月の夜の蝶 前編
どうも読んでいただきありがとうございます♪
悪役令嬢系挑戦中なので多めに寛容に見てね。
月の明るい夜、ある屋敷では慌しいほどに忙しなく動く使用人達や医者達がいた。
今日は自分の最愛たる妻メリアの出産日なせいか、主人たるグライハイムは女神ファルス様に祈りを捧げていた。
出産は命と引き替えになるほど危険なものだ。
どうか母子共に無事であってくれ。
部屋にある女神像に祈りを捧げること数分、生まれたと聞くやいなやグライハイムは妻がいる場所の部屋の扉を開け放つ。
すると医師が我が子が双子で、母親のメリアが無事であると教えらて喜んでいた。
だが...どういうわけか医師の顔色が悪く、何か言いたげに口を開閉させ言い淀んでいた。
「どうした? せっかくの祝いの対して、そのような顔をするなど何かあったのか?」
不可解な表情と顔色に、何かあるんだと踏み問いただす。
医師は言いにくいのか、しばしの間を開けてから覚悟を決めて告げられる。
この世界では語られる不安要素の髪を持つ忌むべき髪と瞳を我が子の片割れに現れたと。
グライハイムは顔色を悪くし慌てて妻の元へと駆けつけた。
妻は愛おしげに双子を抱く姿は母親の表情で女神のようだと一瞬見惚れるも、次に我が子を見た瞬間ゾッとした。
双子はそれぞれ似ているが。
1人母親と同じ金色の髪に瞳は青。
もう1人は銀髪の髪で左右の瞳はそれぞれ違い。
忌嫌われ、姿は悪魔と言われる色を纏っていた。
何故に我が子に、この色を纏って誕生させたのです。
女神ファルス様.......。
下唇を噛み、片方の目を隠して悔しさが募り項垂れるが、せっかくに我が子を忌み嫌うことなど出来るわけもなく。
妻に近づき赤子たる双子を生み頑張ってくれたことを労い。
双子をそれぞれ抱き上げ、名前をつけていく、金色の髪の子はライナリア、銀髪の子はアルセイヌとした。
アルセイヌと名をつけたのは、出来る事ならば未来ある我が子が月の蝶の如く羽ばたき飛んで行けるようにと願いを込めて。
「......メリア良く頑張った。本来ならば側に置いておきたいが、すまないアルセイヌは連れていくぞ。」
「...ローランド様、子供をどうなさるのです!」
妻の髪を撫でてから我が子アルセイヌを抱き上げた瞬間に医師から問われ、グライハイムは静かな口調のまま告げた。
「魔力は髪に現れている。ならば気味悪がれる世間の目を隠す封印の儀を施すつもりだ。」
医師はグライハイムの言葉に渋い表情をするが、この国は忌み嫌う悪魔の髪に瞳をした子供を容赦なく奪っては殺すことを知ってるため、我が子を守らんとするグライハイムの意志に同感し首を縦に頷く。
アルセイヌ、愛しい我が娘よ。
どうか封印に耐えてくれ。