。
その時...白い蝶が舞うと溶けるように彼女の上に散る。
キラキラと小さな彼女の側でまるで守るように蝶の残滓は溶けていく。
綺麗なはずなのに月に溶けてアルセイヌお嬢様がいなくなるように儚さがあってつい、ドアをノックする。
すると彼女は俺が部屋にいたことに驚きはしたものの、すぐに表情は普通の無表情に変わる。
他愛のない会話の後、お互いに月を眺めているなか。
唐突にアルセイヌお嬢様から驚きの質問を投げかける。
「ゲルフィンさん、星の煌めきが散ったら消えると思いますか?」
一瞬の動揺が心をざわめかすほど、先程に俺の表情を読まれたのかと思ったが、真っ直ぐに問う思いに俺自身が消えるようなことをさせたくないと考え、問うた返答を伝える。
少しの試しと思いを込めて。