小話④盗賊団と衛兵団
今度は一体、どんな騒動が?!
貿易都市にある、とある酒場。
ここには、酒も料理もうまいと評判で、多くの人々で賑わう。
勿論、オフの衛兵もいれば冒険者も。それだけ色々な職種の者が集まる場所には、自然と騒動も起こる。
「おい、マスター! 邪魔するぞ!」
白昼堂々現れたのは、最近、世間を賑わす盗賊団。昼も夜も関係なく活動する彼らは、立派なお尋ね者だ。衛兵に追われるも、するりと追ってをかわし、逃げ続けている。その姿に、酒場でくつろいでいた非番の衛兵達が、わずかに警戒心を向けた。
しかし、盗賊団が反発して何をしでかすかわからない。しばらく様子を見ることにする。盗賊団達は、ニヤニヤ笑みを浮かべ。テーブル席に座った。
それから1時間後。
「マスター、失礼する」
そこへ、衛兵の一団が店にやってきた。
「ここに、盗賊団はきていないか……」
質問を投げかけて、隊長格の1人があるテーブルに目を止める。そこには、顔を赤らめ酒や料理をかっ喰らう、盗賊団の姿。雰囲気の変化に気づいた、盗賊団の団長。彼と隊長の視線が向き合う。
「!?」
「!?」
盗賊団、衛兵団。
追われる側、追う側両陣営が偶然にも、間抜けにも出会ったのだ。