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魔道具鑑定士レティの冒険  作者: せっつそうすけ
第五部 古代遺跡探索編

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第一一三話「非常事態」

噴泉亜竜(ゲイザードレイク)との戦闘で魔力を消耗したわたくしは気を失ってしまいました。しかし、その間に仲間たちが古代装置を発見していたので、それを調べることになりました。


わたくしが装置を調査すると……台座に施された浮彫、「起」という意味の古代文字が目につきました。それに触れると、なにか楽器を弾いたような音が響きます。仲間たちは少し驚いて身構えますがわたくしは「大丈夫です」となだめました。


そして、少し待つと金属板に古代文字が入れ替わり明滅してからある単語が固定されて光っています。



「制御……機械……指示……入れる。これは恐らくこの遺跡を司る装置の様です。ただの転移装置(テレポーター)では無かったみたいですね……」



(そいうえば、わたくし達は下流の村の依頼で温泉の異常を調べに来たのでした――)



『魔力炉異物排除&*@§確認。異常解消$¢£動作正常――』


何処からともなく辺境語の様な声がが響き渡りますそれは無機質で感情が感じられません。仲間たちは驚いて身構えながら周囲を警戒します。


「大丈夫です、何やらこの設備に異常があって、それが戻ったみたいなことを言っています」


「分かるのか?!」


マーシウさんが目を丸くして驚いています。


「辺境語に近いですので……恐らく古代語でしょうか? 細かい事までは分かりませんが大まかに言っていることは理解できます……」


皆さん少し落ち着きましたが、アンさんは警戒をするために部屋の入り口で外を見ています。他の皆さんはわたくしに注目して見守っています。



『この場所は何の為の建物なのですか?』


わたくしは辺境語で話しかけてみました。


『……∠⊥⌒∂確認出来ず。一時来訪者∇≡≒扱います。当施設はヴォーフォーク帝国立第一八魔力炉です。アヴァロニア一帯の魔力√∽∝この魔力炉一基で賄っております』


「レティ、どういう事?」


皆さんわたくしの顔をじっと見ているので緊張します。


「これはわたくしの見解ですけど、噴泉亜竜(ゲイザードレイク)の為に、この遺跡に異常が起きていたみたいです。わたくし達が噴泉亜竜(ゲイザードレイク)を倒したので異常は解消された様です……」


皆さんはわたくしの言葉に納得しつつも困惑した表情です。


「まあ、それが本当なら依頼は達成という事になるが……因みに、この声は誰なんだ?」


マーシウさんは怪訝な顔で聞いています。



『すみません、貴方はどなたで、何処におられますか?』


『私は当施設を管理する自立思考型†‡¶魔術結晶です』



(自立思考型魔術結晶? 何だか凄い話になってきました……)



「詳しくは分かりませんが、考えて答えられる魔術結晶らしいです……」


すると、突然地響きと共に地面が揺れ始めました。わたくし達は咄嗟に地面に伏せます。


台座が様々な音を発して金属板には色々な古代文字が明滅を繰り返しています。



『魔力炉の異常∈⊇⇔を検知しました。速やかに転送によるゞ¥≡避難を行いますので、転移装置(テレポーター)を起動します』


「レティどうなってるの?!」


シオリさんは床を這う様にわたくしの元に近づいてきました。


「分かりません、何か異常があったらしく転移装置(テレポーター)で避難しろと言っています」


「ヤバいよ、めっちゃ崩れてきた!」


わたくしとシオリさんが話していると、部屋の外を見張っていたアンさんが四つん這いで中に入って来ました。外からは重いものが落ちて砕ける様な音や、激しい水音が聞こえます。


すると、再び音が台座から楽器を叩いたような音が聞こえ、部屋の中心にある石柱と中心の床に描かれた紋様が淡く青く発光しはじめました。



(これは、転移装置(テレポーター)が動き始めた時の現象です……)



「マーシウさん、転移装置(テレポーター)で避難しろと魔術結晶が言っています、どうしましょう?」


「う……うぅん……しかし、何処に飛ばされるんだ……」


マーシウさんは苦悩の表情を浮かべます。


「熱っ?! なんか熱湯が押し寄せてきた!」


アンさんの方を見ると、入り口から湯気か大量に入ってきています。



「マーシウ、瓦礫の下敷きになるか、熱湯に飲まれるか……このままではどの道助からんな。それならば賭けてみてもいいのでは?」


ディロンさんが皆さん一人ひとりの顔を見ながら問いかけました。


「よし、転移装置(テレポーター)に賭けてみよう。異論は無いな?」


わたくしも皆さん同意します。


「レティ、転移装置(テレポーター)動かせるか?」


「話しかけてみます、皆さん部屋の真ん中の紋様の上に集まって下さい!」


ずっと地震が続いていて歩くのもやっとですが、わたくしも皆さんなんとか部屋の中心に集まりました。



『すみません、転移して頂きたいのですが、どちらに送られるのでしょうか?』


『▽▼※都市∨∧¬転移装置です。緊急転移開始します』


わたくし達の周囲を青い光の渦が囲みます。「キーン」という高い音が鳴り響き眩しくて目が開けられなくなります。



(問答無用ですか!?)



そして、浮遊感……身体の重みや足元の床の感覚が無くなり自分が何処を向いているのかどんな体勢なのかも分からなくなりました。



(この感覚は、転移追放された時と同じ――)



その時の事を思い出して急に身体中が怖気立ちます。周囲の様子を確認したいのですが、眩しくて目が開けられず「キーン」という耳鳴りの様な音が鳴り続けていて全く様子が分かりません。仲間達も一緒なのかどうなのか……。



(嫌です……またひとりで何処か知らない場所に放り出されたら、わたくしは……)



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