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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
36/102

リヒトールとシーリア

「共同墓地に行ったそうだね。」

「リヒト様行かれたことは?」

「あるはずないだろう、生き伸びることが重要だ、死んだ人間に用事はない。」

行ったことないだろうと思ってました、夫婦ってお互いのことが分かるっていうけど、リヒト様の場合は側にいるもの全員がわかる、興味がないって。


「満足したかい?」

「自己満足って意味ではしました、17の小娘ですよ、逃げだしたくなります。」

「逃げないくせに。」

リヒト様を見上げると、思わず笑みがこぼれてしまった、リヒト様がいたずら小僧に見える。

唇を重ねながら、言葉をつむぐ。

「逃がしてくれないでしょ、恐いから部屋に閉じこもるなんて言ったら大喜びで鍵をかけるでしょ。」

「当然だね。」


私達はどうやらお互い一目ぼれで、お付き合い期間なしで結婚した、その間の5年間見るだけしかなくって、お互いがわかるはずもない、ガッカリされるかと思ったらそうでもないみたい。


リヒト様はもっと極悪非道かと思ったけど、理に適った考え方の持ち主だった、方法が最短コースなのだ、効率重視。


「私の姫は何を考えてるのかな、放棄させてあげるよ、私でいっぱいになりなさい。」

リヒト様がのしかかってきた、もう心も体もリヒト様でいっぱい。

指がからまる、吐息が漏れる、夜が始まる。






「リヒトール様それはシーリア様からですか。」

ポールが机の上のバスケットをさして言った。

「ランチの差し入れだ、コーヒーを入れてくれ。」


シーリアはどうやら、私を餌づけしようとしているらしい、料理は好きみたいだ。

今日は、ハーブチキンのサンドイッチだ、マスタードがきいてる。

美味しい、普通に美味しい、シーリアが作るから美味しいというわけではない。

昨日魚にしたから、今日はお肉にしたと、シーリアがキラキラした目で言っていた。

お妃教育って、料理じゃないだろう、シーリアは何を目指してるんだか。

私は国を盗るより、レストランを作った方が良かったのか。

シーリアの料理は普通だ、普通に美味しい、特別美味しいとは違う、レストランは無理だ。


相変わらず掃除もしているらしい、プロの域には遠く及ばずと聞いている。

掃除も料理もと欲張らずどちらかに時間を専念した方が効率はいいはずだ、第一どちらも皇妃に必要ない。

だが、私を餌づけしようとする態度がもろばれのシーリアはかわいい。




今日もリヒト様が全部食べてくださった。

バスケットを持って行く時と、下げに行く時の2回も会えたし。

残さず食べてくれるから、何が好きかわからない。

でも、コックが悲鳴をあげるから偶にしかつくれない、コックだけでなく、侍女も護衛も悲鳴をあげてる。

ナイフを持つ手が危なかしいらしい、鍋が重くて足の上に落としかけたから、余計にそう見えるだけだわ。


いつか、ランチを持って湖畔でリヒト様とデートしたい。

湖畔ってどこにあるかわからないから、想像で満足しよう、デートしたことないんだもの。

二人で湖に足を浸して、冷たいねっキャッて・・・無理、想像が追い付かない、リヒト様には無謀すぎた、例え想像でも。

人には適性がある、脳内でリヒト様と行くデートスポットを想像したけど、ない、疲れてきた、部屋にもどろう。


6/4文字修正

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