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天界最強の天使!  作者: 蘇我稲見
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エデン戦線Ⅰ

 美しい理想郷として名高い「エデンの園」。数十年前まではそこに民家が立ち並び、果実を宿した樹々が経ち乱でいた。現在、その民家群はおろか、盆地には塹壕が掘られ、なだらかな山脈は凸凹した突起物の様に変形して美しい理想郷の名残も残っていない。

 その理想郷が戦場になったのは西方神国の意向がある。大神の意は絶対なのだ。

 理想郷の専属番人として有名なのが天界の叡智を知り尽くした智天使だ。半獣半人、獣の部分は馬の様な牛のような。

 エデンの園が戦場に選ばれたとき、防衛軍の主力として考えていたのは智天使だった。序列二位の名は伊達ではない。智天使の部隊は西方神国最強部隊だった。だが、その最強部隊はエデン戦線第一防衛陣が崩壊した時に大半が失われてしまった。元々一万騎いたはずの智天使は100騎以下まで数を減らされ、各戦地にちりじりに配置されてしまった。

 エデン戦線は第五防衛陣まで後退し、西方神国は後がない状況だった。エデン戦線が崩壊しては神都が脅かされる! その恐怖は西方神国軍の戦意を駆り立てていた。

 エデン戦線に配置されている西方神国軍は総数約300万だった。その過半数が本国から徴兵された将兵で、3万と少しが天使だった。

 対する日ノ本の国軍はその数10万、俺の祖国の軍だ。熱田大明神率いる軍勢は大半が狛犬部隊の様だった。後方には狛狐や狛鶏がいるそうだが、大して脅威にはならない。恐れるべきは機動力に優れた狛犬だった。本国の記録では「我が国の軍勢、日ノ本の国の犬どもを駆逐せり。脅威にもならず。」と書かれていた。大ウソつきめ! そう怒鳴りたくなった。狛犬の連携した攻撃はうちの軍の精錬さを軽く超えていた。そのせいで30倍もの西方神国軍が圧倒的少数の日ノ本の軍に翻弄されているのだ。

「敵は一撃離脱をあちこちで繰り返し、わが軍の陣形が乱れたところに総攻撃を仕掛けて来る。」

 作戦会議の場で議題を出してみた。出す分には簡単だ。問題は、どうやって陣形を乱れさせないようにするかだ。

「対策って、それを考えて結論が出せてないから連敗しているんでしょ。」

 流石は智天使のコルネリア、重要な点を突いてくる。その結論が容易に出ていたらこんなにも負けてはいないだろう。

 俺はまぁあぁ頭がいい。使徒学院で主席を手にしていた程の男だ! ついこの前までこの戦線を指揮していた者とは違う! そう思いたかった。

 30分経った。結果、出た案としては、

第一案、各個撃破⇒一撃離脱を目的とした奇襲に対し、大軍をもって包囲、殲滅する。

                                  by:エレン

第二案、密集陣形を取ってゆっくり進軍する。⇒奇襲による陣形の乱れを防ぐ。

                                  by:コルネリア

………いや、無理じゃね? 同じ作戦何度もやっているはずなのに勝てていないのだから。

 では、論破していきましょう。まず第一案。各個撃破ができたらとっくに勝ってますよ。それができないから困っているのでしょ。

 第二案。密集陣形でゆっくり進軍する。奇襲対策としては合格点だ。だが、戦場は盆地だ。あちらこちらに塹壕が張り巡らされている。まず隊形を維持できない。密集陣形と言うことは真ん中でぎゅうぎゅうな兵士は地面が見れない。気付いたら塹壕に墜ちている可能性もある。不合格だ。

 さて、俺が声に出さず次々と作戦案を論破しているわけだが俺にも良い案が浮かんでいるわけではない。一応勝てるかもしれない作戦は浮かんでいるが、監視の主天使どもに悪い報告をされるかもしれない。熾天使としての座が危うくなる。だが、これ以外思いつかない。

「主力軍を普通に行軍させるのはどうかな?」

 俺が発言しただけなのに驚愕の目で見つめて来るコルネリアやエイダ。俺地雷踏んだ? 爆弾発言だった? いや、単に作戦案を提示してみようと思っただけなんですけど?

「えっと、軍の構成を変えて、兵士が兵士を従えるってのはどうかな? 

 それで主力軍がおとりになって敵にいいようにされているところを天使部隊が敵の後方にり込

 んで奇襲、食料を焼いて、できれば指揮官を捕える。若しくは屠る。どうかな?」

俺の案を説明してみた。なぜか皆驚きの表情をしている。兵士に戦わせるのが常だったからそれが常識になっていたのだろう。自分たちは指揮者、演奏は兵士と。対する日ノ本の軍は全てが神使しんしだ。天使と同等の戦闘能力を保持している。西方神国天使省に所属している天使は西方騎士団とも呼ばれている西方神国最強の部隊なのだ。一兵卒が10人で掛かっても勝てないだろう。それと同等の戦力を敵は10万もそろえたのだ。こちらにいる天使は全て合わせて30304名、圧倒的に劣っている。まともにぶつかっても勝ち目はないだろう。

 俺は天使が神使とタイマンを張る前提で作戦を考えていた。だが、3対1では確実に負けるだろう。だから主力の兵士を使う。主力の兵士が神使の大半を引き付けている間に敵本陣を襲う。300万もの兵を一斉に動かしたら恐らく7万以上の神使は動員されるだろう。天使vs神使が互角ならば、勝てるはずだ。

 俺が命令すると、2人の智天使は颯爽と支度を始めてくれた。エデン戦線内だけだが、軍事改革でもあった。混乱が起こっても不思議はない状況で2人は1週間で軍を再編成、掌握して見せた。

「私の手に掛かればこんなもんよ! 今度、飲み会の時はおごりなさいよね!」

 自分の功績を自慢するコルネリアに比べていくら褒めても奢らないエイダは流石と言うべきだろうか。

 こうして、作戦発動の基礎が出来上がったのだ。次は実行のみだ。

ようやく戦いが始まりそうです。夏も終盤! 宿題も小説も勉強も頑張らないと!

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