アレクサンドラ
ともかく美人だ、警備の役は3人で取り合って、俺が勝った。
気がきつそうだが、それも好みだし、胸は豊かだし夜が楽しみだ。
大通りで馬車を降りて、裏手の教会に向かう。
古い建物が多く、がれきが落ちてきて、びくついていた。
去勢をはっているのがばれてるぞ、思わず顔がゆるんでしまう。
「アレクサンドラ。」
「名前を呼ぶのを許してません。」
「じゃ、おまえ。」
「なんですって。きゃっ」
転びかけた身体を抱きとめる、震えてるじゃないか。
「だから足元の石のことを言おうとしたのに。」
「もっと舗装しなさいよ。」
仔犬がキャンキャン咆えてるようだ。
「お前達は、俺達から血のにじむような税金を取り上げて、ドレスや遊行にほうけた、
その結果がこれだ、俺達はボロボロの街で育った。」
アレクサンドラが大きな目で俺を見上げた。
「あ・・」
「兄弟は5人いたが、生き残ったのは俺だけだった。いつも栄養が足りてない。
病気になっても医者にかかる金はない、必然的に強い個体しか生き残れない、それが俺だ。
風邪もひいたこともなければ、腕力もある、小さなガキの頃から仕事をしてきた、そこで文字を覚えた、計算ができないとわずかな給金さえごまかされた。お前達のように教養で覚えたんじゃない、生きるためだ。
俺が13の時、寝ないで働いて集めた金でやっと薬を買えた、でも妹は間に合わなかった、最後の兄弟だったのに。
俺達はお前の父親のかたきか?
俺達を憎めよ。
お前達は俺達のかたきだ。妹の、弟の、姉の、父の、母の。」
「あああああああああ!!!」
震えるアレクサンドラを抱きしめる、貴族は嫌いだ、
でも俺の腕の中でアレクサンドラが泣くんだ、その涙に何もかもが流れて行く気がする。
アレクサンドラは妹と同じ髪の色なんだ。
妹が亡くなって、俺はヒステン王国に行き、マクレンジー商会の私兵隊に入った。
あそこは地獄のような特訓だったが、俺のようなのがゴロゴロいた、努力した分は報奨金という形で報われた。他国語も教えられ、経済の仕組みも教えられた、ルクティリア帝国のマクレンジー商会幹部の護衛に抜擢され、そこで幹部の仕事をみた。
そして呼び戻された俺に与えられた仕事が、この革命軍に紛れ込むことだった。商会の私兵隊の仲間がたくさん紛れ込んでいた。いくら軍の一部を取り込んだからといって市民に王宮は落とせない、ましてや、その後、文字も読めないような市民の集団ではどうすることもできない。
この革命自身がマクレンジー商会の手引きの下で始まっている。
俺はこのまま、この国に残る事になっていて、幹部となり、国を作る指示をうけている、商会の人間と悟られることなく。
「ランドルフ、何故私達はこうなるまで知らなかったの、
今の私には、何もできないのよ、貴族って何?
こんなに恥ずかしいことなの?」
アレクサンドラかわいいな、チュ、思わずキスしてしまった。
バッチーーーン!!!!
「信じられない!!!! 人が悩んでる時に。」
こちらも信じられない、張り手だぞ、女の子から、たかがキスだぞ。
「全然、シリアスになれないじゃない!」
腕の中で、アレクサンドラが暴れる、貴族ってこんなにかわいいものなのか。
震えてるんだぞ、プルプルだ。
「俺が恐いか?」
「あなたなんて恐くないわよ。私を誰だとおもってるの!」
いや、震えながら言ってもなぁ、見栄張りだというのがわかる、虚勢だな。
「俺にも計算を教えてもらおうかな。」
「いいわよ、ちょっとはお世話になったし、どんな計算がいいの?」
「ベッドの中でする計算だよ。」
「え?」
「1+1=3になる計算」
バッチーーーーン!!!
アレクサンドラ手が早すぎる。
真っ赤になってる、かわいいなぁ。
「さいってい!!!!!」