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8.記憶
ぼくは…死なないといけないんだ…みんなのために…
この世界とほかの世界を守るため…
しょうがないことだ…
そうか、だから僕には居場所がなかったんだ…
苦しみながら死んでいくそれが僕の使命だ…
公園でたった一人
泣きそうだったけど泣かなかった。
「そうだ、手紙を出しておかないと…」
紙とペンを取り出した。
数文字を書いた時にふと思った
…でも僕の記憶をみんなから抜けば…そんなことしなくていいんだ…
そう思ったとき、涙があふれた。
紙が涙で濡れていく。
涙がとめどなく零れ落ちる。
止めようと思っても、涙が止まらない。
「止まってよ…」
深呼吸したら、涙は止まった。
『我…癒しと浄化の力を持つ龍…ユインの代理…星羅が…願いたてまつる。生きとし生きる者の記憶から…我との…思い出を…消してくれ…』
声が震え、一筋の涙がこぼれた。
シャン
鈴の音が鳴った。
皆から星羅との記憶を消すのが成功したという証だ。
「これで…いいんだ…」
星羅は心を凍らせた。
もう涙を流さないために。
大切な人を作らないように。
もう誰の目にも触れないように…