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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
43/102

アルフレッド・ローラン

「本当に結婚したんだね。」


学友の一人であるローラン王国の王弟アルフレッド・ローランが戴冠式の祝いにやって来た、すこぶる早い、まだ1ヶ月ある。

ローランは大口顧客だから仕方ないな。

「バザールの視察も兄から指示されてるのでね。」

見せたくはないが、シーリアを紹介せざる終えない。

「ずいぶん君とこの元貴族がうちに流れてるんだけど、どうしたもんかね?」

「さあ。」

タヌキめ、わかってるだろうに。


「シーリア姫、私もあの場にいたのですよ、お辛かったでしょう。貴賓席にいたため、リヒトール程近くなく助けに行けませんでした。申し訳ない。」

そうだ、こいつはセルジオ王国の建国記念パーティーに招待されて、王太子の婚約破棄を見ていた。

「リヒトール、君が助けた姫と結婚するナイトとは思わなかった、君は王だから。」

シーリアがデュバル公爵姫とわかってから、世間では婚約破棄の場で助けた私が姫と結婚したことで、美談になっているらしい。


「もう忘れたいことです、殿下もお忘れください。」シーリアが微笑みながら言った。

これは、外交の笑みだとわかっているが、見せたくない。

「美しい、リヒトール怒るなよ、誰が見ても姫は美しいだろう。」

イヤなやつだ、こちらを牽制してくる、王族というのは、どれもこれも美形が多い、こいつも例にもれずだ。代々、美人の王妃を娶り続ければ、どこの王族も美形になる。



「皇妃外交ですもの、わかってください。」

二人の寝室でシーリアがキスしてくる、明日、あいつを案内できないように抱き潰してしまおう。

「明日からリアは病気だな、外交はできん。」

「リヒト様のお役にたちたいの、お妃らしいことができるんですもの。」

シーリアの首筋にキスを落とし、今夜はどうしようと考える。

消えないキスの跡に吸い付く、甘い鳴き声の夜が始まる。



シーリアは目が覚めて身体を起こそうとしたが、諦めてベッドに突っ伏した、身体中が痛い。

リヒト様の嫉妬は嬉しいけど、ヒマな毎日の中にやっときた外交という仕事をしたい。

お妃教育実践の機会がやっと来たんだもの。

リヒトール様を出し抜く方法があるかな、と考える。


無理無理、と 諦めの早いシーリアだったが、外交は向こうから転がり込んできた。



「ビックリしました。護衛がいると思って見たら、皇妃が侍女の姿で掃除しているから。何故にそんなことを。」

「ヒマだからですわ。」

「え?」

「ヒマなのです。」

声も出さずに身体を震わせて笑ってるわ、失礼な。

あれ、似たような光景が昔あったような。

掃除姿を見られて、お茶にお誘いしたんだけど、笑いが止まらないです、この殿下。


「確か、体調が悪いとおききしましたが。」声がまだ震えている、そんなにおかしいのかな、掃除は大事な仕事です。

「ご想像のとおりだと思いますわ。」

「それは、リヒトールがということで。」

「想像があってるかはお答えかねます、国家機密ですの。」

「リヒトールは、よくもこんな奥方を見つけまたね、見かけに騙されました。確かに、病気にさせたくなるな。」

なんかこの殿下、要注意だよね。幼児の頃から変態の視線にさらされた警報が鳴ってる。

「私、ちょっと急用がありますので、こちらで失礼させていただきますね、殿下はどうぞごゆっくりなさって。」

慌てて席を立つと、殿下が声をたてて笑い出した。

やだ、離れても笑い声が響いてる、1ヶ月も滞在するんだよねあの殿下、避けて通れない。



「お前目が高いな、あんなのいるんだな。(にら)むなって手出したりしないから。」

こいつ、シーリアに目を付けたか、どうしてやろう。

「アルフレッドにも妻がいるだろう。」

「政略のおもしろくない奴な、あっちもこっちを嫌っているさ。」

「シーリアに何かしたら、国ごと潰してやる。」

「リヒトールのは冗談ではないから、恐いね、肝に銘じてるさ。

これ以上、やっかいなの我が国に放り込まれたらたまらないからね。」

こっちが本題か、逃走元貴族達が気勢をあげているらしいが、大したことできまい。


「で?」

「うちはマクレンジー帝国に敵意はないと伝えに来た。情報はきてるんだろう、あいつらのこと。」

「ルクティリアの過激派が接触したそうだな、ローランで。」

「だから、うちは関係ないって。カミーユから連絡がきた、子供がいるそうだ。」

「私の子供を名乗っているって?戯言だな。私の子供はシーリアが産む子だけだ。」

シーリア以外には情事ではない、ただの性処理だ、覚めていたし避妊を怠ったこともない。

私の後は、それこそスティーブに廻していた、他にもだ、誰の子だかわかるもんか。

もし私の子であっても、いらないな。

「お前はびくともしないが、皇妃はどうだろうな。」

「その子供は、いらない子供から、生きる必要のない子供になったな。」

おまえはどうだ、とコーヒーポットをアルフレッドに渡す。

「カミーユには礼代わりに過激派を潰してやろう、ケインズ。」

「は、留学時の取り巻きをあたらせましょう、子供などありえませんがね。」


リヒトール、アルフレッド、ケインズの3人は、ルクティリア帝国に留学していた時のように、深夜に及ぶまで戦略を練ることになった。




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