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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
14/102

ステファニー

先生として選ばれた貴族令嬢の話がこれから続きます。

最初はステファニーとクリスのスタートです。


5人の令嬢が終わったのち本題に向かいますので楽しんでいただけるとうれしいです。

「いやよ、平民のとこに行くなんて、それもお父様を殺した革命軍の監視つきなんて。」

「平民に文字なんて必要ないわ、なぜ私が教えないといけないの。」

「街なんて、ならずものでいっぱいよ、そこになんて行きたくない。」

広間に集められたのは5人の令嬢。


「いつまでも、貴族気分でいられても困るな。すでに領地、財産没収をされて、屋敷もすぐに住めなくなる。能力のあるものだけが、貴族でなくなっても生き残れる、あなたたちはどうかな?」

アクセン伯爵の言葉に、5人が息をのむ、父達のように処刑されるのかと。


「アクセン伯爵、裏切り者、王を処刑して満足ですか。」


「この国は死にかかっている、それがわからないか?

王政がなくなって、延命しただけだ。

この国の借金がいくらあるか知っているか?

昨年の餓死者がどれぐらいか知っているか?

北部地方の風土病が街に向かってる、これに対抗できる薬を手に入れるルートをこの国は持ってない、王は薬の産地の隣国を見下していたせいで拒否されている。病気は貴族も平民も区別をつけないぞ。

革命軍は貴族を処刑した、だが、革命軍は平民の苦しみから生まれたものだ、原因が王や貴族なんだ、それをわからないと恨みしかない、これから生きていくのに必要なのは希望なんだ。

それは、あなた達にも、私にも。」


古びた教会には、たくさんの子供が集められていた。

聖女と呼ばれる女が、10人の子供の手をひいて、私のもとにやってきた。

「きゃーーーー。汚い手でドレスをさわらないで。」

なんなの、痩せた子供のくせに目がギラギラしてる、こわい。


「おまえ、警備のためにきたんでしょ、私を守りなさいよ。」

「俺はおまえなんてじゃない、クリスってんだ、いい加減覚えろ。

もしかして、俺が切った貴族の中にはアンタの父親もいたかもな、逃げることしかできないヤツばかりだった。」

真っ青になった私の顔を小さな手がなでる。

「俺の父ちゃんも死んだよ、貴族様はなんにも働かないのに、鞭をふるんだよ、鞭の傷につける薬も買えないんだ、働いてもお金はくれないんだよ。

父ちゃんが死んだときは、悲しかった。お姉ちゃんも父ちゃんが死ぬと悲しんだね。貴族様なのに。」

「貴族だって、同じ人間なのよ!悲しいわよ。」

同じ・・・・

同じなんだ・・・

どこが違うんだろう、手も足も顔も個人差があるだけ、

同じ言葉をしゃべって、

今は、私の命も彼らがにぎってる、この前まで貴族が握ってた。

立場が逆転して初めてわかった、どんな理不尽なことか。


言葉が漏れ出る、認めたくなかった言葉

「ごめんなさい、ごめんなさい、汚い手なんて言ってごめんなさい。」

「・・・・・・アンタ素直なんだな、これから街や革命のことを知って欲しいと思う、俺もアンタを貴族女なんて腐ったヤツと決めつけてた、悪かった。」

お父様、私は間違ってたの?


「何も間違ってなかったわよ。」

聖女が、私の心を読んだかのように答えた。

「間違ってなかったけど、真実を知らなかった。

私も知らなかったの、だから知りたいの、自分のために。」


自分のために。

自分はどうなるの? 財産は没収され、父も兄も行方知れず、生きてるのか、死んでいるのかさえもわからない。

使用人達は、家の家財をもって出ていった。

使用人に殺された貴族の家もあるというから、私はいい方だった。明日からの食べ物もわからない、母は寝込んだまま、私までもいなくなるわけにいけない。


「文字を教えるわ、数の数え方も。」

「お姉ちゃん、オイラ母ちゃんにパンを食べさせたいんだ、いつも自分は食べずにオイラにくれるから、働いてお金が欲しいんだ。」

「お姉ちゃんもお母様にパンをあげたいわ。」

「お姉ちゃんも働いたらパンが買えるぜ。」

この子達に強さを分けてもらおう。

私もこれから働かねばならない、というのがわかった気がする、もう貴族はいないんだ。


「おら。」

警備兵のクリスが小汚ない布をだしてきた、涙をふけというらしい、余計に汚れそう。

「私はステファニーというの。」

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