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魔道具鑑定士レティの冒険  作者: せっつそうすけ
第九部 帝国西方編

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第一九九話「遠見鏡」

見つめる魔眼(ゲイザーアイ)とか、なんつーか……厄介なのがいやがるな」


ザリウ様は呆れ顔で独り言の様に言いながら、周囲を警戒している様です。


「ザリウ様、この奥に転移装置(テレポーター)がある可能性があります。稼働しているなら停止させなければ、また……」


わたくしが言い終わらないうちに魔力探知(マジックセンス)を行っていたカリティさんが「来るよ」と警告を発しました。


見つめる魔眼(ゲイザーアイ)が守っていた奥の通路は同じく高さも幅も一〇メートルくらいの広さがあります。通路の両側にはいくつかの分岐する通路も見えます。そして、カリティさんが言うように通路の奥からは何かがやってくる足音のようなものが複数聞こえてきました。


わたくしは今いる場所の床、壁、天井に溝があり、壁にある文字盤に気づきます。


「おそらくここは扉になっているようです。一度閉じますか?」


「何? よし、レティ殿頼む。作戦を立てる時間稼ぎをしたいからな」


わたくしは早速文字盤を調べ、彫り込まれている古代文字の説明に従って操作しました。


「ちょっと待って」


クファーミンさんは懐から拳に握り込める程の大きさの魔力結晶の様なものを通路の端に置きます。


「いいよ」


クファーミンさんの合図でわたくしは文字盤に扉を閉じる操作をします。「ズズズ……」という音と細かな震動とともに壁の上から下まである一〇センチ程の溝から壁の様なものがせり出し、両開きの引き戸みたいに閉じました。


「さて、レティ殿。通路の先に転移装置(テレポーター)があるって事だよな?」


「経験上、可能性は高いです。そして、通路も分岐がありましたので、烈なる朱色インテンスバーミリオンの方々も何処かに身を潜めて居られるかもしれません」


「レティさん、転移装置(テレポーター)というのは、延々と魔獣を召喚し続けるの?」


「あくまで経験上ですが、一度に現れる数には限りがある様です」


これまで、転移で現れた集団を倒した後に再び次の集団が転移される、という現象が見られました。


「そして無限に転移されてくるのではなく、装置を調べるとその上限や終わりが表示されていました」


わたくしの仮説では転移装置(テレポーター)が魔獣を生み出しているのではなく、何処かに存在する魔獣の集団をそれぞれに転移させている、と考えています。


「そして、一度に転移させるには限度があるのではと……」


様々な超自然的な事を可能にする魔法ですが、限界は当然存在しています。



(死者を蘇らせられないなど……ですね)



「うわぁ……結構集まって来てるよ。インプに……あれって甲冑蜥蜴(アーマーリザード)?」


クファーミンさんは手のひらに持った手鏡の様なものを見ながら呟いていました。


「マジかよ、ミノタウロスならまだしもキマイラとかグリフォンとか来られたら面倒だぜ……」


ザリウ様はクファーミンさんの手のひらのものを横から覗き込んでいます。


「あの、それは……魔道具ですよね、先程通路に置いた魔術結晶もですか?」


遠見鏡(リモートスコープ)だったかな、以前地下迷宮(ダンジョン)で見つけたのよ」


その名で、書物で読んだ事を思い出しました。専用の魔術結晶を置いた場所の景色が遠く離れても対になっている専用の手鏡に映し出す事が出来る魔道具です。



(実物は初めてですね……)



「見せて頂いても宜しいですか?」


クファーミンさんは「はい」と気軽に手渡してくれたその手のひら大の手鏡は厚みも手のひら程度で円形です。裏面には紋様の様なものが刻まれていて淡く光っている様に見えます。


鏡面は恐らくミリス銀を磨いたものですけれど、古びていて傷も多く映りは鮮明ではありませんが、向こう側の魔術結晶付近の様子は十分に覗けます。


「かなりの魔獣が集まっていますね……」


「倒してもこんなにすぐに集まって来られたら、いくら上限があっても堪らないわ」


「すぐに……」


ということは、転移装置(テレポーター)まではそう遠く無い可能性が高そうです。わたくしの意見を皆さんに伝えました。


「具体的な距離は想定できるかい?」


ザリウ様には申し訳無いですがそこまではわたくしには見当がつきません。


「ザリウ様、すみません」


「いや、一応聞いただけだ。ま、走れば行けるだろうが……」


この人数で目的地も進路も分からない場所を走り抜けるのはリスクが高過ぎます。ふと、以前帝都近郊の地下迷宮(ダンジョン)で似たような事があったと思い出しました。



(あの時はルーテシアさんと二人で走り抜けましたよね──)



「あの、ザリウ様。提案があるのですけれども……」


わたくしは経験に基づいた意見を述べることにしました。

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