12.太陽と月の光
星羅が使った力は亜樹都には効いていなかった。
亜樹都は、何があったのか、理解ができていなかった。
星羅が消えた後、同じ場所に誰かがいた。
髪と眼以外は星羅と一緒だった。
「君は誰?」
「僕?僕は聖夜。」
「聖夜、俺は――」
「亜樹都でしょ?」
食い気味に聖夜が言った。
「えっ…なんで知ってるんだ?」
「僕も聞いてたからね」
「えっ…
…お前は何者だ…?」
「星羅が陰で、僕はの光の部分とでもいうべきなのかなぁ?」
「光?」
「うん、そうだよ
僕は星羅の光。
…でも今は、星羅は瘴気に飲まれちゃってる。
僕は星羅であって星羅ではないからね。」
「瘴気に飲まれてる?
星羅であって星羅ではない?」
「そうだよ。あと、知ってるかもしれないけど、俺達は、月の龍、ユイン様から血を授かってる癒月家の生まれなんだ。ただこの世界には癒月家はいないんだ。君が、太陽の龍コウヒ様の血を賜ってる君がいるからね。」
「ユイン様から?
というか…なんで知ってんの?
俺が太陽の龍、コウヒ様から力を賜ってる事。」
「なぜって?僕は……っく……」
聖夜は顔をしかめた。
「どうした?」
「っく…僕に近寄らないで…お願い…太陽が陰るといけない…からっ…」
亜樹都は目に力を入れた。
聖夜の周りには影のようなものがまとわりついていた。
「これは…?」
「たぶん…星羅が飲まれた…と思う…」