小話①登場シーン テイク2
貿易都市にある、とある酒場。
ここには、酒も料理もうまいと評判で、多くの人々で賑わう。
勿論、オフの衛兵もいれば冒険者も。
それだけ色々な職種の者が集まれば、自然と噂話にもはなが咲く。
「し、知っているか? ここ数日で急激に力をつけているパーティの話」
「あー、知っている。なんでも、長身兄弟がズバ抜けているらしい」
「ま、まじか?」
どこかぎこちない会話が広がり、凄い兄弟の話で場が持ちきりになる。
そこへ。
「こ、ここが、うまいと評判の酒場か?!」
緊張感を含んだ声とともに、四人組の影が現れた。
酒場は先ほどまでの喧騒が静まり、皆、緊張の糸を張り巡らす。
誰もが、一団の先頭にいる男を見て。
「……好きに座ってくれ」
酒場のマスターが、短息して一団を促す。
「ありがとう!!」
先頭の男は、心からの感謝を告げ、店内へ。
そして。
「ふっ!」
一瞬で入り口をくぐって、難関を突破。
固唾を飲んで見守っていた客たちが、思わず小さく歓声をあげる。
「よし!」
当の本人はよほど嬉しかったのか、ガッツポーズを作って泣く。
後ろいた面々も、安心して店内に足を踏み入れていく。しかし。
「ごはっ!?」
最後の1人、もう1人の長身が、顔を強打。
『あー』
誰もが思い出した。
そうだ。噂では長身「兄弟」だもの。
もう1人、いて当然だ。