エデン戦線 -休息の時ー
コルネリアは新人ながら歴戦の勇者だ。それは西方神国周知のことだろう。
現在、天界は東西戦争の真っ只中だ。俺を含む新人天使は序列最下位の「天使」職からスタートする。天使の役割は大天使の下で下界、つまりは俺が元々いた世界の人々を不幸から救済することだ。だが天界は戦争真っ只中、下界にまで干渉できるほど人員の余裕はないのが現状だった。天使は皆戦場へ駆り出され、それが原因で霊魂の始末が追い付いていない。
だが、俺たちにとってプラスの面もある。戦いで武勲をそれなりに立てれば易々と昇進できるのだ。俺の場合は神様方のコネクションが在ったため、新人ながら熾天使になれたのだ。その反面、コルネリアは正真正銘、自分自身の実力で序列二位たる智天使まで昇りつめたのだ。(自身の美貌を生かしたのかもしれないが…)
「おーい、ヘルストー、ちょっと格闘術の稽古に付き合ってよ。こいつらへっぽこ過ぎて相手になんねぇよ。」
智天使本来の姿ではなく人に化けた状態でコルネリアは俺に親し気に話しかけて来る。一目でわかる。胸はない! そして多少話すようになると分かる。バカだ! 今も天使の監視役たる主天使を格闘術の稽古に付き合わせ、挙句ぼろぼろのずたずたにしている。
なぜかコルネリアは俺の名ヘルグヴィストをいじったヘルストという名で俺に話しかけて来る。ヘルグヴィストと呼ぶよりも楽なのだろう。そもそも俺がこのないチチ…失礼、コルネリアに自己紹介した時から「ヘルスト」と呼ばれていた。こいつは俺の名前を知っているのだろうか?
黙っていれば美しいコルネリア。普通の話をするならばまぁまぁ普通なコルネリア。戦闘の話をすると鼻息を荒げ、興奮するコルネリア。うん。普通に変態である。
俺はこの可憐なバカ美少女をどう扱えばいいのか困っている。智天使になれるほどの実力はあるはずなのだが、普段の行いからはそんなものは見て取れない。
実力はまちがいなく俺の方が上だ。これは自慢でも傲慢でもなく、結果が証明している。使徒学院にてコルネリアが吹っ掛けてきた喧嘩は全て俺が返り討ち。テストで俺とこいつが当たると必ず勝つのは俺だ。一度だけ姑息な手段で負けたことはあるが、そんなもの正面からだったら勝てていた。俺は優しく勝ちを譲ってあげたのだ。うっかり負けたとかそんなものではない。ホントだよ。
俺にも一応、天使の最上位としての権威がある。こんな暴れ馬ほどバカはできない。
「おい、お前は仮にもこの世に数えるほどしかいない智天使の一人だ。100万の兵を従える1人なのだぞ。その一つ一つの行動は常に責任が伴う。これからは例え主天使であろうとも自重しなさい。」
完璧だ。これぞ部下を思いやりながら叱る上司の鏡! そして後ろのうざったい主天使どももばっちり聴いている。俺の地位が安定する確率が増えた。
「学院の頃はあんなに媚び諂う人を絵に映した様な奴だったのに。偉そうに説教するなんて。」
コルネリアが拗ねたように言う。なんの話だ? 記憶にございませんと言えばいいのかな? 俺は学院の頃も優等生を絵に映した様な人物だったろ。なぁ。
下級生には優しく。
「厳しい指導を。あれは鬼だわ。1人心が折れてたもん。」
上級生には礼儀正しく。
「ふん。媚びを売っているようにしか。」
「口を挿むな!」
思わず怒鳴ってしまいそうになった。危ない。危ない。常に部下には優しく。当然のことだ。部下に怒鳴るなどパワハラもパワハラ。ばれたら一日で信用も何もかも失う。…そういえば生きていた頃のあの糞上司、今頃何してるんだろ。まぁ、今となっては関係ないけど。
とりあえず、コルネリアの人柄を要約すると外見美しき内面バカという事だ。
エデン戦線に配属されている3人の智天使の内、最後の1人、エレン・人ながら歴戦の勇者だ。それは西方神国周知のことだろう。
現在、天界は東西戦争の真っ只中だ。俺を含む新人天使は序列最下位の「天使」職からスタートする。天使の役割は大天使の下で下界、つまりは俺が元々いた世界の人々を不幸から救済することだ。だが天界は戦争真っ只中、下界にまで干渉できるほど人員の余裕はないのが現状だった。天使は皆戦場へ駆り出され、それが原因で霊魂の始末が追い付いていない。
だが、俺たちにとってプラスの面もある。戦いで武勲をそれなりに立てれば易々と昇進できるのだ。俺の場合は神様方のコネクションが在ったため、新人ながら熾天使になれたのだ。その反面、コルネリアは正真正銘、自分自身の実力で序列二位たる智天使まで昇りつめたのだ。(自身の美貌を生かしたのかもしれないが…)
「おーい、ヘルストー、ちょっと格闘術の稽古に付き合ってよ。こいつらへっぽこ過ぎて相手になんねぇよ。」
智天使本来の姿ではなく人に化けた状態でコルネリアは俺に親し気に話しかけて来る。一目でわかる。胸はない! そして多少話すようになると分かる。バカだ! 今も天使の監視役たる主天使を格闘術の稽古に付き合わせ、挙句ぼろぼろのずたずたにしている。
なぜかコルネリアは俺の名ヘルグヴィストをいじったヘルストという名で俺に話しかけて来る。ヘルグヴィストと呼ぶよりも楽なのだろう。そもそも俺がこのないチチ…失礼、コルネリアに自己紹介した時から「ヘルスト」と呼ばれていた。こいつは俺の名前を知っているのだろうか?
