4.神事
「…今日は新月なんだね…学校終わったら早く帰らないといけないね…」
僕は新月と満月の日は必ず神事をする。
なぜかって?
新月は月の浄化の力が、地球に届かなくなるから、僕は月の代りをしなければならない。
逆に満月は浄化の光が強すぎるから、僕がコントロールする必要がある。光と影の均衡を保つために。
僕の役目はそれだけではない。ほかの世界に行き、何かが起きたときには、それを解決しなければならない。…そして僕は、その世界で関わった人から僕の記憶を消さなければならない。誰であっても。たとえ僕がその世界で大切な人ができても。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「神事の準備をしないとね。」
神事のための部屋に魔方陣を書く。
お供え物などを近くに置く。
夜になり、僕は水を浴びる。今は1月、水を浴びなくても寒い。そんな中浴びれば凍えるほど寒くなる。それでも身を清め、巫女の服装に着替える。水気を取らずに来た巫女服は、体に張り付き体が透けて見える。そして僕の体温は常に奪われていく。
僕は魔方陣の中心に座り、制御用の腕輪を外す。
『我は月を作りし癒しと浄化の龍、ユインの代理、星羅。』
そう言い終わると同時に、黒く短かった星羅の髪は、銀色に代わり髪も伸び、目は金色に代わる。
『我、盟約に従い、神々の穢れ、障りを浄化せん。』
星羅の周りの魔方陣が光りだす。
すると瘴気と呼ばれる黒い影が魔方陣からあふれ出てくる。そして星羅の体に纏わりつきを蝕んでいく。
「くっ…」
(今夜は瘴気が濃い…少し辛いな…)
『我、穢れ障りを封印せし者。穢れ触りよ、我の中で眠れ。』
魔方陣の光が消えた。
力を使いすぎたせいで星羅は倒れた。
この部屋は星羅以外の立ち入りを禁じられているため、誰も星羅が倒れていることを知らなかった。
「」は聖夜として話してるもので、
『』は、銀色の髪で金色の目の星羅として話している時です。