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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
25/102

リヒトール駆ける

城下にはすぐに着いた、軍馬に乗った大群が街中を駆けていく、まだ夜も早い時間、人の目につかないはずがない。

ほとんどの人が建物の中に逃げ隠れる、街の喧騒が合図だったのか、既に懐柔してある国軍の兵士が集まってきて、城門の中と外から味方が門を開場する。


王からは明朝マクレンジー商会を弾圧すべく指示がだされていたが、マクレンジー商会から潜り込んでいた者達が多くの武器や弾薬を移動したり隠してしまっていた。


明日マクレンジー商会に向かうため、僅かな兵士を残し、今夜は娼婦のとこなどに行った者が多くいた。行くように誘導されたが正しいだろう、軍内部に入り込んでいるマクレンジー商会のものが、明日の出動に備えていくばくかの金を配ったのだ。家族に渡しにいく者、遊びに行く者達が出掛けやすいように明日集合と解散して。

敵兵士が少ないほど、こちらの損失は少なくてすむ、リヒトールが城を辞した時から、戦いは始まっていたのだ。


もちろん、王宮の警備兵には有能な者も多くいるし、貴族の軍隊、王家警備の近衛兵もいる。だが、今は国を守るものより国を盗る者の士気の方が圧倒的に高い。

守るものが、民を顧みない愚鈍な王家と聖女と言われる麗しい姫の違いか。


そして有能である人間程、現在の王家のありかたに苦悩し、国民の生活の苦しさを知って、王家に見切りをつけマクレンジー商会の協力者となっている者が多い。秘密裏に行われた商会との接触は誰知ることなく、このクーデターまで隠されて、国の任務や仕事に当たっていたのだ。

武官も文官もクーデターが起こって初めて、誰がマクレンジーについた仲間か知ることとなっていた。

ただ、有能な者であるので、お互いに薄々気がついていただろう、かなりの数の者が王家を棄てるつもりだと。


マクレンジーの税に頼り、国民を顧みない結果、国民の生活は困窮に陥って、隣国の革命の成功を聞いて、暴動が起こってもおかしくない程だった。餓死者を出すほどのものではないが、他国よりマクレンジーの税がある分、浪費は凄かった。

それは国内を潤すことなく、外国の最新鋭の大砲、武器が揃えられ 、毎夜の舞踏会、華美な宮殿、自国産業を保護せず外国からドレスも宝飾も取り寄せた、農地改良をして収穫率をあげなくてもマクレンジーから税が入る、街の整備をしなくてもマクレンジーが流通のために道の整備をする。

マクレンジーからの税と国民からの税、潤うはずの国は道を誤っていた、マクレンジーの税が足りないと増税で国民から絞りあげた。


王が国民を大事にすることはなかった、常にマクレンジーの方を向いて、汚職や賄賂でそのマクレンジーの税を奪い合っていた。


リヒトールが王宮に討ち入った報は、市民の間に興奮と好意を持って受け入れられた。

国がしない、街の整備もマクレンジー商会が流通経路確保のためにした。農村部に行って改良や不作の時の為に保存する術、マクレンジー商会への直接販売ルートを指導したのも商会の人間だ。

武器などの流通には厳重な警備をし、商会の私兵が街を守る場面もあった。


市民も 貴族でさえ、優秀であればあるほど、国ではなく、リヒトールに忠誠を誓った。

何年も準備され、計算された配置、周到に用意されたクーデターが始まったのだ。


このクーデターは、起こるべきにして起こったものだった、リヒトールが王になるという気持ちを持った時に。リヒトールは決して心穏やかとか優しい性格ではなく、手段も選ばないが、結果が正しくみえた。


リヒトールを守るように人が集まってくる。


進行方向では、戦闘が始まっている、切られた死体を踏み越えてリヒトールが駆ける、王宮各部で制圧が進む。


どちらも無傷ではいられない、傷の少ない方が勝つのだ。



夜が更けていく。

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