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天界最強の天使!  作者: 蘇我稲見
13/16

雷龍トゥグリル

 さて、場所は西方神国神都オリュンピアの地下に設置された大きな訓練場である。現在、人は誰もいない。それが幸いして誰もけが人が出ていない。素晴らしいことだ。

 ついさっき、俺が“雷龍召喚”の脳力で雷龍を呼び出したのだが、召喚したと同時に爆発を起こし、守護聖術を展開していた俺は無事だったが、訓練場が酷い有様になっていたのだ。


『主人、あと10分ほどで憲兵が到着します。』

 

 やばいぞ……。訓練場で精霊(龍)を召喚したとばれたらかなりまずい。しかも訓練場はズタボロ……。


「彼方か? 私を召喚したのは。」


バカでかい訓練場と同等レベルの大きさを持つ雷龍が話しかけてきた。


「あ…ああ! そうだとも。俺がおまえを召喚した。」

「彼方が私の主人か……。承知した。契約を結ぼう。」


 そう言って雷龍は右手の人差し指を俺の目の前に持ってきた。契約とは召喚された者と召喚したものが主従関係を取り持つために執り行う儀式である。

 俺はその人差し指に触れた。光が放たれる。契約完了だ。

 契約を終えると正面にいた雷龍が小さくなり、人型になった。結構なイケメンで執事的雰囲気を纏っている。


「私は紗渇羅龍王の子、トゥグリルと申します。これからはよろしくお願いいたします。」


 俺の前で跪く。外見は普通の人に見えるが、聖神量が半端じゃない。熾天使レベルの力があるぞ、こりゃ。


「何事か⁉」


 威勢よく憲兵が数十名入って来る。目の前には2人しかいない。


「申し訳ない。この者…、私の弟子を鍛えていたら思ったより激しくなってな。この有様だ。」


 適当にそれっぽい理由を創り上げて憲兵の目を欺く。まぁ、天使最高位の俺がそう言ったら下位兵士の憲兵はそれに従う他、道はないのだけどね。

 威厳っぽさを保ったまま「弟子の育成」と言ってこの状況を切り抜ける。さすが俺、すばらしい。


 後日、憲兵隊の訓練施設管理の人が俺の家にやって来て賠償を要求したのは、まぁ、関係ない話である。


___________________________________________



「我が主、この私を弟子にしてくださるとは……、身に余る光栄……。」


 まぁ、言っちゃったことだし仕方がないよね。俺は訓練場で召喚した雷龍トゥグリルを弟子に取ることになった。

 トゥグリルと模擬試合をしようと思っていたのだが、召喚の際の愚行を思い出す。あれで貯蓄の何割が持っていかれたか…。まぁ、そういう訳で神都オリュンピアから北西50キロほど進んだ位置にある「魔森林」という物騒な場所に来ていた。森の中だからいくら周りを巻き込んでも関係ない。

 実際、トゥグリルと模擬試合をやってみたら余裕で勝ててしまった。トゥグリルは長きにわたり生きてきた雷龍の様であったが、力まかせの戦い方だった。


「お前、擬人化した時でも普通に戦闘できるようにしておけよ。」


 俺も一応熾天使だから剣術とか聖術をマスターしていたが、教えられるほど知っている知識は日本拳法しかない。

 それから1週間、魔森林に泊まり込みトゥグリルを扱きぬいた。

 トゥグリルは見違えるほど強くなり、力を無駄に消費せず最大限の結果をだすような戦い方に変化していた。擬人化した時でもある程度の技が使えるようになり、俺が教えた基礎剣術と拳法をしっかり身に着けた様だった。

 俺は聖術も教えた。俺のオリジナル、聖神粒子を一点に凝縮して目標に向け放つ『聖神凝縮砲』と、“叡智を知る者”が計算し新たに創り上げた究極級能力『鏖殺公サンダルフォン』の広範囲攻撃を教えた。“叡智を知る者”によると俺は名前とは関係なく能力として『鏖殺公サンダルフォン』という天使の名を持っているのだとか。

 聖神粒子の効率が良い使い方を学んだトゥグリルは俺が教えた技を、威力は俺に劣るがマスターしてくれた。

 さて、トゥグリルの基礎指導も終わったことだし、神都に帰りますか。

 そう思ったとき、俺はあることを思い出した。

「やばっ……」

 すっかり忘れていた。あと4000の天使……、どうやって集めようかな。

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