天上の世界
もしも、天界に住まう神と呼ばれる方々から、その恩恵を授かったらどうなるのだろう。そもそも、生を受けた時点で人は神から恩恵を授かっている。その後、その人々が成長するにつれてその人々は個々の思考形態を形成していく。ある人は天におられる神は絶対唯一のものだといい、ある人は神は複数いるのではないか考える。またある人は神など存在しないといい、更にある人は自分の考えを他人に強要する。
人々は神を崇拝し、災いが起こると神や偶像に助けを求める。神などいないと考える者はそれを嘲笑う。災いが増し、神にいくら助けを求めても状況が改善しない場合、それを人々は神が与えたもうた試練と言う。
「私が一体何をしたというのだ。そもそも私のワインの血を分けてやっているのに更なる助けを求めるとか、自分勝手や過ぎないか? 何かあるたびに私のせいにして。そんな面倒な試練は課さないよ。」
信仰者が最も多い神はこう言うであろう。もっとも、自分は神はいるかと訊かれたら分からないと答えるだろう。そもそも、今自分たちが生きている世界の前には何があったのか。どの空間に宇宙は生まれたのか。そして、何が宇宙を作ったのか。ビッグバン? それは一体何が起こしたの? この世界は何が創ったの? 自分が考えた結論は「神的存在が創った。」だ。神的とは、大自然かもしれないし、知性あるものかもしれない。
「能天使アルフォンス・ヘルグヴィスト・ラファエルよ。貴様を能天使から解任し、3日以内にラファエルの名を返上せよ。そして代わりに熾天使の地位とルシファーの名を貴様に与える。これからは熾天使アルフォンス・ヘルグヴィスト・ルシファーと名乗るがよい。」
恭しく西方を統括する大神ゼウスから熾天使の任命状とその証たる黄金の翼を模ったバッチを受け取る。
ゼウスの左右には彼が従える神が立ち並ぶ。その眼前には幾万と配下の天使が立ち並ぶ。もっとも、ゼウスの玉座の近くにいるのは智天使や座天使の地位を持つ上位天使と天使の監視を務める主天使が大半で、下位の天使などには見えない位置だった。
「これからも、この天界の平和の為に尽力するように。」
第84代目ゼウスを務める西方の大神がアルフォンスに言った。アルフォンスは頭を下げ、赤絨毯が敷かれた道を来た時とは逆方向に歩いて行った。
初めまして。蘇我稲見と申します。えーと…、感想随時受付中です! 新人ですが、よろしくお願いします。