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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
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穏やかな日々

マクレンジー帝国が誕生して1年もたたない内に周りは、帝国の息のかかった国ばかりになった。


アランは手にした氷砂糖を見つめていた、これが革命を起こした。極東地域ではこれを手にした国が岩塩地帯を制圧し、マクレンジーと塩の取引を始めた。


戦争時に兵食は大きな問題だ。氷砂糖は主食にはならないが体力補強になる保存食となり、甘味は兵たちの疲れを癒した。

純度が高く保存期間が長い、遠征地が暑くても寒くても持っていける。

海外遠距離航路にも常備品となり、商品にもなるのだ。


「フェルナンデス、マクレンジー帝国に行く、調整はできるか?」

「しばらくは無理だな、しっかり働けば2か月後ぐらいに調整できる。極東の動きか?」

そうだと頷いて返事に代える。


「アラン知っているか?僕たちが売りに出されていると。」

何のことだ、売りに出されている?

「マクレンジー帝国の商品の中に僕達があるらしい、つまりは独身で婚約者もいない目玉商品だそうだ。」

「私達はとことん女運が悪そうだな。」溜息しか出ない。

「本人達の意思確認なしにとんでもないが、何があってもおかしくないと思えるのがマクレンジー帝国だ。」

フェルナンデスは、美貌の皇妃の麗しの兄ってとこか、私はなんだ。


買うのはどこかの姫か、まさか金銭売買なのか。




「お兄様はね、美貌の皇妃の麗しの兄。

アランは、甘いマスクの王太子、どう?」

シーリア様センスありません、とアンヌは思ったけど今さらなので口にださない、そのままだ、もう一捻り欲しい。

シーリアもアランと同じセンスであった。


マクレンジー商会の商品はフェルナンデスとアランの姿絵である、侍女達の間でなかなかの好評を得てる。

元絵の提供はシーリアであるが、まさかセルジオ王国では本人達が自分達本人が売られると恐れてるとは思いもしていない。

ダントツ人気になるであろうシーリアの姿絵は売りに出されることはない、リヒトールが許可しないからだ。




侍女達がドレスやアクセサリーを準備している、明日から属国であるが中立国のモナ湿原地帯に行くのだ。虫対策が完了しホテルなどの建物も立ち上がり、人が集まり始めたが、まだ今ならさほどでもないとリヒトールがシーリアを視察に誘った。

シーリアの期待ははち切れんばかりだ、頬は赤らみ、時々訳のわからないことを言ってる、脳内デートが先行しているらしい。


湿地帯では季節ごとに花々が咲き乱れ、冬の寒さの中でも咲く花があるらしい。独自進化をした植物の宝庫と聞いた、花々の中でリヒトール様とデート、デート、デートとリピートし続けている。

「ねぇアンヌ、湿地帯は周りを歩くのかしら、広いのかしら、蛇はいるのかしら?」

いるんじゃないですか、姫様相変わらずですね、とアンヌの顔に書いてある。

「一人で興奮しちゃって恥ずかしいわ、別に期待してる訳じゃないのよ、リヒト様とデートなんて。」

脳内暴露状態だが、シーリアは気づいてはいない。

ハイハイ期待してるんですね、デートできるといいですね。


「アンヌさん、皇妃様どうしたんでしょう、目がキラキラして眩しいです。」

キャサリンが聞いてきた、アンヌはデュバル公爵家からシーリアに付いてきた侍女だから解ると思ったらしい。

「お小さい頃から悪巧みがまるわかりのお嬢様でした、楽しい事があると目がキラキラするんですよ。

あの容貌ですから、最初の頃は、まさか暴走するとは誰も気づかなくって。」

アンヌの話は過去に戻っていく。



お嬢様はご自分が普通と思ってらっしゃるようですが、若様である兄のフェルナンデス様と比べるからそう見えるだけで、利発なお嬢様であります。


普通の貴族的な女性とは、お母様であるデュバル公爵夫人のような方です。容貌は類い稀な美貌の持ち主であらせられます。王家の教育を受けておられますが、たいそう甘やかされてお育ちになったそうです。

公爵夫人はお嬢様の目付きをかわいい感じにした瞳で希少な赤色、ピンクブロンドの髪、雪のように白い肌、傾国の美姫であったと、お嬢様の乳母様から聞かされました。

今も年齢を感じさせない美しさであらせられます。


デュバル公爵夫人サラ様は幼少の時から美人の王家の中でも特筆した美貌でした。

セルジオ王家の姫君で、比類なき美貌、世の男性達の争奪戦が始まったそうです。

サラ様の誘拐未遂が何度もあり、その度に王宮の警備が強化されたので、シーリア様の婚約が早かったのも警備の厳しい王宮で保護するためでもあると聞きました。


サラ様には国内外問わず縁談が持ち込まれたそうです。貴公子達のプレゼントにとても喜ばれる普通のお姫様だったそうです。

サラ様は深く考えることなく、ありがとう嬉しいと、全ての男性に笑顔で言われたそうで、男性達は期待を高め、お互いを牽制し事件に発展することもあったようです。

笑顔の妖精と呼ばれ、笑顔を求めて贈り物は苛烈な競争となり、ギュバハルの王太子様などは国庫に手をつけて宝石を貢がれたと聞いてます。廃嫡にされ、第2王子が王太子となり、今の王になられたとか。

そんなこともあり、前王が国内のデュバル公爵家への降嫁を決められました。

その時の騒動はセルジオ王国では有名ですが、私が生まれる前の話ですから、詳しくは知りません。


シーリア様がお産まれになった時は、変態達が狂喜乱舞したらしいです、サラ様の代役として。


シーリア様も3歳になる前から縁談が舞い込み、幼い頃より変態の視線にさらされ続け、何度も危険な目に合い、危険を避ける術を身に付けられました。サラ様にはできなかった事です。

シーリア様本人言わく、変態警報が鳴る、そうです。



アンヌさんの話を聞いて、シーリア様ってリヒトール陛下には変態警報鳴らなかったの?

一目惚れって言ってらしたから、警報発令前だったのかと感心する。皇帝陛下よかったです、それがなかったら私達は今頃地獄を見ていたかもしれません。

皇帝陛下は充分に変態の資質がゴフングフン、とキャサリンは思うのだった。



報告を聞いたリヒトールは、シーリアに密かに付けてた警護達が、セルジオ王宮の守りは世界屈指だと言っていたのを思い出した。そして、ギュバハルの王が賢王なのも納得した。



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