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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
32/102

シーリアの悩み

シーリアの場合、見かけがいいので得することが多いのですが、そればかりではないようです。


途中からは侍女パトリシア観点の話になってます。

私は今落ち込んでる。

贅沢とは思うが、美味しいものを食べて、きれいなドレスを着て侍女にかしづかれ、夫はありあまる程の愛をくれる。

でも、することがない!


お妃さまになったのよね。

お妃さまってこんなにヒマなの、お妃教育いらないじゃん。

慰問とか外交とか、ないし・・・

お妃教育って内容じゃないんだ、忍耐を学ぶんだと思わざるえない。


そうだ、宮殿はまだ、クーデターの掃除中だし、それならできるかも。




「なんだって?」

リヒトールは執務室で警護の報告受けていた。

「お妃さまは、東の宮の柱に飛び散った血を掃除しようと、手が届かなかったため、椅子を足場にされて登られましたが、踏み外され、」

ガターン!!!!

言葉が終わる前にリヒトールは駆けだした、

「東の宮の3の間です。」警護の声が後ろから追いかける。


リヒトールの警護を含めた団体が、宮殿を駆けているので注目の的だ。



「ケガは!?」扉が大きな音を立てて開いた。

「リヒト様。」

シーリアがきょとんとリヒトを見た。

「あ、大丈夫ですわ。椅子から落ちかけたのですが、護衛が助けてくれましたわ、俊敏でビックリです。」

「何故に、こんな所に?」

「ヒマだからですわ、掃除のお手伝いをしようと。」

「え?」

「ヒマなのです。」今度は大声で答えた。



あーっははは!!!

リヒトール様が声を出して笑っている、初めて見た、旦那様の側近達もびっくりしてる。

さすが旦那様の癒し担当、奥様グッジョブと侍女のパトリシアは思ったが、口に出したりはしない。


「お茶でも刺繍でも好きな事を。」

「何が好きか探索中です、そして役に立ちたいの。」

「居てくれるだけでいいんだ。」

「絶対、仕事を見つけますから、覚悟なさってください、誰よりも役にたってみせます!」

「絶対、ケガをさせるなよ。」

「何故に、私の周りを見て言うのですか?私に言えばいいでしょ。」



「ケインズ、先ほどの水利のことだが、別の案を見つけた。資料で欲しいものがある。」

旦那様が話を変えた、相変わらず無表情に戻っているが。

「リア、すごいな君は、頭の中がすっきりしたよ。これはいい、周りを見るのではなく根本を攻めればいいんだ。多国間協定の隙間を取れるぞ。」

だから口の端だけ持ち上げて笑いを含みながら言うのは恐いです旦那様、とパトリシアは思う。

旦那様は踵を返すと側近達と話しながら出て行った。



「嵐のようだったわ。」

まったくです。

「さぁ、掃除の続きをします。」

奥様、止めてください、非力な奥様には無理ですって。

非力なんだけど、頑張り屋なんだよね、しかも大胆。

この見かけで、にっこりほほ笑んでいれば何でも許されると思うんだけど。


「街に出かけるには、このドレスはまずいわね、何かある?」

「物価とか、人の様子とか行かなきゃわからないでしょ。」

「リヒト様には後で許可をもらうわ、国民の生活を知るためですもの。」

「お昼ご飯は街で食べましょ。」

「役に立つには現状を知ることが重要だと思うの。」

「後で、救護棟に慰安に行くの、街でお見舞い買えばいいんじゃない!」

「今後の為にも、街で街行き用の古着を買うってのもいいわね。」

奥様、警備も侍女達も胃が痛くなってきました。



「セルジオ王国に居たころから、お嬢様はこんなのでした、猪突猛進で。

あの外見に皆だまされるんですよ、夢見ちゃって。

ほとんどは、大人しく理知的に過ごされてますので、ご令嬢そのものですが、時々暴走されます。

ごく普通のお嬢様です、大人びた事も言いますし、年相応の行いもされます。

そういう点ではあの外見で損されてます、理想の女神のごとく見られることが多いですから。

こうあって欲しいという希望を無意識に押し付けられるんですよ。

多分、無視していると思います、そこが強いんです、あんなに弱々しいとこがいっぱいなのに。

でもだからこそ皆に愛されてましたよ。」

奥様の実家から付いてきた騎士のロジャーが教えてくれた。


結局、街行きはあきらめたけど、きっと何か企んでる、恐ろしい女神様だ。


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