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理想のコイビトいりませんか?

作者: 三月 璃夢

何気なく電車の吊り広告を眺めていたとき目につく。

「理想のコイビト、いりませんか? お好きなバース性まで設定できます!!」

2060年、まさかここまで科学が進んでるとは思わなかった。

今までおばあちゃんからもらったお小遣いを合わせれば買えそうだ。

うちのばあちゃんは大学教授をしてる珍しいΩで母さんと双子の叔父叔母を産んでいる。

ネットで調べれば意外と簡単に買えた。

契約書には「ロボットたちはあなたの忠実にです。嫌がることは決してありません」と書かれていた。

選んだのはこんな条件だ。

Ωの男性型、真っ白な髪にアクアマリンの瞳細身でイケメン。我ながら高望みだと思う。

待つこと数週間。

事前に決めた合言葉を言えば僕のことを主人として認識するらしい。

ちなみに合言葉は「千秋」彼の名前。

彼はゆっくりこちらを向く。

長くカールするまつげに縁取られた藍玉。

白い髪は年老いたわけではなく、生まれつきなのだろうと推測できる。

そして香り立つ匂いは僕の胸を射止めるには充分で。

思わず声が震えそうになる。

「井上 来夏といいます、よろしく」

「はい! 来夏さん、僕は亀井 千秋です。よろしく!」

愛想も良いし、彼が作り物なんて信じられない。



それからの日々は楽しかった。

目が回るように何にでも興味を示す彼は小さな子どものようで過ごしてて新鮮な気分になる。

ある日、仕事に行こうとしたときだった。

彼は寝ぼけてるのか私の服の袖を掴んで「行かないでください」と上目遣いで見てくる。

仕事だからとやんわり断ると彼は「嫌です」と否定した。

あれ?

彼らは私たちに反抗しないはず……。

もしかして。

彼の首筋に歯を這わす。

彼の耳元で囁く。

「私と番になりたい?」

はい、と返ってくる。

彼が人間なら、できるはずだ。

首を噛む。

目を開けて傷跡を見る。

番痕。

彼は人間であるという他にない証明だった。


ゆっくりと話を聞く。

途中で泣きだしてしまったのを宥めながら言ってくれたことをまとめると恐るべき実態が見えてきた。

あの会社は無差別に人を攫い洗脳してロボットとして売り出す事業をしていたのだ。

これは報告すべきだ。

スマホを取り出し、ばあちゃんの勤めてる電話をかける。

ばあちゃん若いよな、まだ40入ったばっかり。

「はい、葎花大学研究室の井上夜空です」

ばあちゃんの声が聞こえた。

状況を説明する。

わかった、伝えとくとはっきりした声。

翌日、会社のニュースが世界中を駆け巡った

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