黙っていれば美しいコルネリア。普通の話をするならばまぁまぁ普通なコルネリア。戦闘の話をすると鼻息を荒げ、興奮するコルネリア。うん。普通に変態である。
俺はこの可憐なバカ美少女をどう扱えばいいのか困っている。智天使になれるほどの実力はあるはずなのだが、普段の行いからはそんなものは見て取れない。
実力はまちがいなく俺の方が上だ。これは自慢でも傲慢でもなく、結果が証明している。使徒学院にてコルネリアが吹っ掛けてきた喧嘩は全て俺が返り討ち。テストで俺とこいつが当たると必ず勝つのは俺だ。一度だけ姑息な手段で負けたことはあるが、そんなもの正面からだったら勝てていた。俺は優しく勝ちを譲ってあげたのだ。うっかり負けたとかそんなものではない。ホントだよ。
俺にも一応、天使の最上位としての権威がある。こんな暴れ馬ほどバカはできない。
「おい、お前は仮にもこの世に数えるほどしかいない智天使の一人だ。100万の兵を従える1人なのだぞ。その一つ一つの行動は常に責任が伴う。これからは例え主天使であろうとも自重しなさい。」
完璧だ。これぞ部下を思いやりながら叱る上司の鏡! そして後ろのうざったい主天使どももばっちり聴いている。俺の地位が安定する確率が増えた。
「学院の頃はあんなに媚び諂う人を絵に映した様な奴だったのに。偉そうに説教するなんて。」
コルネリアが拗ねたように言う。なんの話だ? 記憶にございませんと言えばいいのかな? 俺は学院の頃も優等生を絵に映した様な人物だったろ。なぁ。
下級生には優しく。
「厳しい指導を。あれは鬼だわ。1人心が折れてたもん。」
上級生には礼儀正しく。
「ふん。媚びを売っているようにしか。」
「口を挿むな!」
思わず怒鳴ってしまいそうになった。危ない。危ない。常に部下には優しく。当然のことだ。部下に怒鳴るなどパワハラもパワハラ。ばれたら一日で信用も何もかも失う。…そういえば生きていた頃のあの糞上司、今頃何してるんだろ。まぁ、今となっては関係ないけど。
とりあえず、コルネリアの人柄を要約すると外見美しき内面バカという事だ。
エデン戦線に配属されている3人の智天使の内、最後の1人、エレン・レイク・マルティエルは完璧な美人と言ってよかった。まぁ、えせ貴族の息子と内面バカ女とで比べれば普通の人間も完璧だと思えるのだが…。
彼女はコルネリアにはやや劣るが衆人の目線を引く端正な顔立ちに加え、活発さも併せ持っている。美しく太陽光を反射する金髪は並の男(惚れやすい奴)なら真っ先にファンになるだろう。
そして何よりも彼女の特徴は左右の眼の色がちがう金銀妖瞳だという事だ。左の眼は碧く輝き、右の眼は青緑に輝く。やや短く切り揃えられた金髪は顔を見なくても活発さが見て取れるようだった。
時の噂によるとエデン戦線首脳部は美男美女がそろっているとか。まぁ、1名のえせ貴族を省けばそれは正しいだろう。俺? 俺の容姿はガイア様が適当に作ってくれたけど、俺はまぁまぁ気に入っているよ。中性的だけど…。
ガイア様ってこういう趣味をお持ちなのかな? いや、別に構わないけどね。人が…どんな特異な趣味を持っていようとも…、それは…、その人の自由だからね…。
さて、話が色々混乱してしまったが、まぁ、つまりエデン戦線の首脳部は美男美女揃いと言う訳だ。何? 1人男も女も分からない、かわいい奴がいるだぁ? 俺だってなりたくてこんなかわいい姿になってんじゃないんだぞ! あの神が自分だけに俺の容姿を変えられるようにしちゃったのが悪いんだからな!
エデン戦線編での登場人物を全て紹介できたかな? とにかく、彼女らがヘルグヴィストと共に戦いに臨むことになります。
ちなみに、
アルフォンス・ヘルグヴィスト・ルシファー 階級:熾天使(序列1位) 授け名:ルシファー
コルネリア・エトホーフト・マスティマ 階級:智天使(序列2位) 授け名:マスティマ
エレン・レイク・マルティエル 階級:智天使(序列2位) 授け名:マルティエル
えせ貴族の息子(問題児のため謹慎中) 階級:智天使長(序列2位)授け名:エルヴィエル
という具合です。