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お妃さま誕生物語  作者: violet
本編
12/102

ブリューダル中心街

革命派はあっという間に王宮に押し入り、20日たった今も王族、貴族の粛清が続いてる。

革命軍には多くの正規軍人が参加した。

国民の怒りの深さを表わすようだ、いろんな物が不足していた。

国も国民も疲労していた、革命をした後は何をすればいいのか。

逃げた貴族達の中には遠く離れた地で断罪されたものも多い、彼らの領地はすでに、彼らのものでない、地方にも革命と同時に火の手があがったのだ、この革命がいかに用意周到だったかが伺いしれる。


表通りから裏に入ると、革命で壊れたわけでもないのに、朽ちた建物、すっぱい匂いが鼻につく、開店している店もあるが商品は多くない、革命軍が管理しているのか、暴動などは起こっていないが、喧騒のわりに街全体が湿気ぽく暗い。

城下街だというのに、古く汚れた建物が多く、インフラも整備が遅れているらしい。


深いフードをかぶり街を歩く女性4人の姿は目をひいた。

街の喧騒の中で、異質な存在である、町娘風ではあるが、汚れのないドレス、白い手には しみひとつない。

シーリアは、街角に座る子供を見ていた、子供の数が多い、うつろな目をしている。

それは、わずかな躊躇を感じれたが確かな声で言った。

「私達についてきて」

シーリアが声をかけると子供が顔をあげて、動き出した。

目に付く子供すべてに声をかける。

付いてきたのは、子供達だけではない、怪しい人相の男達も多い。


古い教会の扉が開いたままになっているのを見つけた、神父でさえ逃げ出したらしく埃ぽい。

シーリアが教会の中に入るのを、侍女3人も離れないように付いていく。

「私達が珍しいですか?」

シーリアが振り返り、付いてきた子供や住人達に聞いた。

「革命はなしえました、これからどうするのですか?

難しいことだから、何が起こってるかわかってないことも多いでしょ。

あなたはどうしたいの?」

子供の一人がが言った、「お腹がすかないようになりたい。」

「お腹が空かないようにパンを作る為に何をすればいいの?そこから始めましょう。

お腹のすかない世の中を作るために必要なことは種を植えること、小麦や知識の種を。」


この国は子供が多いと気付いた、この子達を教育すれば、違う世界を作れる。

無知であるが為に、間違ってしまうことも多いのだ。

「私はあなた達にパンを用意することはできません、けれど明日へ繋ぐものを手伝えるわ。

生活を改革していく術を自分で考えるための知識を。」

シーリアが侍女に目配せをする、

「子供と女性以外は教会の外にでてください。ここを学校にしたいの。」


そんなこと言われて、はいそうですかと出て行くような男達じゃない。

「お嬢ちゃん、俺らは革命軍様だぜ、学校なんてのより、俺らにご褒美をくれよな。」

げひた笑い声で薄汚れた軍服を着た大柄な男が言う。

シーリアに手を伸ばした瞬間、キャサリンが男の手をねじあげた。

相手の力の反動を使い、小さな体で男をしめあげる。

キャサリンに飛びかかろうとした他の男たちは、隠れてついてきた護衛達に組み伏せられていた。

パトリシアもセシルも男達をねじ伏せている。

「すごいのね貴方達、ありがとう。」

美人の迫力はすごい、破壊力抜群の笑顔だ。

「力は重要ですが、もっと上がいるのよ、あなたお使いはできるかしら?

あなたの上の上ぐらいの人と話がしたいの。」

侍女と警備兵が一斉にシーリアをみる、やめてくれと。

「明日、同じ時間にこの場所で。」


「さぁ、ともかく今日は今日のできることを始めましょう。」

教室を作るわよと、教会の長椅子を動かそうとするが、いかにも非力だ、びくともしない。


革命で、人々が希望をもっている今しかない、力をもってすれば貴族を排除できるかもしれない、だがそのあとの運営はどうする。必ず行き止まる、政治、経済の仕組みを知らないものが過去よりよい仕組みを作れるとは思えない。

生きるために革命しかなかったのに、前より悪くなる可能性が大きい、それを考えなく革命されたとは思えない、この革命には指導者がいる、それは多分リヒト様が 関わっている。

リヒト様が困窮している人々のために手を貸したとは、到底思えないが結果そうなっている。

よい政治をすぐにできるはずない、以前よりマシな生活ができると思える仕組みが必要だと思う。


王太子の婚約者であった時にも、いろんなことを考えたが、何一つ実行できなかった、貴族は平民が知識を持つのを嫌がる人が多い。

ここは、これから平民の国に向かおうとしている。今ならできる、実行のチャンス到来。


先程、リヒト様はヒステン王国に出かけた、5泊の出張らしい、明日は早朝からここに来れる、時間までに戻ってくるように言われたけど、毎日行くなとは言われてない。

留守の間の警備が、倍になった、ちょうどいい役に立つ、力持ちそうなのが揃っている。

リヒト様に会えないのはさみしいけど、ずっといつ来るのかもわからない人を見るだけなのを待つ生活だったことを思うと、贅沢になったものだ。


3日後には教会に聖女がいると噂がたった。

人は何かにすがりたいらしい、混乱の中だからこそ希望を作ろうとする、革命の地に聖女が降りたと思いたいのだろう。

シーリアの容姿は聖女にふさわしかった。


噂のおかげで、子供や女性が集まりやすくなったけど、住民の人数の割に私だけでは先生が足りない。

もっと、文字中心、計算中心とかグループを作って教えられたらいいのに、この国では子供も労働力だから、早期に実践に使えるようにしたい。



そして、5日後に革命軍からの迎えが来た、護衛達が緊張しているのがわかるけど、望んだのは私だ。進まないと始まらないじゃないか。


王宮では、カイザル将軍の執務室に連れていかれたが、そこにいたのはカイザル将軍と

「シュバルツ・ケフトナといいます。やっとお会いできましたね、聖女様。

こちらにご案内します。」

やっと? 彼はマクレンジー商会の者かもしれない。


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