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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
7/102

1週間

「1週間内にこの国を出ます、その前にグレネド邸で結婚式をあげましょう。

家族に花嫁姿をみせてあげなさい。

私が見たいのです。」

リヒトール様が私の手を取り告げた。

「1週間!」

声を荒げたのは父だ。


「女性を美しくさせるのはお金がかかるのです、男爵令嬢しかり。

王太子の目にとまるようなドレスや宝飾となるといかほどか。

男爵家にはさるところから、援助が続いてたのですが、それは、すでに打ち切られました。

王太子が彼女から目が覚めるのは、案外早いかもしれません。」

リヒトール様がまるで全て知っているかのように語る。


この国から出るのは7日後となった。

父と兄がごねて、最大にひきのばしたのだ。

式は6日後になったけど、王家や他の貴族にばれると心配していたら、

「5日後早朝に、ブリューダル王国で革命の火ぶたがきられるかもしれません。

あちらでは、威圧された国民達の不満があふれかえってます、彼らは生きるために、現状を変えるしかないのです。

早馬で、この国に情報が届くの1日かかります。

国境を接するこの国でも混乱が起きるはずです、この混乱に乗じて結婚式と国外への逃避をしましょう。」

まるで私のために革命が起きるような情報だ。

マクレンジー商会おそるべし!


父も兄も私も同じことを考えている、きっとそれは当たっているのだろう。

5年の準備と言っていた、それはどこまでの準備なんだろう。


リヒトール様は私兵を公爵邸に配備して帰って行った。


王家も今夜は大変な夜を迎えているはずだ、王女のいない王家ではずいぶんかわいがられた。

アランだって決してできが悪いわけじゃない。

ちょっと情熱的なとこがあるだけで、私がもっと交流をしてたら、違っていたのかもしれない。


17年暮らした公爵家を離れる。

しかも逃げるように、国外逃亡だ。

このまま、アランと結婚して王太子妃なるかもしれないと覚悟してた。

そうなったら、それが運命だったと国に尽くそうと思ってた。

王妃教育の10年は無駄になるけど、あれがあったからリヒトール様に会えた。


小娘だけど、恋の喜びも、恋の悲しみも知っている、今夜はなかなか眠れない。

リヒトール様の様々な噂を聞いた、恐い話も、たくさんの女性と浮名を流してることも。

誰もの恋がかなうことわけじゃない、私は幸運なのだ、でも思ってしまう。

私のどこがよかったの?

私は他の女の人と違うの?

女性問題で派手な噂の多い人だから捨てられる不安に怯えてしまうけど、好きな人にプロポーズされたんだ自信を持ちたい。


翌朝、父は王宮に呼び出された。

王から謝られたけど、牽制もされたそうだ。

「シーリアには、ゆっくり養生して、心のケアをしてほしい。アランもきっと気づくから、見捨てないでやって欲しい。シーリアを側妃などとんでもない、正妃にしか考えてない。

シーリアを我娘と思って成長を見守ってきたんだ。」

それでも、父はねばって婚約の取り消しを勝ち取ってきた。

「大勢の目の前で婚約破棄を言い渡され、倒れたシーリアには、このまま婚約を続けるほど周りの目にさらされ、つらいものはない。シーリアの為に、ともかく婚約をなくしてほしい。

婚約破棄を言いわたされても、しがみついてると思われることにシーリアは耐えれません、娘をもつ親としても許せません。

アランにいろいろ思うところはあるが、小さい頃から知っている甥だし、今後のことはその時に話し合いましょう。」


「昨日、シーリアを運んだのは、グレネド伯爵だったようだが。」

王が含むところがあると言わんばかりに聞いてくる。

多分、一国の王より忙しいマクレンジー商会会長が頻繁にセルジオ王宮に出てくる、というのは有名なことで、何かあると、セルジオ王国でも近隣諸国でも思われていた。

「お礼を用意いたしました。」

それは娘ですとは、口が裂けても言えないが。


「王妃様の容態はいかがですか?」

「昨日すぐに気が付いたが、ショックが大きくって今も静養しておる。

アランも部屋で謹慎している、昨日の建国記念パーティーには各国の要人が来ていた、あそこだからこそ、確実に婚約破棄ができると踏んだんだろうが、王太子としての信用は地に落ちた。

アランの噂は報告されていたが、遊びも結婚までのものだと思っていた。」

そこまでして、手に入れたい程の女かと思うが、人の好みはそれぞれだ。

男爵令嬢の顔を思い出そうとするが、特筆すべきほどの美人ではなかったぐらいしか思い出せない。


デュバル公爵は、その場で王に婚約解消の書類にサインをさせたので、即日に正式なものとなった。


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