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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
22/102

アラン2

そこは玉座に王が座る広間だった。

アランは一段下に立っている。

足元には衛兵に連れて来られたエリザベスがいる。


「陛下、この度のことは、大変心配をかけ、ご迷惑をおかけしました。

ここに、全ての真実を報告し、責任を取りたい所存であります。」


何日たっても、シーリアの居所がわからない、どうか生きていてほしい。

デュバル公爵と嫡男フェルナンデスの登城もすっかり減った、母もめったに部屋からでてこない、隣国の緊張もあり、舞踏会も中止されている。

シーリアがいないだけで、王宮の火が消えたようだ。


父も母も王妹であるデュバル公爵夫人の美しさを受け継いだシーリアを我娘とかわいがった、私はシーリアを女性としてではなく、家族として見ていたのかもしれない、愛していたのは間違いないが、甘えていた。

これが私がしたことだ。


「こちらに、エリザベス・ハンプトン男爵令嬢に関する報告書があります。」


「ずいぶん前から、エリザベス・ハンプトンには懇意にしている男性がいたようで、

街の仕立屋などでは、頻繁に男性にドレスを貢がせているようでありました、宝石もしかりで、たくさんの証言がでております。

貢がれた宝石のいくつかは換金して、交遊費や生活費になったようです。

街の中では腕を組んで親しげに歩いていたそうです。

しかも数カ月の間にわたって、目撃件数が多数あります。


エリザベス・ハンプトンが妊娠したことで私は結婚を決意したわけですが、

腹の子はこの男性の子供ではないのか?」


「この子はアラン様の子よ!」


「街で1番のホテルの複数の客などの証言があります、

エリザベス・ハンプトンはこのホテルをよくその男性と利用していて、」

アランはさすがに言い淀んでしまった。

「時には複数の男性と楽しんだ後、部屋から出てくるのを目撃されている。

先月も二人の男性と乱れた髪形で部屋から出てきたそうだ。」


「そんな! 嘘よ!誰にも見られてないわ!」



「アラン様信じて! 無理やりだったの、1回だけなの。」


「私は避妊をしていた、決して女性任せにせず、慎重にしていたはずだ、

おかしいと思ったんだ。」

自分のバカさ加減に泣けてくる、こんな女の言葉に乗ってしまった。


「アラン、この娘を愛していたんじゃないのか?」

父王が初めて声をだした。


「この娘にかかわらず、付き合っていた女性はちゃんと愛してましたよ、付き合っている間は。

短い恋を楽しでいた、それは遊びだった。

王族の重積を忘れさせてくれる軽い女を選んでましたよ、バカなのがかわいかった。

エリザベスはまるで用意されてたかのように好みそのものでしたよ、青色のドレスをよく着ていた、私の好きな青色の。

子供ができたと聞いて判断を間違った、まず最初に調べねばならなかったんだ。」


「普遍的な愛があるのは、シーリアだけですよ。」

天井を仰ぎ見る、クリスタルのシャンデリアが輝いている、

それはうたかたの夢のようで、光が流れては消えていく。



建国記念パーティーで婚約破棄と新しい婚約を宣言した私は、婚約破棄だけが実行され、新しい婚約はなされることはなかった。

パーティーの翌日にデュバル公爵から、婚約解消の書類が提出され、受理されていたからだ。


ハンプトン男爵家は断絶、子供は生まれることはなかった、エリザベス・ハンプトンは産み月を待たずに病気で亡くなった。


エリザベスが亡くなったと聞いてもなんの感慨もない、すでに関係のない人間だ、誰の子かわからない子供に王位継承権を要求されるような心配がなくなってよかったとさえ思っている。


報告書にあったシザール・ド・ファン、存在の確認ができなかった、そちらの方が気になる。女に貢には金額が大きすぎる、ドレスも宝飾品も最高級品だ、エリザベスにそんなに貢いだのに夜会で見かけたことがない、エリザベスの側にいなかったからだ、何故に。


私はいつか本当の自分の子を作らねばならない、そんなことができるのだろうか、もうどこにもシーリアの情報がない、諦めないといけないのだろうか。

シーリアが見つかったとして、シーリアは私を受け入れてくれるのだろうか。


状況を考えても、令嬢一人で生きていける場所ではない、生きていないかもしれない、もう誰かのものかもしれない、悲しみというものが心をえぐる、自分で壊して無くしたものの大きさを知る。


必ず手に入れる、セルジオ王家の全てを使って取り戻す、父も手を貸してくれるだろう、だから、生きていてくれどんな形でも。



来月には、ブリューダル王国からエルメダ連邦国となった国から外交使節団が来る。

聖女の話は聞けるだろうか。

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