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小話12 盤上遊戯
貿易都市にある、とある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判があり、多くの人々で賑わう。勿論、オフの衛兵もいれば冒険者も。それだけ集まれば、自然と騒動も起きる。
お昼の時間帯が過ぎ、酒場はゆったりとした時を過ごしていた。客達も仕事終わり、もしくは仕事合間の自由時間を利用して店に来ている者が多い。陽の沈み始めから夜にかけては、依頼を終えて帰って来る冒険者の数が多く、マスター自身も休憩を挟む暇なんぞ無いに等しい。そんな安らぎ空間とした酒場に、新しい客がやって来た。
「お邪魔しても良いかね? マスター殿?」
入り口に現れたのは、黒のハット帽を被った初老の紳士。年齢は60歳くらいだろうか? 白髪混じりの髪を後ろへ撫でつけ、黒の正装服を着用していた。目尻にはシワが寄って、穏やかな雰囲気を醸し出している。手には大きなずた袋。 初老の紳士は、入り口に立ち止まったままマスターの返事を待つ。
「あぁ」
「では失礼して」
返事を得て初老の紳士は、店内の奥へと歩を進めたのだった。




