小さなモフモフ
警戒されてるよね? やっぱり自分は触るのは無理なのかな?
私のせいで小さなモフモフを傷つけたくなくて、無理に触るのを躊躇っていた。
子犬はまだ警戒しているようでグルルと鳴いていたものの、いっこうに私が触れないのを訝しんだようでコテンと首を傾げてる。
うっ可愛いーーー!!
両手で口を押さえて悶えて萌えてる中、ライナリアが
私が泣いているか落ち込んでいると思ったようで「大丈夫?」と声をかけられた。
「大丈夫...ただ、子犬さんが可愛くて。」
「ん? 子犬?」
ライナリアが不思議そうに聞き返され、何処にいるの?って感じでみてくる。
「えっと、ここにいるんだけど......姉様には見えない?」
「うん。どんな毛並みなの?」
「えっとねえ、こうー丸っこくて白い毛並みがふさふさしてて、子犬なんだよ。」
「......ふむ。もしかして精錬さんかな、でも...それだったら私にも見えるし、うーむ?」
ん? ライナリアさん! あんさん...精霊見えるんかいな!!
そっちのほうが驚くんですけど!!
目をパチクリと見開き驚く私を他所にライナリアが考えてる素振りをしてる頃。
子犬さんから視線を感じた私は子犬さんに向くと瞳は私の同じオッドアイで綺麗で澄んだ青と赤だった。
「触らせてくれる?」
少し躊躇い気味に聞いてみた私に子犬さんは少し呆れてるような感じでハアーと息を吐くなり近づいてくれた。
手袋越しに感じる柔らかな毛並み、撫でると白い白い毛並みが僅かにキラキラ輝いて艶が出る。
モフモフの感触に抱っこしてもっと撫でたくなるけど。
野良の子犬は警戒して人を寄せ付けるまで時間がかかるって昔テレビで見たっけと思い出して我慢した。
「アル、たぶんだけど........その子犬...お父様の従魔かも。最近子供が産まれたって言ってたし。」
「そうなの?」
うんうんと自慢気に語るライナリア。
ふむ、なら野良じゃないんだ。
でも........ならなんで人を警戒してるんだろう?
まあ危険分子ではあるんだけどさ。
「お嬢様方何なさっておいでなのです?」
急に後ろから声をかけられてしまい、私とライナリアはびっくりして後ろを向くとゲルフィンさんがオヤオヤって感じで笑み立っている。
「急に声かけないで下さい。」
「すみません。ですが...主がお二人が視界から消えて心配しておいでだったので、様子をみるように頼まれましてね。」
ライナリアがじとーってゲルフィンさんに文句を言っているものの、ゲルフィンさんの正論な言い分にぐぬーとむくれるライナリアの様子に私は微笑ましげに見てしまう。
アルセイヌの姉のライナリアは可愛いと。
「ところでアルセイヌお嬢様、側にいるフェンリルの子が何故貴方の近くにいるんです?」
「ええええ、これ!! お父様の従魔じゃありませんの!!」
「ええ、主の従魔は子犬ですが、いまではこの子犬よりも成長していますし、形容しがたい魔力の差があるんでね。」
「........フェンリルの子犬!!」
一瞬ゲルフィンさんの子犬への名称に固まって反応に遅れて叫ぶと、ゲルフィンさんが呆れたと言わんばかりに何故か頭を撫でられる。
「あのーゲルフィンさん何故に私を撫でるんです?」
「それは自分で考えてください。」
「ふぬん。凄く解せぬ理由な気がする。」
まあ子供だから理解するまで時間かかったんでしょうね。
よくできましたー的な。
ならライナリアにも同じ対応しやがれ!
歳変わらんだからね!!
「ライナリア様は聡い子ですので、お気になさらず。」
「なんだとーー私は聡くにゃいんかい!」
「あはは、聡いと言うより小動物ですね。」
「ぐぬぬーーー。」
くそー言い負かされると悔しい。
「アルってゲルフィンさんとだと楽しそうで嫉妬。」
「おやおや、ライナリアお嬢様は負けず嫌いのようだ。」
ちょっとムスッと膨らんでいる頬につつきたいイタズラが芽生えたときだった。
子犬さんが私の頭に飛び乗って来たので
「ふにゃあーー!!」
と叫んでしまった。